伏見さんのお仕事は一貫して、自らが身を置くマイノリティの側から社会に向けて強い言葉を発信をしながら、すぐに自分の言葉を相対化し、自身が属するマイノリティ内部に向けて疑問を投げかけたりもする。自分たちマイノリティを「理解」しようとする第三者や、あまりに原理主義的になっている「味方」の人々に対しても辛辣な言葉をぶつける。そういう立ち位置を背負ってこられたという印象があります。だから当然、ときどき返り血を浴びるようなこともあるはずで、逆に言えばそれがそのマイノリティ全体が活性化し、思想的に成熟していく原動力になっているのだろうと思います。 マイノリティが社会から受ける差別や無理解、さまざまなプレッシャーと鋭く対峙してときにはね返したり、変えていくためには、一定の「社会運動体」を牽引する必要があります。同性愛者の多岐にわたる社会運動が理論的な武装をし、成熟をとげ、広範な支持を得ることができていった