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世界禁煙デー
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自閉症スペクトラムと呼ばれているような障害は、実は障害ではない。生物としての人類のバリエーション(変異)の一つである。本来は人類の、生息環境に対する適応の一つのあり方だというのが、ニューロダイバーシテイ(脳多様性)という考え方に他ならない(詳しくは正高信男著『ニューロダイバーシテイと発達障害』(北大路書房、2019年12月刊行)。 自閉症スペクトラムというものの実態は、(1)対人関係、取り分けコミュニケーションが不得手で、(2)興味・関心の幅が著しく限られていたり、こだわりが激しいという二点を特徴とする(つまり、いわゆるオタク的傾向が顕著な)発達「障害」として、一般にもよく知られるようになってきた。 「障害」はおおよそ、遺伝的要因によって生ずると考えるのが定説となっている。発症率はどんなに少なく見積もっても、1−2%25人に一人と主張する研究者もいる。この値は、他の大抵の遺伝的障害に比べて
認知症という病気はない。と言うのも、物忘れなどの認知機能低下を引き起こす病気はアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症など多数あり、それらを全部ひっくるめて認知症と呼んでいる。認知症とアルツハイマー病は医学的に同一概念ではなく、アルツハイマー病は認知症の原因疾患の一つに過ぎない。 ところが最近は、医師が何でもかんでもアルツハイマー病と診断するようになってきている。以下に厚生労働省の患者調査のデータを示す。医療機関における認知症疾患患者数に占めるアルツハイマー病の割合は、平成11年を境として飛行機が離陸するかのように年を経るごとに増加していっている。 アルツハイマー病は感染症ではないので、ある年を境に急激に増えたり減ったりすることはない。社会が高齢化することで認知症患者数全体が増えることはあり得ても、その中に占めるアルツハイマー病の割合が増え続けることはあり得ない。ゆえに平成11年
私は、医師になって13年目、在宅医としては1年目の医師です。 消化器内科医として急性期病院で救急医療と消化器癌などの治療を行ってきました。患者さんが癌末期になった場合、病院で最期を迎えられるケースがほとんどです。中には自宅での生活を希望され、在宅医に依頼をした方もいますが、それは一握りです。本当は自宅での生活を求めていたけれども、叶えることができなかった患者さんもいらっしゃったと思います。 昨年、私は緩和ケア病棟で研修を行った後、地域の病院で、在宅医療を中心に仕事を始めました。その中で私自身はもちろん、ご家族もきっとご本人も非常に満足できたであろう在宅での看取りを、経験できました。その患者さんの報告から、在宅での看取りが可能になるために、現状の問題点を考えたいと思います。経過を日記風にまとめました。少し長くなりますがご了承願います。 紹介するのは、80歳代の男性で、病名は胃癌、肝転移、リン
医療介護関係者の間では、「地域包括ケア」に関する講演会は盛んであるが、一般庶民にとって、「地域包括ケアシステム」とは何かと問われても答えることが出来ないだろう。「地域包括ケアシステム」について厚労省が出している解説は以下のようなもの(図1)であるが、この中での要点は、「重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが出来るようにすること」である。しかし、この考えは、1980年代から厚労省が打ち出した、各種の政策(ゴールドプラン=高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略など)とどこが違うのかと訊かれると困ってしまう。高齢者ケアの目標として、「重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることが出来るようにすること」は当然すぎることであろうし、医療と介護が相互に連携することも、今までと同じとすれば、単なる言葉の違いなのだろうか。 そ
挙児を希望しながら一年経っても妊娠出産されていないカップルは、不妊症という病名での保険診療が可能になります。また、男性に精液所見の異常が認められる場合や、女性に卵巣機能不全(月経異常)、子宮内膜症、子宮筋腫、卵管異常などの合併症がある場合は、一年経っていなくても保険診療の対象になります。近年、人口減少に伴ってカップル数は減少していますが、結婚年齢が遅くなっていることもあり、治療を必要とするカップルの割合は増加傾向にあります。最近の国立社会保障・人口問題研究所の報告では、結婚されていない男女も多く、また6組に1組のカップルには子供がいないとされています。 思春期になると、精巣で約70日かけて精子が造られるようになります。1日に数千万もの精子が日々新しく作られています。一方、女性の卵子は、排卵直前に第1減数分裂を完了し、そのあと精子侵入によって第2減数分裂を完了して受精に至るのですが、その第1
安倍内閣は、再び「人づくり革命」を掲げて、有識者会議を立ち上げています。確かに、人づくりは重要な問題ですが、では、どの様な人材を育てようとしているのかを問うと、まともな返答がないのが通例です。 戦後長い期間、日本の初等中等教育は(高等教育も含む)、企業の役に立つ人材を育てることに徹していました。太平洋戦争で日本の産業が壊滅し、一刻も早く復興するためには、まずは企業の再興、そしてそのためにはそれに沿った人材が必要とされたのです。 同時に、1930年代からの大量生産時代においては、工学的な技術を持ち、大量生産体制に適応した、つまり、従順で規律があり、一斉に行動する、いわば「体育会系」の性格を持った人材が企業にとって必要でした。行動に疑問を持ち、企業の言いなりにならない社員は迷惑だったのです(現在でも、かなりの数の企業はこの様な「体育会系」の人材を求めている)。 しかし、1980年代からの、IT
「先生、これはどれくらいでできるもんですかね。」 検死に呼ばれた私が、迎えのパトカーから降りてすぐ、挨拶もそこそこに発せられた質問でした。 警察署の検視場には、いつものように一本の線香から立ち上る煙がその場に漂う独特の臭いを和らげてはいるものの、死亡して何日も経ち既にミイラ化しているのではないかと思われるほどに痩せこけた老女の遺体が『ゴロン』といった感じで置かれていたのでした。 何の情報も貰っていない私には、「そうですね。数日でできるといったもんじゃあないし、全体の様子からはそれなりに時間が経っているとしか思えませんが」と、答えるしか言葉がありませんでした。 何ができていたか。 それは、左半身のいくつかの突出部に生じた褥瘡(じょくそう:長期間の圧迫により血液の循環が悪くなり、組織が腐って潰瘍を形成した状態)でした。長い間、十分な栄養を取れていなかった事を示すように痩せ衰えた身体に加えて、左
児童虐待の相談対応件数は、2015年には10万件を超えました。この相談対応件数というのは、児童相談所が虐待通報に対して、対応し書類が残ったものが一件とカウントされます(よってイタズラ電話などは含まれません)。すなわち、毎年10万件の虐待相談に関連する書類が児童相談所内で作成されているということになります。 ただし、虐待が本当に増えているのかどうかについては注意が必要です。というのも、次の図にあるように、虐待によって亡くなってしまった子どもの数は2006〜2008年頃から下落しているからです。 よって、この虐待相談対応件数の増加は、私たちが児童虐待により多くの関心を割くようになった結果、通報件数が増え、子どもが最悪のケース(死亡)から免れることできたことが、数の下落につながったのかもしれません。 また、児童虐待について話をする際に、私たちは往々にして虐待をする親を非難してしまいがちです。確か
格差は、現代資本主義の必然的な結果とも言えるでしょう。 グローバリゼーションとITの発達に伴い、職人の追放、事務職の削減などが起こり、中間層が薄くなります。同時に企業の内部留保を手厚くすることへの批判もあり、企業は株主への配慮を強くし、その結果、資本家(株主)は、株価上昇、配当増加によって潤います。そして、一握りの高所得者が富の大半を握るようになるのです。 製造業の相対的縮小(これは生産性向上の結果であることに注意)と共にサービス業(人に奉仕する産業)の相対的増加が起こり、労働者もサービス業への就業が次第に増加します。しかし、サービス業の生産性は低く給与水準も低いのです。なぜなら、生活必需品が多くを占める製造業と違い、サービス業は価格が上昇すると、需要が減退します。(理髪店を考えてください) 結果的に、資産を基にした所得や創業者に対する高い給与に対して、サービス業を中心とする低所得が2極化
慎泰俊と申します。「五常・アンド・カンパニー」という会社を経営しています。五常は、アジアの発展途上国でマイクロファイナンスを行っている会社です。世界人口約73 億人のうち、金融機関に口座をもたない人は25 億人以上いると推計されています。その多くは途上国に住む貧困層です。日本では金融アクセスがすべての人に当然のように提供されているので、理解されにくいかもしれませんが、これは深刻な問題です。銀行口座が無いとお金を安心して貯めることができませんし、日本人であれば皆が入っている国民健康保険にも入ることができません。自分で事業を起こそうとしても、その資金は自分で貯めないといけません。このような人たちに提供される小額融資(マイクロクレジット)、預金(マイクロセービング)、保険(マイクロインシュランス)などの小規模金融サービスをマイクロファイナンスと言います。 例えば、途上国の人が衣服を作り商売をする
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