〈原著〉 個人差の心理学的説明と観察のパースペクティブ 渡遷芳之* 抄 録:観察された個人差を説明するときには、心的概念による内的説明と状況要因による外 的説明のいずれかを選択するが、その選択は観察の状況的・時間的パースベクティブに大きく 影響される。パ ースベクティブが狭い場合、 多くの 観察されない / しない状況要因が無視され るので、内的説明が選択されやすい。観察のパースベクテイブが状況的・時間的に広い場合に は、考慮される状況要因が増えるため、外的説明の可能性が大きくなる 。 こうした知見が心理 学的説明やアセスメントの問題に対しでもつ合意についても考察した。 キーワード:心理学的説明、観察、心的概念 I.問 題 人の行動やその個人差に関する心理学的説明の方向性 には、心的概念など行為者の内的要因によって説明しよ うとする内的説明と、その行動をとりまく状況や環境と いった文脈要因