サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
パリ五輪
www.ask.ne.jp/~yamanaka
「阿羅漢」の写真 ある朝、全身に醜い布を巻き、悪臭を放ちながら、ゆっくりとした足取りで歩く人に出会った。 焦点があっていない眼で遠くを見つめていた。 早朝に自転車で出発し、繁華街や公園を探し彼らを見つけ出し「写真を撮らせてください」と声をかけた。 しかし、容易に撮らせてくれない。嫌がって逃げてしまう。またお願いする。 唾をかけられても、殴られても離れないでいる、とうとう諦めた時に、二・三枚の写真を撮らせていただいた。 二日間も一緒にいて、やっと撮影できた人 毎日何十キロも歩き続けている人 寝床や着る物を一切持たない人 ひたすら何かを唱え続けている人 全身をビニ-ルで包んだ人 髪の毛が粘土のように固まっている人 話すことも聞くこともできない人 顔が醜く腫れてしまった人 一日中、寝続けている人 栄養不足で足を引きずっている人 四年間で撮影した人は数百人にもなるが、その中で確かに仏と人間の間にい
「不浄観」の写真 「死」というものを実感として受け止めることができないものかと考え、試みに、犬の死骸を海岸で見続けることにした。 一日目、この犬の一生は幸せだったのかと頭を撫でて思った。 二日目、犬の顔が悲しそうに見えてきた。少し臭いも強くなったようだ。 五日目、死んだ場所にカラスが沢山集まって柔らかい眼や肛門を喰っていた。 七日目、体が膨張し血液や膿が流れ、ハエが沢山とまり臭いも著しくなった。 十日目、口の中に蛆がわき、体も二倍に膨れ上がっていた。 手で触ると温かいまた体に熱がもどってきたのだと感動し思わず手をあわせた。 十二日目、腹の皮が破れ蛆がいっぱいに詰まっているのが見えた。 熱は蛆と蛆の摩擦によるものとわかりがっかりし、死は醜く、哀れなものだと思った。 十五日目、顔の皮も破れ骨が見え、体も薄くミイラの様になり、臭いも少なくなった。 死骸が埴輪の様に美しく見え、これを写真に撮った。
Their eyes were marvelously pure, like incarnations of the Zenzaidohshi, children of ancient times who had rid themselves of all desire in pursuit of the Way of the Buddha.
山中 学の写真 無空 茫々然 小さな身体はわずかな時間の中で最後の美しい姿を私に残してくれた。 浄土 仏、菩薩のいる清らかな世界 童子 恐ろしく澄んだ眼をしてる子供達、 それはまさに”善財童子の化身”に思えた。 羯諦 最後に写し撮れたのは、物としての人間が 消えゆく前の最後の肉体だった。 不浄観 骨が見え、体も薄くなった死骸が埴輪の様に美しく見え、 これを写真に撮った。 阿羅漢 数百人の内で、確かに仏と人間の間にいる人のような 輝きをもつ人を16人選んだ。 2009年9月10日発行 『羯諦 山中学 写真』 発行:ポット出版 山中 学プロフィール 無空 茫々然 浄土 童子 羯諦 不浄観 阿羅漢 トップページへ戻る (Back to top page)
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Manabu Yamanaka Photograph』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く