ニコラについて 島袋道浩 昨年の9月、パリでニコラ・ブリオーに久しぶりに会った。ニコラとは僕が1998年にパリのギャラリー、エール・ド・パリで作品の発表を始めた頃に出会い、その最初の個展からほぼ毎回、展覧会を見に来てくれていると思う。時には共通の友人の家で一緒に食事をしたり。 様々な展覧会に足を運び、いろんなアーティストたちと膝を突き合わせて座り親密に話をする彼の姿は、世の人たちが彼のことを呼ぶ理論家や評論家と言うよりも、そして彼自身が自分のことを呼ぶキュレーターと言うよりも人類学者やフィールドワーカーという方が僕にはぴったりとする。本来、キュレーターの姿とはそういうものなのだろう。そしてニコラは彼自身の展覧会を作り、作品を見つめ、アーティストに寄り添いながら彼自身の言葉を紡ぎあげていく。ニコラ自身、考えるために展覧会をキュレーションすることが必要と話してくれたことがある。2014年にニコ