僕はどんくさい。どうもうまく手足というか、体全体を統率できないのである。 寝起きが悪い僕は、毎朝のように遅刻ギリギリに家を出て駅の階段を駆け上るのだが、どんなに急いでいても一段とばしが出来ない。よって走りつつも一段ずつを踏みしめて上るわけだが、足の前後運動が著しくトロいため、さほど歩い上るのと変わらない。なのにしっかりコケるのだ。どんくさいにも程があろうというものだ。 そんな僕が最初に就職したのが、小さい印刷・編集会社だった。ファッション誌の制作などをしていたのだが、こういう雑誌の仕事はほんとうに息つく暇がない。ページレイアウトを作ってるのにモデル写真が来ない、来たと思ったらサイズも違うし商品も違う。すべてがやり直しとなって、午前3時にデザイン会社へ車を飛ばすなんてのはザラであった。 そう、ザラであったのだが、いかんせん僕はどんくさい。車を飛ばす事が苦手なのである。 その日は横浜のデザイン