冥想により、限りなき知性と底知れぬ優しさを。そこに次の時代が・・・。この世はドリームでもあり、リアルでもあり。 ◎大明帝国再興の夢 隠元は63歳で日本にやってきた。彼が日本に来た理由については諸説あるが、有力二説がある。 一つは、愛弟子の也懶(やらん)が、長崎興福寺の住持逸念性融の招請を受け、厦門(アモイ)から出航したところ、風浪によって舟が転覆して、也懶は溺死。この也懶の無念の思いを受け、隠元が日本からの招請を受けたというもの。 もう一つは、隠元がほとんど滅亡しかかった明の再興の密命を帯びて、日本に渡来したが、日本にいるうちに鄭成功を中心とした明の残党が完全に力を失ったため、やむなく日本に帰化したのだという説。隠元は晩年弟子に送った手紙に「永く断つ中華の夢」と書き、その心中を表白している。 既に北京は1644年李自成の乱で陥落、南京に逃れた明の福王はその翌年南京陥落により敗死。更に明朝は