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無為の共同体―哲学を問い直す分有の思考 作者: ジャン=リュックナンシー,西谷修,安原伸一朗出版社/メーカー: 以文社発売日: 2001/06/15メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 51回この商品を含むブログ (29件) を見る はじめに われわれの生はかけがえのないものであり、あまねく命は尊いものである。それはわれわれにとってひとつの真理として流通している考えである。人類史上最悪とされる、人間が人間に対して行った行為、アウシュヴィッツにおけるユダヤ人虐殺は、その「真理」を徹底的に損なうものであるがゆえに否定されるのだ。 「かけがえのなさ」が真理であるとすれば、それは普遍的かつ一般的に適用可能な価値であるはずである。しかし、それはその語が意味するものと完全に矛盾しないだろうか。誰もが等しくかけがえないのであれば、それはもはや「かえがきく」のではないか。 おそらく、われわれはその矛
愛の完成・静かなヴェロニカの誘惑 (岩波文庫) 作者: ムージル,Robert Musil,古井由吉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1987/12/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 24回この商品を含むブログ (18件) を見る 部屋の中には夫と妻の二人。窓は濃い緑色の目隠しに覆われ、夕暮れの室外からは完全に切り離された空間として、その部屋はある。二人は愛し合っている。愛し合っている?なぜそんなことがわかるのか。たとえばその理由が、「そのように書かれているから」だとすれば、われわれはさらに、問いを継ぐことができる。そのように書くことを可能にしているものは何か、と。それはいうまでもなく、あらゆる空間を、すなわち個々人の内面をも均質なものとして移動することのできる、超越者の措定である。そこで愛は内面と内面の関係であり、その関係の記述者として超越者が存在するわけだ。しかし、「愛
文学空間 作者: モーリス・ブランショ出版社/メーカー: 現代思潮新社発売日: 1962/10/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (12件) を見る ハンス・ベルティングによる論文「Image, Medium, Body」はW.J.T.・ミッチェルが著した『イコノロジー』における三幅対「イメージ・テクスト・イデオロギー」の後者二つを置き換えることから、彼が「テクスト」よりも根源的で普遍的であるとみなす「イメージ」についての学への導入を企図したものである。その試み自体興味深いものではあるのだが、ベルティングの議論についてここで詳述することはしない。その第八章「Iconic Presence」において、彼はイメージと不在の密接な関係について言及しているのだが、ここではそれをひとまず導入として用いるに留めることにする。引用しよう。 Images traditiona
牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件〈上下巻・2本組〉 [VHS] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 1992/12/16メディア: VHS クリック: 19回この商品を含むブログ (17件) を見る 一九九一年という年号は、ソ連という国家の消滅によってではなく、ましてやジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』がハリウッドでオスカーを独占したことによってでもなく、『クーリンチェ少年殺人事件』と題されたたった一本の映画が台湾から世界に向けて発信されたという希有の事件によって記憶されることになるだろう。(蓮實重彦『映画狂人日記) 「1959年夏」 遠く、開いたドアの向こうから話し声。椅子に座る男の背中が見える。息子の、試験の結果に異議を申し立てる父親と、試験を監督する立場の女性らしき2人の会話だとわかる。部屋の外のベンチに座る「息子」と思しき少年。試験は名門、建国中学への入学に際したもので
ポスト・モダンの条件―知・社会・言語ゲーム (叢書言語の政治 (1)) 作者: ジャン=フランソワ・リオタール,小林康夫出版社/メーカー: 水声社発売日: 1989/06/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (31件) を見る J=F・リオタールは彼を一躍有名にした著書、『ポストモダンの条件』において、「ポストモダン」という時代は「大きな物語」の失効がそれを定義付ける事態だと論じた。「大きな物語」とは何か。リオタールによれば、それには二つある。ひとつは政治的・実践的な、「自由な主体」・「人間の解放」の物語。もうひとつは、哲学的・思弁的な、「精神の弁証法」・メタ主体としての「知の体系」の物語である。これらは、それ自体の正当性を問うことが無意味な、自明かつ普遍的な理想であり、あらゆる「知」に対して正当性を供給する源泉、また、その判断の準拠点として機能して
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