紹介 西周(にしあまね、一八二九~一八九七)啓蒙思想家・教育者。津和野に生まれ、徳川慶喜に軍事顧問として仕える。明治維新後は明六社の啓蒙思想家として、「哲学」という言葉を創るとともに、軍制の整備にも奔走。日本の近代化のために尽力した西周の、新たな人物像を描き出す。 目次 第1章 オランダ留学から幕府目付へ(オランダ留学前史 栄光のオランダ留学 『百一新論』 将軍慶喜の側近として) 第2章 鳥羽伏見の戦いから彰義隊の乱へ(旧幕府軍「戦略」の不在 江戸無血開城 彰義隊の乱 西周、旧藩主に召し出される) 第3章 啓蒙主義的「明六社」の社員として(「明六社」発足の頃 「明六社」を打つ大波 「人生三宝説」 『明六雑誌』の終焉) 第4章 西南戦争から竹橋騒動へ(西南戦争 近代的軍事組織のエートス 「兵家徳行」 「軍人訓戒草稿」 「兵賦論」) 第5章 最晩年(「交詢社」と私擬憲法論争 学士会院・獨逸学協
1936年生まれ。2012年から20年まで、安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。エール大学名誉教授、東京大学名誉教授。著書に「アメリカは日本経済の復活を知っている」(講談社)、「エール大学の書斎から 経済学者の日米体験比較」(NTT出版)など多数。 ■「なぜ経済政策を誤るのか」答えをさがして ――浜田さんの著書「21世紀の経済政策」は600ページを超える大著となりました。しかも、世界と日本の政策当局者、経済学者、経済評論家、政策アドバイザーなど総勢89人に直接インタビューし、議論したものを構成したものです。ジャーナリストが手がけるならともかく、一線の学者である浜田さんが直接聞き取りしたことに驚きました。膨大な作業ですが、動機は何だったですか? 本をまとめるに至った、いちばん初めの問いは「政府が経済政策を誤るのは、政策担当者が個人や組織の利害にこだわるためか? それとも、経済論理に無知である
大学の同僚の先生方と話していたりする時、答えるのにやや戸惑う質問を受けることがある。「小峰さんはどうして役人を辞めたのですか」という質問だ。質問する人の気持ちは分かる。「安定した役人の地位を捨てて辞職したからには、何か理由があるはずだ。上司と喧嘩したのか、政府の方針に抗議して辞任したのか。役人としての仕事に限界を感じたのか。どうしてなんだろう」と思うのかもしれない。 この質問に私が戸惑うのは、多くの役人は、自分から進んで職を辞するわけではないからだ。組織として「もう君のポストはないから、辞職届を出してください。辞職後は、〇〇の仕事をしてもらいます」と言われることが多い。もちろんこれは一般的な場合であって、自ら役人に見切りをつけて、政界に打って出たり、民間企業に移ったり、大学の先生になるというケースもある。ただ、どちらが一般的かと言われれば、「そろそろ辞めろ」と言われたから辞めるという場合が
2月24日、目覚めると世界が変わっていた。ロシアがウクライナに侵攻し、全く大義のない戦争が始まったのだ。そして、その日、私は重要な研究対象の一つを失い、これまでの研究人生で構築してきたセオリーは水泡と化した。 私は旧ソ連地域をフィールドに地域研究、国際関係を研究してきた。そして研究の出発点は、旧ソ連の紛争を解決するための研究を行いたいという気持ちだった。そして、アルメニアとのナゴルノ・カラバフ紛争を抱えていたアゼルバイジャンに留学もした。旧ソ連の紛争を紐解くにはロシアの行動が重要だということから、旧ソ連の小国からロシアの外交政策を検討してきた。そのプロセスの中で、国家の体裁を整えながらも国際的に承認されていない「未承認国家」をロシアが近い外国(ロシアにとっての旧ソ連諸国)を勢力圏に置くために利用していることから、未承認国家の研究を深めた。また、ロシアの周辺国がロシアと欧米、そして中国の狭間
東大で30年近く法哲学研究に携わり、正義論から憲法改正論まで幅広く独自の議論を展開してきた井上達夫教授のロングインタビューを2回に分けてお届けする。前編では、今年度で東大を退職される井上教授に、自身の研究理念や哲学観、学生へのメッセージなどについて聞いた。 (取材・円光門、撮影・山口岳大) 後編はこちら 井上 達夫(いのうえ・たつお)教授(法学政治学研究科) 77年法学部卒業。東大助手、千葉大学助教授などを経て91年に東京大学助教授に転任、95年より現職。近著に『立憲主義という企て』(東京大学出版会)、『生ける世界の法と哲学――ある反時代的精神の履歴書』(信山社)など。 ――2020年に出版された『生ける世界の法と哲学――ある反時代的精神の履歴書』では小学生時代に自身が体験した貧困や家庭崩壊についての記述があります。この体験は先生の法哲学研究にどのような影響を与えましたか 私が東大に入学し
ロシアのウクライナ侵攻によって世界はどう変わるのか。国際政治研究はどうあるべきなのか。東大で30年以上国際政治研究に携わり、今年度で東大を退職される藤原教授のロングインタビュー後編。 (取材・円光門、撮影・中井健太) 藤原帰一(ふじわら・きいち)教授(東京大学大学院法学政治学研究科) 米イエール大学大学院政治学研究科博士課程留学を経て、84年東大法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東大社会科学研究所助教授(当時)などを経て、99年より現職。著書に『平和のリアリズム』(岩波書店)、『国際政治』(放送大学教育振興会)、『不安定化する世界——何が終わり、何が変わったのか』(朝日新聞出版社)など。 【インタビュー前編はこちら】 「アイデンティティへの疑問がナショナリズム研究につながった」藤原帰一教授 退職記念インタビュー【前編】 ──今回のウクライナ侵攻で、ロシアに対する大規模な経済制裁が行われ
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