米トランプ政権は、追加関税や輸入制限を突き付けて相手国に譲歩を促す強気の戦術で交渉を続けてきた。カナダとメキシコの北米自由貿易協定(NAFTA)には自動車分野、韓国に対しては鉄鋼分野で不満を表明し、譲歩を引き出すことに成功。中国とは貿易不均衡をめぐって今も対立を続けている。 日本も今回の協定の交渉中に、米軍駐留経費の日本の負担増や貿易赤字の是正などで揺さぶりをかける米国に対し、基幹産業の自動車にかかる2・5%の関税の撤廃を見送ったうえ、農産品の関税は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準まで引き下げるなど、大幅に譲歩した格好となった。 だが、自動車関税の維持は米国側が最もこだわって交渉に臨んだ分野だけに、米国がTPPを離脱する前の交渉で決まっていた、25年かけて関税をゼロにするという、極めて長期間の関税撤廃に全力を注ぐよりも、産業界から要望が多かった工業製品の関税を優遇する際の基準とな