ロンドン五輪男子マラソンのカンボジア代表に選ばれながら、国際陸上競技連盟(以下、国際陸連)の判断により、出場が認められなかったお笑いタレントの猫ひろし。今回起きた一連の騒動はくしくも、スポーツ界で増え続けるアスリートの国籍変更をクローズアップしたといえる。アスリートの国籍変更はなぜ問題視されるのか? ロンドン五輪を約3カ月後に控え、シドニー、アテネ、北京五輪の3大会に連続出場した“侍ハードラー”こと為末大に陸上界の現状を聞きつつ、アスリートの国籍変更について考えてみた。(取材日:5月1日) ■国際陸連が出した警告 国際陸連のジャッジは「ノー」だった。今年導入されたばかりの新ルールが、猫ひろしのケースに初めて適用されたのだ。選手の国籍に関するそのルールは、「国籍変更後1年未満の選手は、1年間の連続した居住実績がなければ国際大会に出場できない」というもの。特例による承認はあるものの、猫ひろしの