大倉崇裕作品は今回初めて。前々から『七度狐 』を読んでみたいなぁとは思っていたのですが、たまたま本屋でこの『福家警部補の挨拶』を目にしたのでまずはコレから。結構評判も良いようですし。 いわゆる「倒叙モノ」で、巻末の解説にもあるようにTVドラマ『刑事コロンボ』のオマージュ的な短編作品集。コロンボに対する敬愛の念は勿論ですが、本格ミステリーとしても充分楽しめるように仕上げようとする作者の心意気と丁寧な創りが感じられる逸品です。 初めて本格ミステリーを読み始めた頃は倒叙推理ってその楽しさ・良さがよく分からなかった(「最初から犯人が分かっちゃってるなんて、何の意味があるのサッ!!」てな具合)のですが、私も少しは大人になった(?)せいか、探偵の思考プロセスをなぞる楽しさ・犯人に徐々ににじり寄って行く緊張感・小さなキッカケから犯罪が崩壊していゆく伏線の張り方の妙、等々倒叙モノにしかない味わいが分かるよ
