「デジタルアーカイブ」という言葉をご存知でしょうか。ミュージアムや文化財に関心のある方ならば、どこかでお聞きになったことがあるかもしれません。実は和製英語です。1994年に日本画家の平山郁夫氏が主導された「文化財赤十字構想」の中で生まれ、使われるようになりました。 戦争や災害で文化財が失われることは、歴史上枚挙にいとまがありません。平山氏は、自身の創作活動の中で世界を旅し、危機にある文化財のありさまに直面しました。そこで、オリジナルの文化財を守るとともに、その情報を、発達しつつあったデジタル技術で記録し、長く残すことを「文化財赤十字」の一つの柱として提唱されました。 不幸なことに、その後も文化財の滅失はやみません。つい先日のパリ・ノートルダム大聖堂の焼損は多くの文化財が常に危険にさらされていることを示し、世界に衝撃を与えました。その一方でデジタル情報通信技術は予想を超えた発達を遂げ、きわめ