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ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (55)

  • 想像のobjectと想像のvividness - logical cypher scape2

    導入 最近になって、2月にこんなワークショップがあったことを知った。 https://fiction-4.jimdosite.com/ ワークショップ「フィクションの中へ没入の美学」 2024年2月10日 関西学院大学 高橋幸平(同志社女子大学):フィクションの哲学における没入 松永伸司(京都大学):フィクションがなまなましくなるとき (スライド) 20240210_fiction_vividness.pdf - Google ドライブ https://researchmap.jp/zmz/presentations/45585825/attachment_file.pdf (同じファイルだと思いますが) 小山内秀和(畿央大学):心理学は没入体験にどうアプローチできるのか 岡田進之介(東京大学):没入のための制度としてのフィクション─情動的参与のためのデザインとその規範の観点から (スライ

    想像のobjectと想像のvividness - logical cypher scape2
    murashit
    murashit 2024/05/21
    「歴史上の人物がvividnessを与える」といいたくなるようなケースって、たとえば実話怪談におけるvividnessのうみだし方に近いような気がする https://bsky.app/profile/murashit.bsky.social/post/3ksxznkmd2b2j
  • 小池隆太のマンガ・アニメに関わる物語論関係の論考を読んでのよしなしごと - logical cypher scape2

    『マンガ研究13講』『マンガ探求13講』や『アニメ研究入門』『アニメ研究入門(応用編)』というがあり、未読ではあるのだが、いつか読みたいと思っていて目次だけは確認している。 その際、気になった論考がいくつかあるのだが、いずれのの中にも小池隆汰という研究者がいて気にかかっていた。 で、しばらく放置していたのだが、最近になって何となく検索してみたら、論文がいくつかリポジトリで読めることが分かったのでざざっと眺めてみた。 この人の論文いくつか読んでた 自分のやりたかったことってフィクションの哲学よりナラトロジーだったのでは、という思いを新たにしている(以前も別の機会にそう思ったことがある) 自分の人生の中で、ナラトロジーに度々接近してるはずなのだが、なんかふわっとした接触のまま、ちゃんと向き合えてない気がする。 (多分、なんか具体的に作品分析しないと身につかないんだろうな……) https:

    小池隆太のマンガ・アニメに関わる物語論関係の論考を読んでのよしなしごと - logical cypher scape2
    murashit
    murashit 2024/05/17
    (リンク先がぜんぶカリオストロの城のやつになっちゃってます!)/修正確認!
  • 常松洋『大衆消費社会の登場』 - logical cypher scape2

    19世紀後半から1920年代頃までのアメリカにおける、大衆消費社会の成立について 1920年代頃に、現代まで続く形の社会や文化が成立したといわれるが、それがよく分かる(およそ100年たっていて、また転換期にあるのかな、という気もするが)。 企業活動の再編という話から始まって、それがどのように流通・消費の過程に変化をもたらし、いかに生活方法や価値観の変化へとつながったのか、という流れで論じられていく。 短いけど面白いだった 資家でもなければ、肉体労働者でもない、中産階級が拡大していく 中産階級を中産階級たらしめていたのが、消費社会・消費文化 その一方で、中産階級による革新主義という政治運動の流れやヴィクトリアニズムという価値観が、娯楽や消費にも影響を与える(健全化など)し、逆に伝統的価値観にも変容をもたらす。 大衆消費社会の登場 (世界史リブレット 48) 作者:常松 洋山川出版社Ama

    常松洋『大衆消費社会の登場』 - logical cypher scape2
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    murashit 2024/04/10
    黄金時代へのみちのり、おもしろそう
  • 2023年に読んだ大江健三郎まとめ - logical cypher scape2

    大江健三郎が今年の3月に亡くなったことを受けて、代表作をいくつか読んでみようかなと思って、この1年間、時々読んでいた。 大江は代表作と呼ばれている作品だけでもかなりたくさんあるので、その中でもさらに絞り込んで、ごく一部だけを読んだ形になる。特に今回、息子との関係を描いたタイプの作品群は全然読んでいない。 個人的には『同時代ゲーム』を読めてよかったと思っている。 面白かったのは「セブンティーン」二部作かなあ。 でも、お話として完成度が高くて読みやすいのはやはり『万延元年のフットボール』かなとか。 とはいえ、どの作品もそれぞれ違った形で面白い。ノーベル文学賞作家を捕まえて何を言うかという感じだが、小説がうまい。文体は確かに独特なところがあるが(そしてその独特さをうまく説明できないのだが)、決して難解というわけではないと思う。読み物としての面白さがある。 大江健三郎というと、あの丸眼鏡の風貌とゆ

    2023年に読んだ大江健三郎まとめ - logical cypher scape2
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    murashit 2024/01/02
  • 木澤佐登志『闇の精神史』 - logical cypher scape2

    ロシア宇宙主義」「アフロフューチャリズム」「サイバースペース論」という三部構成で、近代や資主義を脱しようとしたユートピア思想を概観していく。 SFマガジンでの連載をまとめたもの。 木澤佐登志の著作は以前から多少気になってはいたものの、自分の興味関心の中ではそれほど大きくなかったことと、何となく取り扱っている内容のあやしさを警戒して*1手を出していなかった。 今回、宇宙主義が取り上げられているということで、読んでみることにした。 とはいえ、もう少し宇宙主義以外の文脈もある。 読むまでの経緯とか 手に取ったきっかけ ロシア宇宙主義に以前から興味があったというのは、桑野隆『20世紀ロシア思想史 宗教・革命・言語』 - logical cypher scape2にも書いたことがあるので、引用しておく。 宇宙主義(コスミズム)への興味 コスミズムって最近時々名前を聞くけど、一体何なんだというのが

    木澤佐登志『闇の精神史』 - logical cypher scape2
  • 『なぜ美』と『近代美学入門』への補足 - logical cypher scape2

    井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2のブクマが急速に伸びている。ブログのTOP3に入ってきた。 https://hatenablog.com/ に載ったので多分そのせいだと思う。普段、見かけないidからのブクマが多いし。 (なお、ブクマが増えるとブログを書いている身としては単純に嬉しいが、伸びるかどうかはわりと偶然の産物でしかないことも分かっている) それはそれでいいとして、同日にデビット・ライスさんがやはり同書を取り上げた記事を書いているのに気付いた。 ここから直接アクセス流入しているわけではないが、はてなブックマークのホットエントリに並んだので相乗効果はあったのかもしれない。 タイトルにあるとおり、『近代美学入門』だけでなく『なぜ美を気にかけるのか』も一緒に扱われている。 『なぜ美』の方は、当ブログでは以下で取り上げた。 さて、ライスさんの記事は、

    『なぜ美』と『近代美学入門』への補足 - logical cypher scape2
  • 井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2

    タイトル通り、近代の美学についての入門書なのだが、とても良いだった。 「芸術」「芸術家」「美」「崇高」「ピクチャレスク」という概念ごとに章立てした5章構成のとなっているが、これらの概念は全て近代に成立した概念である。 「崇高」と「ピクチャレスク」はあまり一般的には馴染みのない言葉だろうが、「芸術」「芸術家」「美」といった、現在の我々にとってはわりとあって当たり前の概念が、歴史的にはそれほど古くない概念であることを示している。 常識だと思っていることを相対化して捉え直すことを目指していて、おおよそどの章も、古代ではどうだったか、近代でどのように成立していったのか、そして、現代的な論点についてどのように考えられるか、という構成をしている。 なので、確かに「近代の美学」についてのではあるのだが、美学一般の入門書という位置づけで読んでしまってよいと思う。 新書レベルの読みやすさ・分かりやすさ

    井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2
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    murashit 2023/11/12
  • ドミニク・マカイヴァー・ロペス、ベンス・ナナイ、ニック・リグル『なぜ美を気にかけるのか』(森功次・訳) - logical cypher scape2

    サブタイトルは「感性的生活からの哲学入門」とある。なお、原著タイトルは”Aesthetic Life and Why It Matters”であり、この「感性的生活」はAesthetic Lifeの訳だと思われるが、文中では「美的生活」と訳されている。 美的なものには何故価値があるのか、なぜ私たちは美的な生活を送っているのか、という問題について、ロペス、ナナイ、リグルの3人の美学者が自分の見解を初学者向けに説明しているとなる。 ロペスとナナイについては、僕も著作を読んだことがあり、有名な美学者である。一方、リグルは今回初めて名前を知ったが「近年非常に勢いのある美学者」であるらしい。いずれにせよ、3人とも邦訳を出るのはこれが初めてである。版元のサイトに訳者のあとがきが公開されており、彼らのプロフィールはそちらで紹介されている。 【あとがきたちよみ】 ドミニク・マカイヴァー・ロペス、ベンス

    ドミニク・マカイヴァー・ロペス、ベンス・ナナイ、ニック・リグル『なぜ美を気にかけるのか』(森功次・訳) - logical cypher scape2
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    murashit 2023/11/04
    各々の説に対する感想がわりと似てる
  • 大江健三郎『万延元年のフットボール』 - logical cypher scape2

    1967年、大江健三郎が32才の時に書かれた長編小説。前作から3年のブランクを経て、大江にとって30代初の長編作品であり、代表作品でもある。 1960年代の愛媛の谷間の村を舞台に、内向する主人公と活動的な弟との対比を描く。 障害者の子が生まれ、友人を自殺で亡くした主人公夫婦は、アメリカから帰ってきた弟に誘われて、谷間の村へと帰郷する。弟は、100年前に一揆を主導した曾祖父の弟と自らを重ね合わせながら、村の若者たちのリーダー的存在になっていくのに対して、主人公は弟の行動から目を背けていく。 今年になって、大江健三郎作品をいくつか読み始めている。 大江健三郎『芽むしり仔撃ち』 - logical cypher scape2 大江健三郎「セブンティーン」他(『大江健三郎全小説3』より) 大江健三郎「セブンティーン」他(『大江健三郎全小説3』より) - logical cypher scape2

    大江健三郎『万延元年のフットボール』 - logical cypher scape2
    murashit
    murashit 2023/07/18
    あらすじ書き出されたの読むだけでもめちゃくちゃおもしれえだろこれってなるこの本やっぱすごいんじゃなかろうか(と感じてしまうのは読んだことあるからってだけじゃないと思う)
  • マーティン・J・S・ラドウィック『太古の光景』(菅谷暁・訳) - logical cypher scape2

    サブタイトルは先史世界の初期絵画表現。原著タイトルは”Scenes from Deep Ttime: Early Pictorial Representation of the Prehistoric World” 19世紀のパレオアートについての科学史 「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」展 - logical cypher scape2の副読として読み始めたのだが、行く前に読んでおくべきだった*1。少なくとも、恐竜図鑑展の第1章についての理解度は爆上がりするし、「パレオアートって一体何だ」というモヤモヤ感もある程度は解消する。 このの存在自体は、以前から知ってはいたのだが、邦訳があることを認識していなかった*2。実は原著は電子で買っていたのだが、そのまま積んでいた。英語で読める気がしないので邦訳があってよかった*3。 聖書の挿絵についての伝統を伏線としながら、過去の伝統から何を

    マーティン・J・S・ラドウィック『太古の光景』(菅谷暁・訳) - logical cypher scape2
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    murashit 2023/06/30
  • 「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」展 - logical cypher scape2

    上野の森美術館にて行われたパレオアート展。 19世紀に描かれた黎明期の古生物復元画から、ナイトやブリアンの作品群、日の恐竜関連古書やグッズのコレクターである田村博によるコレクション、さらに現役のアーティストらによる作品群などが展示され、恐竜・古生物のイメージの時代的変遷を追う展覧会となっている。 企画のテーマ自体が珍しいだろうし、実際、なかなか一堂に会することのないだろう作品が揃っているので一見の価値ありだと思う。 パレオアートって一体何だ?! 古生物を科学的な証拠に基づいて復元した上で描いた絵、というのが教科書的な説明だが、そういうことではなく、何というか、このパレオアートなるジャンルは一体何なのか、というのが見ているうちにどんどん分からなくなってしまった。 おそらくこれは、美術館という場所で、このように作家別などで展示されているところを見ていったからかもしれない。 これらの絵は、普通

    「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」展 - logical cypher scape2
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    murashit 2023/06/21
    ダストン&ギャリソン『客観性』とかと絡めてこう……なんかこう考えられんかな
  • 是永淳『絵でわかるプレートテクトニクス』 - logical cypher scape2

    プレートテクトニクスについての入門書 『地球・惑星・生命』 - logical cypher scape2のプレートテクトニクスの章*1が面白く、もう少し詳しく読みたいと思ったため手に取った。 そもそもプレートテクトニクス理論自体が1960年代に確立していった、比較的新しい理論であるわけだが、それにしても、まだ解明されていない謎が多く、21世紀になってから議論されるようになったトピックなどもあって面白い。 また、プレートテクトニクス研究が、学際的な研究であることがよく分かる。 例えば流体力学、物性物理、地球化学、岩石学などこういう色々な学問分野の知見をあわせて、地球をシステムとして総合的に理解していくところが、地球科学の面白いところだなあと思う。 (残念ながら自分にはこれらの分野が基礎知識がないが……) なお、数式をあまり使わず絵で分かるようにした旨のことが最初に書かれており、実際、イラス

    是永淳『絵でわかるプレートテクトニクス』 - logical cypher scape2
    murashit
    murashit 2023/06/14
    地球科学の話ちらちら見るたびに「めちゃくちゃ大変そうな分野だな……」って思ってたけどやっぱそうなんだな……
  • 『地球・惑星・生命』 - logical cypher scape2

    地球惑星科学連合の30周年*1を記念して出版された一般向け論文集 日地球惑星科学連合は、地球惑星科学に関連している学会等の連合組織 「宇宙惑星科学」「地球生命科学」「固体地球科学」「大気水圏科学」「地球人間圏科学」の5つのセクションからなり、書の「1 宇宙の中の地球」「2 生命を生んだ惑星地球」「3 岩石惑星地球の営み」「4 地球環境の現在,過去,そして未来」「5 人間が住む地球」の5部構成はこれらのセクションに対応している。 各部4~5の論文からなり、全21章、さらにコラムが全8収録されている。 いずれもそれぞれのジャンルの入門的な内容となっており、また、最後に一般向けの関連書籍が1冊紹介されており、今後の読書案内としてもよい。 面白かったのは、第3章の大気流出、コラム3の微化石と大量絶滅、第11章のプレートテクトニクス、第16章の古気候復元あたり。 コラム4とコラム5がシミ

    『地球・惑星・生命』 - logical cypher scape2
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    murashit 2023/06/10
  • 倉根啓「ゲームプレイはいかにして物語になるのか」 - logical cypher scape2

    ビデオゲームにおいて提示される虚構的内容のうち、全てがそのゲームの物語を構成しているわけではないが、その関係はどうなっているのか、という内容の論文 マリオの命は3つあるのか問題 あるいは、RPGをやっていて、戦闘中に死んだとしても必ずしもそのゲームのストーリー内で死んだことにはならないとかそういう類いの話 これに対して倉根は、ビデオゲームにおける虚構的内容を「ゲーム環境」と「物語世界」に区別した上で、物語世界の内容として解釈される基準の例として「指定」と「意味づけ」があるということを論じている。 シノハラの議論が参照されているよと、人から教えてもらって読みました 自分の書いたものがこうやって他の人の論文へと繋がっていく経験をあまりしたことがないので、感動して思わずブログを書いているのがこの記事となります。 1.はじめに 1.1.先行研究 1.2.ゲームプレイ中に起きた出来事は当に首尾一貫

    倉根啓「ゲームプレイはいかにして物語になるのか」 - logical cypher scape2
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    murashit 2023/05/11
    こうやって説明されてわかったけど、自分には(自分も?)「不整合な環境(世界)が先にあって、整合的な虚構世界はあくまで情報の縮減」みたいな直観があるっぽい(奇想やメタフィクションへの気持ちが強いせいか)
  • 伊坂幸太郎編『小説の惑星 オーシャンラズベリー篇』 - logical cypher scape2

    伊坂幸太郎が、自分の好きな小説でドリームチームを組んだという短編アンソロジー 自分は伊坂幸太郎をほとんど読んだことがない(『死神の精度』と阿部和重との共著である『キャプテンサンダーボルト』くらい)が、収録されている作家を見て気になったので読んでみることにした。 最近読んだ文学 - logical cypher scape2の延長戦的な 小説の惑星 オーシャンラズベリー篇 (ちくま文庫) 筑摩書房Amazon 永井龍男「電報」 東京と京都を商売で行き来している男が、電車内で元カノを見かける なお、まだ新幹線ではない時代で、堂車とかがある。電車内に電報が送られてくる。 小説ドリームチームの先鋒が何故この作品なのかは正直ちょっとよく分からなかったが、伊坂としては、嫌な感じの男が肩すかしにあうオチがちょっと笑えて面白い、ということらしい。 絲山秋子「恋愛雑用論」 「恋愛雑用論」というタイトルだけ

    伊坂幸太郎編『小説の惑星 オーシャンラズベリー篇』 - logical cypher scape2
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    murashit 2023/02/19
    もう片方 https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/2023/02/17/231319 / 伊坂幸太郎のコメントとか気になるな
  • イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』(米川良夫・訳) - logical cypher scape2

    Qfwfq老人が、宇宙創成や恒星の誕生の頃、あるいは自分が恐龍だった時代や陸上生活を始めた頃の脊椎動物だった時代を語った物語を集めた連作短編集 「自分が恐龍だった」とか何やねんという話だが、実際Qfwfqが「わしは恐龍だった」云々と語っているのであり、Qfwfqは宇宙創成どころか宇宙の始まりの前から存在していて、宇宙が存在するようになるか賭け事をしていたり、ガス円盤の中で家族とともに生活していたりしたというのである。 そんな話が11篇集められているが、そのうち7篇は実はラブロマンスものであり、時空を超越した舞台設定をしつつも、繰り広げられる物語は人間くさい話だったりするが、その双方の相乗効果で、失われていくものへの哀惜のようなものが描かれていたりする。 とはいえ、かと思えば、円城塔ばりのメタフィクションも展開されたり思弁全開だったりする話もあるので油断ならない。 ちなみに、各話の冒頭に科学

    イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』(米川良夫・訳) - logical cypher scape2
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    murashit 2023/01/13
  • ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』(藤平育子・訳) - logical cypher scape2

    フォークナーのヨクナパトーファ・サーガを構成する長編作品の一つ。 ミシシッピ州ヨクナパトーファ郡ジェファソンに突如現れて、大地主となったトマス・サトペンの盛衰を、関係者たちの回想の語りが描き出す。 原作は1936年刊行。 訳者解説によれば、フォークナー39歳の時の作品であり、長編小説としては9作目にあたる。 タイトルがやたらかっこいいが、これは旧約聖書からの引用らしい。アブサロムはダビデ王の息子の名前で、彼は父王に反旗を翻す。亡くなった息子に対してダビデ王が「アブサロム、アブサロム!」と叫んだとか何とか。 フォークナーの最高傑作としても名高い。 今回読んだ岩波文庫版では上下巻に分かれているが、上巻を読み終わった段階では、「決してつまらなくはないが、この癖のある文章にずっと付き合わされるのか、うむむ」みたいな感想だった。しかし、下巻を過ぎると、読むのが止まらなくなり「なるほど、これは確かに面

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    murashit 2023/01/10
  • 澁澤龍彦『高丘親王航海記』 - logical cypher scape2

    澁澤龍彦の遺作にして代表作(唯一の長編らしい)。 高丘親王が天竺を目指す道中を描く作品だが、怪奇・幻想的な風景が、エキゾチックかつユーモラスな文体で綴られている。 元々、特に読もうと思っていたわけではなかったのだが、図書館で島尾敏雄作品を借りた際に、棚の近くにあったのでつい。 とはいえ、澁澤作品は青木淳編『建築文学傑作選』 - logical cypher scape2で「鳥と少女」を、『戦後短篇小説再発見10 表現の冒険』 - logical cypher scape2で「ダイダロス」を読み、いずれも面白かったので、作に興味がないわけではなかった。 ページ数自体それほど長くないということもあるが、文体も読みやすく内容も面白いので、するすると読み進めることができた。 まあとにかく、様々に奇妙な動物やら国やらが出てきて、不思議なことが次々起こる物語でそれが面白いが、古今東西の文献を自在に引

    澁澤龍彦『高丘親王航海記』 - logical cypher scape2
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    murashit 2022/11/30
  • 『戦後短篇小説再発見10 表現の冒険』 - logical cypher scape2

    「家族」や「都市」などテーマ別で編まれた同アンソロジーだが、10巻は実験的な表現方法で書かれた作品を集めたものとなる。 『戦後短篇小説再発見4 漂流する家族』 - logical cypher scape2 『戦後短篇小説再発見 6 変貌する都市』 - logical cypher scape2 に引き続き、読んだ。 なお、このシリーズは最終的には全18巻となるのだが、元々は全10巻シリーズとして刊行されたもので、刊行当時、この巻は最終巻であった。 全体的に短い作品が多くて、この中では唯一既読であった「馬」が一番長い分量で、若干なんだかなーという気持ちがないわけでもなかったのだが、改めて読んでみても「馬」は面白い作品であった。 それ以外では、筒井「遠い座敷」、渋澤「ダイダロス」が面白かった。次いで、笙野「虚空人魚」吉田「お供え」も面白かった。 後半から、ホラーなりSFなりファンタジーなりの

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    murashit 2022/10/27
  • 小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』 - logical cypher scape2

    珍しく時事ネタ。 タイトルにある通りで、ロシアウクライナ侵攻を受けて改めて国連安保理とは何かについて書かれた。 筆者は、共同通信で長年国連取材に当たっていた記者で、その経験を踏まえて、国連安保理の歴史について書かれている。 研究者ではなく記者が書いているなので、専門的な知見が書かれているというものではなく、日常的にニュース等をしっかり読んでいる人であれば、既知の内容も多いだろうとは思うが、改めて今年前半に起きたウクライナ侵攻の流れと、国連の歴史が整理されているので、勉強し直すのにちょうどいい案配のではないかと思う。 第1章では、2022年2月から5月までの流れを改めて振り返る章*1で、第2章から第5章にかけて国連安保理についてその歴史や課題、今後の改革について書かれている。最後の第6章は付録的な感じで台湾問題について扱われている。 第1章は、つい半年程度前の出来事であり、また、20

    小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』 - logical cypher scape2
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    murashit 2022/10/10