現行の生活保護制度は給付水準がかなり高めに設定されており、生活保護者たちを「働かせる気がない」といえる。ここでは、どうすれば改善できるのかについて、前日銀副総裁・岩田規久男氏が解説する。 ※本連載は、書籍『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)より一部を抜粋・再編集したものです。 「生活保護から抜け出そう」という気になれないワケ夫婦2人・子1人(夫33歳、妻28歳、子供4歳)で東京都区部に居住する場合の最低生活保障水準は月額約23万円、年額約276万円(生活扶助に住居扶助を含む)である(厚生労働省資料より)。 しかも、社会保険加入はほぼ免除され(介護保険は生活保護費から保険料を拠出している)、医療費は全額補助される。働かずに、これだけの最低生活保障を受けられるなら、ワーキングプアよりも生活保護世帯になったほうがはるかに生活水準は上昇する。 現行の生活保護制度は、就労することを基本原則とし