1998年12月維持会ニュースより 交響曲の世紀 新響フルート奏者 松下俊行 *多作家の時代 ストラヴィンスキイがヴィヴァルディを評してこんなことを言っている。 「ヴィヴァルディは、ひどく過当評価されているけれど・・・・・同じ形式をあんなに繰り返し作曲できた、退屈な男にすぎない」 さるイタリアの現代作曲家もこの母国の先達に対し、 「ヴィヴァルディは600曲のコンチェルトを作曲したのではなく、1つのコンチェルトを600通り作っただけだ。」 と誠に辛辣である。目まぐるしく変貌し続ける現代の音楽では、ひとつのスタイルにはいつまでも固執していられないし、それだけに作品の数も限られるという事情もあろうが、目の敵にされたヴィヴァルディには気の毒としか言い様がない。600通りに作れるのであればそれはそれで価値があるだろうとの弁護も出てきそうだ。 確かに彼は多作であった(600曲のコンチェルトは誇張にして