5年ほど前、同じ教会の信徒の方が亡くなったが、当時手術後で教会を離れていた私は、その方のお葬式に出なかった。ご遺体を見ていないため、その方の死は私の心の中で具体化されることがなく、ゆえに私の中でその方は今でも生き続けていて悲しむこともない。 コロナ禍が最悪の状況下で父が亡くなった。この数か月間、コロナ禍ゆえに家族すら面会を許されず、看取りに同居家族さえ間に合わず、独りぼっちで逝ってしまった。あまりに惨い。 家族なので送り出さなければならない。コロナ禍なので通夜もない直葬(家族はクリスチャンではないので無宗教式)だった。感受性の高い妹は、父の亡骸と同じ部屋に長時間居ることを嫌がった。翌日、火葬場まで霊柩車の後について私が家族を乗せて車で赴いた。焼き場に棺が入り、1時間後には骨だけになった。そこで私は初めて泣き崩れた。