TPP と食料安全保障: 世界のコメ需給の現状と潜在性 九州大学大学院農学研究院 教授 伊東正一 1. はじめに TPP は現 4 カ国(シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ)の加盟国に加え、 米国、豪州、ペルー、ベトナム、及びマレーシアが加盟を前提に交渉中である。このほか、 日本を初め、韓国、メキシコ、カナダが検討中としている。さて、これらの諸国の中で、コ メの輸出大国の仲間入りをしているのがベトナムと米国である。ベトナムはタイの年間 1 千 万トン(精米換算)に次ぐ世界第 2 位のコメ輸出国で、近年では年間 600 万トンから 700 万 トン近くの実績を見せている。米国はベトナムの約半分の 350 万トン。これらトップ 3 カ国 で世界のコメの輸出量 3 千万トン余の半分を占める。 日本が仮に TPP に加盟するとなると、これらの国々からコメの輸入が想定される。よって、