都の下に特別区を置く制度は、すでに東京で1947年から始まっている。実際のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのだろうか。 「東京全体が一つの方向に向かって動けること」。東京都と23区の制度のメリットについて、ある都幹部はこう説明する。23区の区長はそれぞれ選挙で選ばれ、一定の自治権が確保されているが、都知事の権限は都全域に強くある。消防や上下水道、大規模都市計画、港湾事業などコストと時間のかかる事業は都が担当するためだ。福祉や清掃など都民に身近な行政事務は区が扱う形で分担する。 もう一つの機能が、財政調整制度(財調)だ。財調によって都が区に代わって固定資産税や市町村民税(法人分)などを徴収し、各区の財政事情に応じて配分することで、23区間の行政サービスに格差が出ないようにしている。例えば、親の所得制限なしに中学生以下の医療費が23区全域で無料にできるのは、「財調が下支えしている