9月末からアメリカの首都ワシントンで吹き荒れているトランプ大統領とウクライナをめぐる弾劾調査の嵐はいっこうに勢いが弱まらない。トランプ大統領は「政権転覆を狙ったクーデターだ」として、10月8日、下院民主党が求める文書提出や証言などを拒否、全面対決に出た。対決が続く限り、民主党が多数派を占める下院での大統領弾劾は不可避だ。 トランプ政権は弾劾調査を、民主党が始めた「党派対立」、あるいは国家に従わない官僚軍団「闇の国家(ディープステート)」によるものだ、と訴えて、共和党の支持を固めると同時に、他の話題で国民の気を散らすことで、この苦境を乗り越えようとしている。今のところ、この戦略は効果を発揮し、議会共和党の多くはトランプ政権と歩調を合わせているため、上院の雰囲気は罷免には程遠く、大統領の座は揺るぎない。 現在、大統領と共和党の攻撃の矛先は、事の発端であり、いまだ正体不明のCIA(中央情報局)職