パナソニックは折板屋根を用いた工場や倉庫、商業施設への設置に適した太陽電池モジュール製品「大型HITモジュール HIT290A」を発表した(図1)。屋根に設置できるモジュール(パネル)の容量を6~8割増やすことができるという。 設置容量を増やす工夫は3つある。折板屋根のピッチと適合するモジュールの寸法、モジュールの耐風圧設計、モジュールの変換効率である。 折板屋根は鋼板を折り曲げて製造する屋根材。断面の形状はおおまかに「www」となっている。折り曲げた山や谷の部分はとがっておらず、いったん地面と水平になるよう折ってある。山と山の間隔をピッチと呼ぶ。 折板屋根の上にモジュールを設置する場合、モジュールの寸法とピッチの長さが合わないことがある。そのような場合は複数の山にまたがる「ベースレール」という部材を折板屋根にまず設置し、その後、ベースレール上にモジュールを配置していく。 パナソニックの新
村沢 義久 合同会社Xパワー代表、環境経営コンサルタント。 1974年東京大学大学院工学系研究科修了。1979年米スタンフォード大学経営大学院修了。2005年から東京大学サステイナビリティ学連携研究機構特任教授として地球温暖化対策を担当。合同会社Xパワーを立ち上げ代表に就任。2016年4月から現職。 この著者の記事を見る
メガソーラーにとって、積雪はなるべく避けたい条件だ。雪に覆われた太陽電池は発電できず、雪の重みに耐える機材も必要だ。旭川市で始まった事業では雪を避けるのではなく、利用する。太陽光を反射する雪の性質と、両面発電可能な太陽電池を組み合わせることで、出力を1.1~1.3倍に高められるという。もはや雪は敵ではないのだ。 太陽光発電では、なによりもまず太陽電池モジュールに日が当たることが前提条件となる。例えば北国で太陽電池に雪が積もった場合、雪が滑り落ちるまでは設備の能力を全く発揮できない。 このような常識を覆すメガソーラーが北海道に登場した。西山坂田電気が立ち上げた交流出力1.25MWの「旭川北都ソーラー発電所」(旭川市神居町)だ(図1、図2)。 ホタテと雪の共通点は? 「電気設備を施工する当社が、電機メーカーの一般的な太陽電池を使ってメガソーラーを立ち上げるのでは特色を打ち出せない。雪の多い旭川
北海道旭川市は、日本屈指の寒い都市として知られる。積雪の深さは平年で約70cmと上越などの豪雪地帯に比べると少ないものの、真冬には日中でも気温が氷点下となる日が多く、降った雪は凍結してしまい解けにくい。2012年7月に固定価格買取制度が始まった当初、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設地を求め、大手企業が旭川を訪れた。だが、事業性へのリスクから大手資本によるメガソーラー建設は実現していない。 太陽光パネルの雪が滑り落ちる そんなメガソーラー事業には不向きと思われる地に、2013年11月29日、出力1.25MWのメガソーラー「旭川北都ソーラー発電所」が稼働を始めた(図1)。設計・建設から保守、発電事業を手掛けるのが、地元の電気設備会社、西山坂田電気(北海道旭川市)だ。同社は、「旭川北都ソーラー発電所」に先駆け、2013年9月30日に出力250kWの「旭川倉沼ソーラー発電所」も稼働させた(
プリンタのカートリッジなどを扱うハイブリッド・サービスは、福島県郡山市に出力50MWのメガソーラーを立ち上げる。福島県では最大、全国でも五指に入る規模だという。 「全国でも五指に入る規模のメガソーラーを立ち上げる」(ハイブリッド・サービス)。 ハイブリッド・サービスはプリンタ用のトナーカートリッジやインクジェットカートリッジ、インクリボンなどを扱う企業。9億9000万円を投じて110万4344m2の土地を福島県郡山市逢瀬町に取得、今後、直流出力50MWのメガソーラーの建設を計画する。 完成後の想定年間発電量は、5000万~5500万kWhであり、一般家庭の約1万5000世帯以上に相当する電力が得られるという。これは郡山市(人口33万人)の全世帯数の1割以上に相当する規模だ。 予定地は山林や荒れ地、宅地が混在した土地であり、起伏がある。「今後、造成が必要な土地だ」(同社)。メガソーラー事業の
日本コカ・コーラが東日本大震災の復興支援と防災対策を目的に15億円を投じて、小中学校に太陽光発電設備と蓄電池の導入を推進中だ。岩手・宮城・福島の3県を対象に、2011年と2012年に合計34校に助成金を提供したのに続き、新たに20校を2014年3月末まで募集する。 助成の対象になるのは岩手・宮城・福島各県の被災した公立小中学校で、防災対応機能を備えた太陽光発電設備と蓄電池を導入することが条件になる。発電能力は20kWまで、蓄電能力は16kWhまでを上限に、1校あたり3000万円の助成金を提供する(太陽光発電だけの場合は2000万円)。2014年2月17日~3月31日に募集を受け付けて、20校を選出する予定だ。 すでに2011年の第1期と2012年の第2期で選ばれた34校では、太陽光発電設備と蓄電池の運用が始まっている(図1)。日本コカ・コーラは対象校を選定する基準の1つとして、「次世代を担
資源エネルギー庁では、再生可能エネルギー電気特別措置法に基づき平成 24年度中に認定を受けた運転開始前の大規模な太陽光発電設備について、同法に基づく報 告徴収を実施いたしました。今般、その結果を取りまとめましたので公表いたします。 概要 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー電気特別措置法)に基づき、平成24年度中に認定を受けた運転開始前の400kW以上の太陽光発電設備(4,699件)を対象に、同法に基づく報告徴収を実施 し、①土地の取得、賃貸等により場所が決定しているか、②設備の発注等により設備の仕様が決定しているか、等について確認しました。 結果は別紙「太陽光発電設備に関する報告徴収の結果について」を御覧ください。 (参考)本年度の認定について(本年度中に認定を受けることを検討している方) 認定作業は、申請書類が整ってから認定まで、1か月程度
太陽光で発電した電気の固定価格買い取り制度を巡り、経済産業省は、発電の認定を受けたのに事業を進めようとしない約670件の業者の認定を取り消す。 業者から事情を聞いた上で、3月にも初の取り消し処分に踏み切る。発電用の土地と設備のいずれかしか準備していない約780件についても、8月末までに両方を確保しなければ認定を取り消す方針だ。 同制度は、事業者が認定時に設定された価格で電力を電力会社に売れる仕組み。制度が始まった2012年度の太陽光の買い取り価格は1キロ・ワット時あたり42円と高めに設定され、電気料金に上乗せされている。 買い取り価格はその後、低下しているが、認定時点の高い価格で電力を売れるため、多くの企業が参入を表明。しかし、もうけが大きくなるように、太陽光パネルが値下がりするまで事業を始めない業者が続出していた。認定制度には発電開始の期限はないが、経産省は太陽光の普及の妨げになると判断
不動産賃貸を手掛けるヒューリックは太陽光発電事業に取り組む。特徴は固定価格買取制度(FIT)による売電と併せて、本社ビルの消費電力の一部を太陽光発電でまかなうことだ。 固定価格買取制度(FIT)を利用した売電だけでなく、ビルの消費電力をまかなうメガソーラーが福島県に登場する。 ヒューリックは都市部の不動産賃貸などを取り扱う企業。福島県広野町に建設中の太陽光発電所(約3万8000m2、採石場跡地を利用)の地上権と発電設備をアドバンスと関連会社から12億円で取得し、太陽光発電事業を開始する(図1)。建設中の発電所は2014年3月から送電網と連系を開始する予定だ。 発電所の出力は2.3MW。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日射量データベースの数値から計算すると、年間予想発電量は230万kWh程度になる。 発電所事業はヒューリックと関連会社のヒューリックビルマネジメントが進める。図
住宅向けの太陽光発電が低調だ。平均設置容量は伸び、平均システム価格は下がっている。ここまではよい。ところが、既築住宅を中心に設置件数が前年比で減っている。このような傾向は2014年4月以降、より顕著になるだろう。 住宅向けの太陽光発電が低調だ。2013年10~12月の補助金申込受付件数(受付件数)は7万65件。これは、前年同四半期の8万4119件と比べて16.7%減っている。 この数値は太陽光発電協会(JPEA)の一部門である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が発表したもの。経済産業省の補助金(住宅用太陽光発電補助金)について四半期ごとに公開したデータによる。同補助金は住宅向けの設置件数を間接的ながら最も正確に把握できる数値だと考えられている(関連記事)。 今回J-PECが公開したのは、2013年10~12月(四半期)の受付件数と、2013年4~9月の同交付決定件数だ。関連して平均設
大阪湾の埋立地で稼働中のメガソーラーの隣に、大型の蓄電池システムが設置された。内部のリチウムイオン電池は電気自動車の日産リーフ16台から回収して再生したものだ。10MWのメガソーラーが発電する電力の変動分を吸収して、出力を安定させる試みである。 電気自動車に電力を供給する蓄電池の寿命はさほど長くない。充電回数にもよるが、通常は5~10年で新品と交換する必要がある。そうした性能の劣化した蓄電池を再利用する取り組みが早くも始まっている。 日産自動車のリーフ16台分の蓄電池を再利用したシステムが、大阪市の夢洲(ゆめしま)で2月初めに稼働した(図1)。環境省による「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」の認定を受けて、住友商事が設置したものである。電気自動車の蓄電池を再利用した大型システムの実用化は世界で初めての試みだ。
――太陽光発電の初期コストとして、一般的には、太陽電池モジュールの価格は安くなってきたという認識で、今後は、いかに架台や工事のコストを安くするかという声を多く聞く。 加藤 こうした認識を真に受けてしまうと、さらに設計や施工のコストを下げる圧力として働いてくる。 現在でも、正しく構造計算がなされて製品化されたものかどうか、わからないが、コンクリート製の基礎なしで、金属製の杭を地面に打ち込み、架台は単管パイプで組まれているような製品やサービスを見かけるなど、安全性への配慮に不安を感じることがある。 また、田畑の上に太陽電池モジュールを並べながら、農作物にも太陽光が照射するように工夫し、農業と太陽光発電を両立させるソーラーシェアリングに使われる発電システムの写真を見ると、設計や施工の低コスト化を優先するあまり、安全性への配慮に疑念を抱く発電システムも多いように感じている。 吉富 太陽光発電システ
加藤 何らかのチェックは必要だろう。こうした需要を汲み取って、ドイツのTUV Rheinlandや米国のULといった、独立系の試験・認証機関が、日本でも太陽光発電に関するサービスを始めている。ただし、日本の太陽光発電業界にとって、本当に必要な試験や認証を実現できる機関なのかどうかは、見極めが必要なように感じている。 吉富 太陽光発電システムの構造を判定するクライテリア(基準)について、見誤っている可能性が捨てきれない。特に、海外の試験・認証機関の日本法人の場合、日本の法令の読み込みが不十分なことが想定される。 加藤 もちろん、第三者の試験・認証機関が、太陽光発電システムの竣工時の点検や、関連設備の納品時に点検できれば理想である。しかし、その実現は容易ではない。 その理由は、第2回で紹介したように、太陽光発電は電気、構造、土木などの分野を横串で通した技術なのに、現在のところ、研究者まで縦割り
宮城県の岩沼市にある農地で、電気自動車を使った「スマートアグリ」の試みが始まった。農地に設置した太陽光発電システムからの電力を充電ステーションに蓄えて電気自動車に供給、さらに農機具やハウス栽培用の電力にも利用する。化石燃料に頼らない新しいスタイルの農業を目指す。 この取り組みは農林水産省が推進する「農村地域における未利用エネルギー利活用実証研究」として実施するもので、東日本大震災の被災地になった宮城県の岩沼市が対象地域に選ばれた。農村で得られる自然エネルギーから電力を地産地消する仕組みを構築することが狙いだ。 岩沼市内にある農地の空き地に小規模の太陽光発電システムのほか、リチウムイオン電池と急速充電器で構成する充電ステーションを設置した(図1)。この実証研究のために、三菱自動車工業が軽トラック型の電気自動車を近隣の農家に貸し出す。
宮崎空港からクルマで30分ほどの宮崎県国富町は、太陽光パネルを設置した住宅の比率が全国的にも高いことで知られる。この太陽光発電の“メッカ”に、ソーラーフロンティア(東京都港区)の国富工場がある。太陽光パネルの生産能力は、年産900MW、1日当たり約1万5000枚を生産することになる。1つの拠点でこれだけの生産規模は、国内はもとより世界的に見ても最大級に位置する。約40万m2に及ぶ敷地に巨大な2つの建物があり、1つが工場、1つが倉庫として活用している。この2つの建屋の屋上には、太陽光パネルが敷き詰めてあり、出力の合計は4MWに達する(図1)。 3つの工場で、年産1GWの製造能力 ソーラーフロンティアが生産する太陽光パネルは、「CIS型太陽電池」と呼ばれる。結晶シリコン型太陽電池が、結晶シリコン(Si)製の半導体を使うのに対し、CIS型太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)
太陽電池の変換効率は住宅用の多結晶シリコンで10数%、実験室レベルの単結晶シリコンで25%、同じく多接合を使うと40%を超える。それでは太陽光利用の大先輩である植物はどの程度の効率なのだろうか。
資源エネルギー庁が発表した再生可能エネルギー発電設備の導入状況を見ると、国内では太陽光発電に偏った状態が改善されていないことが分かる。加えて本来育てなければならない住宅向けが伸びておらず、メガソーラーなどの非住宅に頼った構造となっている。 再生可能エネルギーを利用した発電設備は国内でどの程度普及しているのか。これを把握するのに役立つのが、経済産業省資源エネルギー庁による集計データだ。同庁は3カ月に1度、導入状況を公開している。対象は2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT)の認定を受け、運転を開始した設備だ。 2014年1月に同庁が発表した集計データによると、2012年7月から2013年10月末までに導入された全発電設備の合計出力は585万2000kW(5852MW)となった(図1)。 2012年度の約8カ月間(176万9000kW)と、2013年度の7カ月間(408万3000kW
田淵電機は2014年1月に大容量リチウムイオン蓄電池を接続して使うパワーコンディショナー(パワコン)を製品化する。蓄電池の動作を3種類から選択でき、経済性や環境性、停電時の対応のうち、最も重視したい条件に合わせてシステム全体を自動的に運用できる。 ウェブサイトに掲載した特集記事を、印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」に編集しました。会員の皆様に無料でダウンロードしていただけます。 電子ブックレット→蓄電池をつなげたパワコン、太陽光の用途が大きく広がる ・電子ブックレットはPDFファイルで作成されています。 ・電子ブックレットは無償でのご提供となりますが、アイティメディアIDへの登録が必要となります。登録ユーザーではない場合や、登録済みのプロファイルに一部不足がある場合などは、ダウンロードリンクをクリックすると登録画面へジャンプします。 ・電子ブックレット内の記事は、基本的に
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