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I.おじろく,おばさ制度 耕地面積の少ない山村では農地の零細化を防ぐために奇妙な家族制度を作つた所があつた。長野県下伊那郡天竜村(飯田の近く)では16-17世紀ごろから長兄だけが結婚して社会生活を営なむが他の同胞は他家に養子になつたり嫁いだりしない限り結婚も許されず,世間との交際も禁じられ,一生涯戸主のために無報酬で働かされ,男は「おじろく」,女は「おばさ」と呼ばれた。家庭内の地位は戸主の妻子以下で,宗門別帳や戸籍簿には「厄介」と書き込まれていた。かかる人間は家族内でも部落内でも文字通りの疎外者で,交際もなく,村祭りにも出ることもなかつた。明治5年には人口2,000人の村に190人の疎外者がいた。昭和35年には男2,女1となつて今や絶滅に瀕しているが,このような社会からの疎外者はどんな人間になつているかを検する機会を得た。
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「あなたはADHD系」,「彼はアスペ系」といったように,友人同士の他愛もない性質分類にも発達障害カテゴリーが用いられるようになってきた.そのような視座から,往年の映画の登場人物をみるならどのような解釈が成り立つだろうか.発達障害を有する人物は,映画の主人公になりやすい特異なキャラクターを有しているが,その頂点に立つ人物といえば,やはり「男はつらいよ」シリーズの寅さんこと車寅次郎(渥美清)である. 本人が語る自己像も「生まれついてのバカ」なら,おいちゃんの寅さん像も「生まれつきのバカ」であり,幼少期から発達や行動上の問題を有していたものと思われる.
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