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chitala.hatenablog.com
トラボルタの寮はアギナに在る。初めて来たが立派な和風の一戸建てだった。口の悪いトラボルタがボロ家と言っていたのでもっと汚いと思っていた。 座敷でインスタントラーメンを食べた。一回り、つまり12歳年下のトラボルタは心にオカルト女子を飼っている。早速この寮にはお爺さんとお婆さんの幽霊が出るんですとやり始めた。 おばあさんが座敷の隣室に居て、それを廊下にいるお爺さんがずっと見ているらしい。そしてお婆さんはお爺さんに気がついておらず、2人の視線が交わる事は無いのだそうだ。2人は夫婦かなと言うと「いえ違います」と即答した。何故わかるんだ。小学生の頃こんな女子が居たな。 Mさんの方は疲れてはいるようだが態度に変化がない。私より10ばかり年上の彼は、何故かいつまでも私に敬語を使って話をする。大男の印象があるが実はトラボルタと大きさは変わらない。小顔のため大男に見えるのだろうか。まあ高身長の部類だろうとは
私がこれまで釣ってきたものは、ガティン(アジ類)を除けばあとは珊瑚(刺胞動物の集合住宅)、軍手(軍手)などの魚類というよりは雑貨類だ。基本的にはゴミを釣るのが得意だ。だからこんなに手応えのある魚は初めてだ。 泳がせ、引き、岩に逃げれば出るまで待つ。ごく短い攻防ではあったがこれには新種の愉しさがあった。 やがて引いても立ててもただ重くのっぺりとした手応えになった。それはもう浜まで揚がったからだそうだ。その頃には、もういつのまにか夜の帳はこの世界を覆っていた。 ランタンを片手に頼りない梯子をたわませデッキから浜へ降りる。 獲物へ向かう。先を早足で急いでいたトラボルタが、喜色を帯びた声で叫んだ。 「タマン!」 波打ち際には形の良い奇麗な色の魚が暴れていた。「ここで締めます」と言うのでポケットから折り畳みナイフを取り出し渡す。 「リザードマンからの贈り物じゃ」 「ホントそうス!」 それからトラボル
校長室(正確には校長住宅と言う)の廊下の襖は、住み着いた当初から劣化を極めていた。屋根自体が下がっているので少しひしゃげて途中までしか開閉しない。 襖自体も襖紙(もう剥がして捨てた)は虫に食い荒らされベニヤ板はささくれており汚い。同集落に渡り鳥のように期間限定で居る、珊瑚垣の島のSちゃんに改修工事をお願いした。Sちゃんは内地の家に2ヶ月、この集落の借家に2ヶ月と4ヶ月のサイクルで行ったり来たりしている人物である。 色々な道具を準備して来てくれた。 彼は珊瑚垣の島で生まれ育った後、定年まで内地の大手テレビ局に勤めていた。社内でも偉いさんだったようだ。かつての仕事の話も時々聞けて面白い。コマーシャルの時に映像を繋ぐ緊張感や、スポンサーのライバル企業の商品を映さないよう苦慮する話、私には無縁の世界だ。彼は昭和天皇崩御の時、緊急特番を流した経験もあるそうだ。 そんなSちゃんはスタジオのセット(今は
今夜は廃校で宴会だが出す料理が何もない。日雇いからの帰りは出港ギリギリで船に飛び乗ったのでスーパーに寄ることもできなかった。 廃校まで後少しの所にSちゃんとその義理の弟Kさんがいた。舟釣り帰りのようだ。バイクを停め声をかけたらピエロみたいな魚三匹と小さいクエのような魚を一匹呉れた。ラッキー。 これを刺身と煮付けにしようと思ったが私は刺身の切り方を知らない。 またネットで調べながらかと考えながら廃校に帰ると、校庭に滝の集落の大男Mさんが居た。釣竿を持っている。つまり大男Mさんは魚を捌くことが出来る。お願いして私はシャワーを浴びた。今日はついている。 やがてヒンジャ髭のYちゃんも来たので校庭の護岸で陽が暮れるまで飲んだ。太陽が沈みきった後は校長室で飲んだ。ヒンジャ髭のYちゃんの紹介でT兄という人も来た。 みんなそれぞれ料理を作ってきてくれたのでテーブルの上は賑やかになった。私はピエロ魚一匹とク
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