彼らは地べたに這い蹲ることにしか能がない。だからこそ、そこから翔くことを現実逃避だと彼らは批難するのだ。しかし、それは全てを俯瞰するための準備に過ぎない。人間的な生を生きるための。 私は〈私〉を見つけた。誰にも批判されない夢の場所。精神外の事柄にかんして私はまだ思い込みたくない。失うことの怖れがどうしてもあるのだと思う。私は失うものを何一つ持っていない。ただ、このように思い込んでいても消えることで、はじめてその大切さを知る。 思い込みで人は幸せになれる。ただ、思い込みにはたくさんの時間がかかるのだから、批判に目を覚まさぬよう隠れた場所で。そして、思い込むその何かは、この夢の根源を知ったうえで、選び取る必要がある。 大多数の人間は何を思い込んでいるのかわかってない上に、思い込んでいることを忘却し、忘却していることすらも忘却しているから、よくわからない幸せ、よくわからない悲しみを感じる。 抽象