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中東情勢
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第15話解説 最近、盛んに「コロナウイルスとの共存」という言葉を耳にします。この基になっているのは、「ウイルスの本来の目的は自分の子孫を増やすことで、ヒトを病気にすることではない」という考え方だと思います。ウイルスは単独では増えることが出来ないので、宿主とよばれる他の生物の細胞を利用して増殖します。この時、ウイルスの生存にとって絶対に必要な種類の生物を固有宿主と呼びます。ウイルスは固有宿主が病気になったり数が減ったりすれば、自分自身の生存に悪影響があるので、固有宿主をとことん痛めつけることはしないものなのです。 ヘルペスウイルスは固有宿主の体内で一生涯にわたって潜伏感染するので、宿主が元気で長生きしてくれることは、ヘルペスウイルスの生存にとって非常に有利です。この観点で見た場合、SITH-1はヒトの生存の役に立っている部分もあるのではないか、というのが今回のお話です。 <前の話 全話一覧
第14話解説 マンガでも解説しているように、ヒトの遺伝子に対する研究は、ヒトゲノム⇒マイクロバイオーム⇒メタゲノムというように、対象とする遺伝子の数がどんどん大きくなっています。推定ですが、メタゲノムを全部調べようとおもったら、ヒトゲノムの10,000倍くらいの労力、時間、お金がかかると思います。また、例えばHHV-6などのヘルペスウイルスでは、脳や神経節などの検体が採取できない部分に潜伏感染しているので、現実にはメタゲノム解析によってSITH-1などの病気の原因となる遺伝子を見つけることは出来ません。 我々が、うつ病の原因遺伝子としてSITH-1を見つけた方法は、もちろんメタゲノムを全部調べたわけではありません。HHV-6の潜伏感染の研究を理論的に発展させて、SITH-1とうつ病との関係を推定し、実際に検証を行いました。この際に威力を発揮したのが、末梢血の中の抗体を利用してSITH-1の
▶慈恵医大・ウイルス学講座が「うつ病になりやすい体質」が遺伝する仕組みを世界で初めて解明しました うつ病には「うつ病になりやすい」人とそうでない人がいます。この「うつ病になりやすい体質」は、遺伝率30~50%で遺伝することが判っていました。この遺伝率は高血圧や糖尿病と同じ程度なので無視することはできません。しかし、その仕組みは全く不明でした。 今回我々は、「うつ病になりやすい」人とそうでない人は何が異なるかを発見し、「うつ病になりやすい体質」が遺伝する仕組みを世界で初めて解明しました。そして、この遺伝の仕組みは、これまでに知られていない全く新しいメカニズムであることが判りました。 発表論文はこちら プレスリリースはこちら マンガによる解説はこちら ▶ブルーバックス『疲労とはなにか』書籍化のお知らせ 疲労のメカニズム、SITH-1、うつ病と疲労との関係、新型コロナ後遺症などの解明を通じて疲労
第16話解説 16話では、15話の「ヒトに潜伏感染しているウイルスはヒトの役に立つこともある」というお話をさらに発展させた仮説を紹介しました。この仮説のヒントとなったのは、サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)という本です。この本では、我々ホモ・サピエンスは、約7万年前に「認知革命」と呼ばれる認識に関する変化を生じ、急に大きな集団を作ったり、宗教や文化を発展させたりすることで、世界を支配して行ったことが描かれています。 ただ、この本の中では、「認知革命」が生じた原因やメカニズムについては、あまりはっきりとしたことは書かれていません。そこで私は、15話で説明したSITH-1の性質が、この「認知革命」のメカニズムではないかと考えたわけです。認知革命が生じた時期にHHV-6の感染が広がり、SITH-1を持つホモ・サピエンスが文明を発展させていったと考えると、夢が広がります。 <前の話 全話
慈恵医大・ウイルス学講座が「うつ病になりやすい体質」が遺伝する仕組みを世界で初めて解明しました うつ病には「うつ病になりやすい」人とそうでない人がいます。この「うつ病になりやすい体質」は、遺伝率30~50%で遺伝することが判っていました。この遺伝率は高血圧や糖尿病と同じ程度なので無視することはできません。しかし、その仕組みは全く不明でした。 今回我々は、「うつ病になりやすい」人とそうでない人は何が異なるかを発見し、「うつ病になりやすい体質」が遺伝する仕組みを世界で初めて解明しました。そして、この遺伝の仕組みは、これまでに知られていない全く新しいメカニズムであることが判りました。 20話:「うつ病になりやすい人」とそうでない人は何が違うのか? 21話:「うつ病になりやすい体質」はどのように遺伝するのか? 慈恵医大・ウイルス学講座が新型コロナ後遺症の発症メカニズムを発見しました 新型コロナ後遺
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