『ノルウェイの森』の春の熊がどうしたとかいう噴飯物のくだりを読んでから、人はこんなもんよく読めるなあとずっと思ってきた。今でもそう思っている。もったいぶって何か言ってるようで実は何も言っていない(例のイスラエルのスピーチでもそうだった)、なんでこんなものをイラつかずに読めるんだろう? 最初に勤めてた会社を辞めた日、一年先輩の男性社員が、自分が今までで一番感動した本だ、きみにこれをあげよう、と言って、ハルキの昔の本をくれた。『羊をめぐる冒険』だったかと記憶していたが、今アマゾンで見てみたらこれではなかった。もしかしたらその人と少しハルキの話でもして、自分が今までで一番感動した本は『羊をめぐる冒険』だ、とか言ったのかもしれない。とにかくその人はハルキの本を一冊くれて、私はうーん困ったなあと思ったが、私、村上春樹が嫌いなんです、と言うわけにもいかず、有り難くいただいた。彼はハルキを愛するがゆえ、