若き日に故郷を捨てた劉備 劉備は幽州(ゆうしゅう)の生まれですが、若い頃に故郷を捨ててしまいました。生家は豪族と言えど没落し貧乏でしたが、同族の劉元起(りゅうげんき)の援助で同郷の大学者の盧植(ろしょく)の門下生として学ぶというキャンパスライフを送ります。しかし、劉備は勉強には身を入れず、衣服を飾り立てて音楽と乗馬、ドッグレースなどに熱中するようになります。 同族とはいえ親戚の金でこんな事をしているのが、いかにもボンクラ学生ですが実は、ドッグレース場や音楽会場は地元の名士や任侠(にんきょう)の徒が出入りする場所でした。つまり劉備はただ遊んでいたのではなく、土地の有力者と交わり自分の顔を売っていたのです。 それは裏を返せば援助してもらっている劉元起のバックアップなど取るに足りないと劉備が考えていたという事です。まもなく中山の大商人、蘇双(そそう)と張世平(ちょうせいへい)の知遇を得るや資金を