横浜市栄区上郷町の都市計画道路「舞岡上郷線」の地下に存在した県内唯一の古代製鉄遺跡「上郷深田遺跡」について、市が埋蔵文化財の記録保存に必要な発掘調査報告書を作成していないことが分かった。市の担当者は取材に「調査報告書を作成する必要性と将来の検討課題であることは認識している」としたが、具体的な対応への言及は避けた。(阿部博行) 上郷町は古くから鉱滓(こうさい)が出土する地域として知られ、市は道路建設に先だって横浜市埋蔵文化財調査委員会(当時)に委託して一九八六年九月から九カ月かけて発掘調査を実施。飛鳥時代の七世紀半ばから平安時代の九世紀前半にかけて約二百年間、砂鉄を使った「たたら製鉄」が営まれた遺跡を発掘した。