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掃除・片付け
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身近にいた人のちょっとした変化、同じことばかり聞いてきたり、物忘れがひどかったり、または怒りっぽくなったり。もしかしてこれって認知症なのでは? 認知症の症状はご本人ではなく周囲の人から気付く変化が多くあります。そんな「もしかして?」の認知症の症状や対応についてお伝えします。 1. これって認知症? 「最近もの忘れがひどくて」 加齢に伴いそんな言葉をよく耳にします。 ですが、物忘れがひどい=認知症というわけではありません。年相応の物忘れもあります。例えば朝に食べた食事のことを忘れてしまうなどです。認知症の症状による記憶障害は、進行すると食べたこと自体を忘れてしまいます。 2、どう対応すればいい? 今までなかった症状の表れに家族は動揺されるかもしれません。しかし当の本人はいたって普通のこともあります。 家族が「さっき食べたじゃないの!」と言っても、本人は記憶がまったくないので「馬鹿にされている
一晩中徘徊してしまうKさん95歳男性のお話をします。 夕飯が終わり、他の利用者様も各自お部屋に戻った20時頃、フロアはとても静かになります。そこからKさんの活動は始まります。辻褄の合わない独り言を言いながら、廊下を端から端まで歩き、時には他者の部屋へも入ろうとしてしまうのです。 そして、ナースコール対応に追われている職員の後ろをぴったりと付きまとってはブツブツと何かを話しています。他者のオムツ交換のために部屋に入る時ですら、一緒に中に入ろうとする為職員は困り果てていました。 何がしたいのか、目的は何かを探る 認知症の周辺症状には、全て理由があると捉えた上で、なぜ徘徊するのか、なぜあの時間なのか、を探ります。 夜間に活動的になるからと言って、決して昼間に寝てばかりいるわけではありません。Kさんは95歳、毎日リハビリ歩行や外への散歩を行なっている為、同年代からしたら活動量は多いです。 Kさんが
救急二次病院に勤務していた中で、様々な認知症の患者様に携わってきました。沢山携わってきた認知症患者様の中でも、思い出に残る患者様の紹介をします。 入院時の患者様の状態 80歳代の認知症のA氏(男性)は、心疾患を患い、入院時より点滴、酸素治療を開始しました。会話は出来て、自覚症状もなく、本人はニコニコされていました。 会話はできても、認知症により治療の意味が解っておらず、何度も酸素と点滴を外されました。点滴を抜いたら、新しく入れ替えるのですが、酸素は簡単に外せます。何度もベッドサイドに行って酸素を装着するのですが、つきっきりでないと、酸素吸入もできません。シリンジポンプで微量用の注射もしていましたが、何回も点滴を抜いてしまいます。 酸素を外し、点滴を自己抜去された場合の看護 A氏は、酸素カニューレを使用していました。認知症により、酸素吸入の意味が理解できず、酸素カニューレを何回も外されました
認知症高齢者の中には、ろう便と呼ばれる便を触り、洋服や顔壁になすりつける行為を繰り返す方がいます。今回は、ろう便についてDさんの事例を通して考えてみます。 Dさんの人物像と日常生活 Dさんは83歳になる女性で、1年前まで息子さん夫婦と生活されていましたが、お嫁さんの介護疲れをきっかけにグループホームへ入居となりました。 性格は明るく、やさしい面があり、人に何でもしてあげたい方です。職員が間に入らないと、自分のパンツを男性入居者さんにあげたり、便のついたトイレットペーパーを他の入居者様にあげようとされます。体は元気で自力歩行でき、食事も自力で召し上がる事ができます。 そんなDさんは要介護3です。便の排泄処理が自力困難です。排泄時トイレットペーパーをたくさん取りポケットや服の中にしまいます。そして便処理はほんのわずかなトイレットペーパーを使い、指で掻きむしるように肛門の中にご自身で入れます。そ
認知症のSさん(80代男性)はグループホームへ入居される際、娘さんに「ちょとご飯でも食べに行こう。」という嘘をつかれてやって来ました。 娘さんが自立した後、早くに奥さんを亡くされ、長い間お一人で暮らしていました。Sさんが認知症発症後、娘さんは訪問介護やデイサービスを使用できる様に手配しましたが、Sさんがサービスを受けることを頑なに拒まれ、ほとんど利用する事はできませんでした。 Sさんはある時、ボヤ騒ぎを起こしてしまったのです。近隣の方の迅速な判断により、火事までには至りませんでしたが、それを機に娘さんはSさんの施設入所を決める事にしました。そしてグループホームへの入居が決定したのですが、肝心のSさんがなかなか家から出ようとされません。そして仕方なく娘さんは嘘をついてSさんを連れて来られたのです。 Sさんは入居後、嘘をつかれた事に気付かれました。ご自身の荷物をまとめて、ユニットの入口から出よ
私が勤めているのは1階がデイサービス・2階が高齢者共同住宅ですが、この施設で起きた物盗られ妄想の実例とその対応・対策を書きます。 Tさん(78歳女性)は脳梗塞を起こし、その後遺症により半身麻痺(歩行器により歩行可能)と脳血管性認知症があり、認知症の症状として物盗られ妄想がありました。 「洋服が無くなった」と言っていますが、一緒に探すと出てくるので、誰かがTさんの部屋に入って移動をしていると思っていました。次第にTさんは、職員が洗濯物を間違って他の入居者様の部屋に持っていっているのではないか、と思っていました。そして、職員がわざとどこかに隠しているのでないかと妄想にまで発展をしました。 物盗られ妄想に対する対処療法1 最初の頃は、本人から訴えがあったら、否定をせずに部屋の中を一緒に探していました。しかし実際の所、他の入居様が持って行ってしまったり、職員が洗濯物を配布する際に、他入居者様の引き
① 症例 腰の骨を折って入院し、在宅での生活が難しいと判断され、介護老人保健施設(老健)に入所することとなったSさん(女性 79才)。 Sさんは軽度の認知症ですが、骨折する前はアパートに一人で暮らしていました。腰部を骨折し、退院して老健に入所する頃には、杖をつけば一人で歩くことができ、身の回りのことはほぼ一人で行うことができていました。 本人の性格としては、こだわりが強く、他人に深く関わられることを嫌う傾向にあるのが特徴です。そんなSさんの一番の問題は入浴拒否でした。 ② 問題:入浴に対する拒否が強い 入所して3日ほど経ったある日、職員がSさんを入浴にお誘いしました。しかしSさんは「しんどいからね、お風呂はやめておく」と断られました。 その日はたまたま気分が乗らなかったのかもしれないと、後日また誘ってみることにしました。しかし、数日後に誘ってみるもまた断られてしまいました。温泉が好きとの情
Bさん(91)は夫が亡くなってから自宅で一人暮らしをしていましたが、娘に対して1日数十回電話をしてきては「通帳や判子が見当たらない」「大事な着物が無くなった」と話される事が頻繁になりました。 また1日数回近所のスーパーへ買い物に行き、同じ物を購入する等、認知症の周辺症状や中核症状が顕著に見られるようになったため病院で診てもらったところ「アルツハイマー型認知症」と診断されました。 一人の生活は難しいと判断され、有料老人ホームに入居されました。 入居後に対応した方法は 特別拒否もなく入居されたBさんですが、自宅の時と変わらず「判子がない」等の訴えは続きました。 自宅から金銭に関わるような物は持ってきていない為、「持ってきてないですよ」「自宅にちゃんとおいてありますよ」等の声かけや、「判子は今新しい物に作り替えているからこの場にはないです」「今日家族が持ってきてくれるようです」と、Bさんの質問に
行きつけの居酒屋に来なくなったことから認知症が発覚した事例を紹介します。 Kさん(男性・76歳)はとある地域で、一人で暮らされています。ほぼ毎日、アパートの近くにある居酒屋に行っていました。しかし、ある日を境に全く姿を見せなくなりました。 居酒屋に来ていた常連客が民生委員に相談 しばらく姿を見せず、居酒屋の常連客も心配になっていましたが、まあそんな時もあるだろうと初めは気にもしていなかったそうです。しかし、ある日に道の花壇で寝ているKさんを見かけ、声をかけました。どうやら道で転倒して花壇に突っ込んで動けなかったとのこと。 居酒屋の常連客も最近Kさんの様子がおかしいという話になり、近くに住んでいる地域の役員に相談したそうです。その地域の役員の方は民生委員でもあったため、すぐKさんに話をしに行きました。 3日間食事もしておらず、家賃の支払いも遅れる 民生委員がKさん宅へ伺うと、Kさんはコタツで
初めまして。私は、老人保健施設で働いていた作業療法士です。作業療法士とは、ざっくり言いますとリハビリのお仕事です。 とても様々な場面で活躍出来るのですが、あまりに多すぎるので今回は私の行っていた老人ホームでの、ある利用者さんとのリハビリのお話をひとつ紹介します。 <老人保健施設での出会い> 老人ホームはいくつかの種類があります。その中で、老人保健施設(以下、老健)というのは、リハビリを行なって自宅に戻るための施設という位置づけとなっています。 病院というのは、治療が済んで体調が安定したら、もう出て行かねばなりません。もちろん、元の生活に戻れるようにリハビリも同時進行で行われます。しかし、特に高齢者は期間内に自宅に戻って再び自由に生活が出来るほど身体機能の回復ができる方は多くありません。 介護が必要な状態で自宅に退院したとしても、パートナーも同じく高齢ですので、介護は難しくなります。一人暮ら
認知症のTさん(80代女性)はグループホームに入居されて5年の利用者さんです。日常動作は自立されていましたが、足腰が弱くシルバーカーを使用して歩かれていました。 歩行時にバランスを崩して転倒される事故が多く、入居5年の内で骨折をして入院される事が2回ありました。入院期間中にリハビリを行い、退院の際にはシルバーカーを押して歩ける程に回復されましたが、歩行の状態は悪くなっていきました。 特に2回目の骨折以降は歩行の様子がますます危なっかしいものとなり、一人での歩行は難しくなってしまいました。歩行時は職員が付き添ったり、側で見守りをしたりして対応をしていました。 転倒をしてしまう原因と様子の観察 Tさんは認知症の為、自分の足が悪い事を覚えている事ができません。もちろん2回の骨折の事も忘れてしまっています。その為、ゆっくり慎重に歩けば安全に歩く事ができるのに、自分を過信して勢いよく歩いてしまうので
今回は認知症高齢者のセクハラ行為への対応についてお話します。 デイサービスに週2回通っているTさん(87歳・男性)。Tさんはいつも発言こそ少ないが、いつもニコニコしてとても穏やかな方。時々、ボソッと面白いことを言ったりするので、職員からも人気でした。 いつものようにデイサービスを利用されているTさんでしたが、ここ最近は認知症かもしれないと疑われることがしばしば・・・。 他の利用者のカバンを自分のカバンと思い込んで持って帰ろうとしたり、他の利用者の靴を履き間違えていたりと、認知機能の衰え?とも取れるような行動が目立つようになりました。 女性職員へのセクハラ行為 ある日、Tさんが体調悪くて一人でトイレに行くのがしんどいから介助してほしいと依頼がありました。普段はお一人でトイレに行かれるTさんでしたが、頼まれた女性職員も本当に体調が良くないのかもしれないとトイレ介助をすることにしました。 Tさん
私はデイサービスで就業しております。大規模な施設ではなく小規模なアットホームな雰囲気がウリ!という施設。お泊りサービスもあり、常に2~4名程の利用者さんがいます。 年代は60代後半から100歳まで。利用者のほとんどの方が認知症を患っている方です。 今回は認知症の利用者様と介護スタッフの一日の流れを綴らせていただきます。 マニュアル通りに行かない!認知症利用者の一日の始まり 認知症をあまり詳しく勉強してなかった私には予期せぬことが多数起こりました。 アットホームが売りのデイサービスでしたが、持ち物を管理する部屋やロッカー、下駄箱がありません。ですので、朝、利用者が来たときは上着、履物、かばんを把握必要がありました。一定の時間に多数の利用者さんが訪れるものですからスタッフは瞬時に持ち物を確認し、紙に記入していきます。コツもあるのかもしれませんがなかなか瞬時には難しい。 時間がなくてきちんと確認
認知症のKさん(71歳男性)はグループホームに入居され1ヶ月の利用者さんです。グループホーム入居前はご自宅で奥様が介護をされていました。身体能力に問題はありませんが、早くからアルツハイマー型認知症を患い、発症から10年が経過している為、認知能力が低下し、意思の疎通は難しい状態でした。 排泄障害 認知症により認知能力が低下すると、トイレの場所や使い方が分からずトイレで排泄を済ます事ができなくなってしまいます。以前から使用していた自宅のトイレでは問題なく一人で排泄を済ます事ができても、それ以外の慣れていないトイレでは使用の仕方が分からなくなり、人の手を借りる必要がでてきてしまう事があります。認知症の方は、新しい情報を覚え、順応して行く事が難しいという面があるからです。 Kさんは就寝してから起床までの間にいつも3回程トイレの為に目が覚めていました。目が覚めて起きあがってもトイレには向かわれず、部
夫婦での老老介護の難点 今何かと問題になっている老老介護。私の祖父母がまさにそれにあたり、夫婦二人暮らしで祖父が祖母の介護をしています。色々と問題や、心配もあるのですが、まず最初にぶち当たったのはトイレの問題でした。 祖母は、認知症による記憶障害、見当識障害が主に進んでいますが、体には問題はなく、立ち座り、トイレは自分で行くことが出来ます。なので、祖父はトイレを祖母一人で行かせていました。夫婦とはいえ、男女。祖父は祖母のトイレ介助を直接行なう事を躊躇していました。 結果、トイレに行っても水の流し方や、パットの処理の仕方が判らない祖母が、トイレに行くたびにパットをトイレに流して詰まらせてしまったり、大便をあちこちに擦り付けてしまったりと大変な事になっていることも少なくはありませんでした。 また、自分でお尻を綺麗に拭くこともできません。お尻周りや陰部は汚れが残ったままなので、かぶれていつも痒そ
アルツハイマー型認知症で入所中のAさん(80歳代・女性)です。元々は息子夫婦とともに暮らしていましたが、ご家族の希望で施設入所となりました。性格は穏やかな方で、笑顔が素敵な女性です。 Aさんは筋力の低下で歩行が不安定であり、付き添いが必要な方です。日中は主に車椅子に乗車し、テレビを見たりして過ごしていました。 Aさんの問題点は、徘徊をしようと急に車椅子から立ち上がってしまうところです。理由を尋ねると、「◯◯さんに呼ばれている」と言い、車椅子から立ち上がり、歩いてどこかに行こうとしてしまいます。 家族に伺うと、「◯◯さんっていう人なんていなかったと思います。」とわからない様子でした。Aさんに尋ねても、うまくコミュニケーションが図れず、聞くことはできませんでした。 Aさんは歩行が不安定です。一人で歩行してしまうことで、転倒するリスクがあります。自宅でも一人で歩いた際に、転倒してしまったことがあ
「汚れた服をそのままタンスへしまってしまう」 「汚物のついた下着をどこかへ隠してしまう」 これらは認知症の人に非常に多い行為です。 汚れた衣類をそのままにしておくと、悪臭の元になったり、カビが生えたり、虫食いの原因になったりして、衛生上よくありません。今回は、認知症の人が汚れた服を隠してしまう理由と、その対応策についてくわしく書いていきたいと思います。 ■汚れた服を隠してしまう理由とは? いちばん多いのは、尿失禁や便失禁などで衣類を汚してしまった場合に、「人に知られたくない」「恥ずかしい」という羞恥心から、服を人目に付かない場所へ隠すケース。 あとで見つからないように自分で洗おうと思い、自分のタンスなどに入れてそのまま忘れてしまう場合や、後先を考えずにとにかく早く隠そうと、突発的に目に付いた物陰や引き出しの中に隠す場合などがあります。 服を汚してしまった罪悪感や、失禁をしてしまったという羞
A氏はパーキンソン病が持病としてあり、さらに認知症と診断名がついている女性です。認知症としての症状は、短期記憶障害(最近の記憶保持が難しくなる)や固執症状が主となっています。夫、長男と自宅で同居していますが、夫は要介護状態であり、長男も仕事があるため、ほとんど自ら言葉を発することがない状態でした。在宅生活を継続していくためにも(家族希望もあり)デイサービス利用が開始となりました。 在宅生活では、パーキンソン病の病状により自身で立ち上がることも困難な状況であったため、利用開始当初から日中ほとんど座ったままの生活をされており、食事も長男の介助により食べている状態でした。デイサービスを利用するにあたって長男より「自分で食事を摂れるようになってほしい」という要望があり、これに向けた支援を行っていくことになりました。 尚、デイサービス契約前の利用体験をしていただいた際に自身でコップのお茶を飲むことが
トイレの場所を覚えてもらうことから始める Yさん(90歳・女性)は小柄な方で裕福な家庭で過ごされていたことからとても上品な方でした。 しかし、認知症だけではなく緑内障による視力の低下も見られたため、入居してすぐはトイレの場所がわからなくなることがありました。各居室にトイレが付いているタイプなので距離は近いのですが、目が見えないYさんにとってはトイレの場所を探すのも一苦労。 そこでスタッフたちは居室を訪問するたびに、トイレまでの導線を毎回Yさんと一緒に確認することにしました。手探りでもわかるように、テーブルの位置や手すりの位置、洗面台の位置をスタッフ全員が同じ伝え方をすることで、Yさんもだんだんとトイレまでの行き方を覚えるようになりました。 認知症の方であっても毎回同じ行動を繰り返すことで新しい情報も記憶することができるのです。 失禁してしまったことからショックを受けてしまう Yさんもほぼお
今回は介護施設での入浴を拒否するTさん(89歳女性、初期のアルツハイマー型の認知症)のお話。彼女は眼科医である旦那様の手伝いの傍ら、料理教室や茶道教室を開いており、とても活動的な生活を送っていた。性格は好き嫌いが激しく、物事をはっきり言う 認知症により短期記憶が少し欠けているものの、職員の顔や同じ時期に入所した利用者の名前などは覚えている。 日常生活では、朝起きてからの整容やパジャマからの着替え、トイレに行った時の汚染パッドの交換など、身の回りのことは一通り自分でやることは出来ていた。しかし、入浴だけはスムーズに行かず、面倒くさい、実際は入っていないのに『昨日入ったからいい。』と、拒否される事が多かった。娘様からの情報で、お風呂は元々好んで入る人では無かったとある。しかし、入って仕舞えば『気持ちが良かったー』と笑顔が見られる。 入浴拒否への対応の失敗例 Tさんのいる施設では、入浴する曜日は
認知症患者の多くは、自分自身が認知症を患っている自覚がなく、周囲の人間を敵対視してしまいます。時には暴言で反論し、時には暴力で抵抗します。認知症患者にとっては「自分でできるのにどうして手伝うんだ!」「自分のことくらい自分でする!」という思いがあるのです。 いわば、介護職員や家族の行動は「おせっかい」な存在。どうすれば良い関係を築きながらケアをすることができるのでしょうか? 特別養護老人ホームに入居してきたAさん(男性)は、重度の認知症がありました。意思疎通は困難で、物事の善悪の判断がほぼ出来ず、他者に対する暴力行為が認知症症状の中で顕著に現れていました。 Aさんは、尿意・便意がなく自身でトイレに行くこともなかったので定期的に職員の誘導でトイレ介助を行っていました。しかし、介助されることを最も嫌っていたAさんはとにかく怒る。職員の介助する手に噛みつき、腕をつねる。そして着衣が濡れている時には
認知症の症状は幻聴、幻覚、感情失禁と様々ですが、施設内で厄介なのが「夕暮れ症候群」といわれる症状です。名前の通り夕暮れ時午後4時ごろから6時頃にかけてみられる「家に帰る」「どうしてここにいなきゃいけないのか」「夕食の支度をしないといけない」などと荷物を持って帰宅の訴えをしてきます。 日帰りのデイサービスや、短期滞在のショートステイ、入所施設(老健や特養など)などで多く見られる症状です。時には自宅でも起こることがあります。 夕暮れ症候群になるどどんな行動を取るか 施設では、様々な予定が決められており、多くの施設は午後になると、入浴やレクリエーション活動、おやつなどが終わった夕方ごろに「家に帰る」「夕食の準備を買いに行く」などと出ていこうとしたり、興奮状態になったり、突然泣き出してしまったりすることがあります。 人によっては毎日同じ時間になると「うちに帰る」と荷物をもってドアの前に座り込んだり
Fさんはいつもニコニコ笑顔で過ごされています。何をするにも笑顔で過ごされており、施設の人気者です。 70歳で認知症と診断されたFさんは夫にも先立たれ、娘さんたちは遠方で家庭を持たれており、Fさんは自分の生まれ育った地元を離れたくないとの希望だったこともあり地元の特別養護老人ホームに入居されました。 入居以前のFさんは誰にも常に厳しく、直ぐにきつめに注意することで近所でも有名でした。元々学校の先生だったために何か悪いことを見つけると直ぐに注意していました。間違った行為ではなかったのですが、小さな子供に対しても同様の対応であったために煙たがられる事もあったそうです。 そんなFさんですが認知症と診断されて少しして心境の変化なのか厳しくすることが見られなくなりました。逆にご飯を食べるときにも排泄をするときにもいつもニコニコ笑顔で過ごされており、介助者も楽しく介助することができ、介助しやすい人と言う
この記事では、認知症による「異常な収集」がきっかけで、入居者同士がトラブルになった介護老人福祉施設での事例を紹介します。 Mさん(83)は、アルツハイマー型の認知症を持った女性です。性格はとても穏やかでお話好きです。仲の良い入居者と穏やかな会話を楽しみながら一日を過ごしています。お食事、入浴、排泄など生活全般はご本人自らが行なっていて、職員は時折見守る程度です。歩行も安定されています。 Mさんの認知症の症状は、現在の場所がどこか分からない(見当識障害)、5分前の会話を覚えておらず延々と同じ話を続ける(記憶障害)といった様子です。新しく名前を覚えることは難しいようですが、顔を見るとその人のことをなんとなく覚えていることもあります。 異常な収集癖 Mさんは、トイレに行くと必ずトイレットペーパーをたくさんちぎります。それをトイレのタンクの上に置いたり、ご本人のポケットなどに入れて居室に持ち帰りま
認知症の人に対してよく使われる表現の1つが「軽度の認知症」とか「重度の認知症」という言葉です。認知症に対する「軽度」「重度」の一定の判断基準はありますが、実際のところ確固たる定義はありません。しかしながら介護する側が対応に困惑してしまうのは「重度の認知症」と呼ばれる人です。 では重度認知症の人には、どのような症状が出現するのでしょうか?介護士として実際に関わった重度認知症ご利用者様の事例をご紹介します。 重度認知症の人の多くに共通する「指示が全く伝わらない」 重度認知症の総論のような話にはなりますが、重度認知症の人の多くは「指示が全く伝わらない」ことが多いです。(「指示」という言葉は、認知症の人の尊厳を疎外するような言葉で不適切かもしれませんが、介護の専門職間ではよく使われる表現の1つですので、ここではご容赦ください。) 短い会話さえ成立せず、介護士が工夫した声かけをしても、全く違った返答
「あら~お兄ちゃん、来てくれたの。嬉しい!」 「私、ひとりで寂しいの」 「お父さんもお母さんももういないのよ」 「でもお兄ちゃん来てくれたから安心だわ」 「今日はあそこにいくんでしょ?」 「ねえ、お兄ちゃん寒くないの?そんなに肌出して」 季節は夏。 ほとんどの人は半袖なのにC子さんは一年中コート姿。 『暑くないんですか?』 「私、寒がりなのよ~」 デイサービスに通って来られるC子さん、とても明るくお元気。 いつもお迎えに行くと毎回、こんな会話から始まる。 C子さんは何回言っても私の名前を覚えられない。 毎日会っていても 「お兄ちゃん、久しぶりね~」 でも仲良しのお友達のニックネームだけは覚えている。 昨日のことは覚えてない。でも自分が育った環境はよく覚えてる。 お話は好き、だけどかみ合わない。 C子さんはとっても元気な認知症なんです。 先日、デイサービスがお休みの日にC子さん、自宅に帰るこ
認知症高齢者の中には病院に行くのを嫌がる方もいます。理由は様々ですが、今回はEさんの事例を通して通院支援を通して感じた事について考えてみます。 Eさんの人物像と日常生活 Eさんは83歳になる男性で、早くに奥様を亡くしずっと一人暮らしをされてきました。建築関係の仕事をずっとされてきた方で男気溢れるギャンブル好きの男性です。お子様は一人いますが、遠くに住んでおり1年に1回会うか会わないかといったところです。 二年前程前から、「泥棒に入られた」と言っては警察に電話して、警察が来ると「俺そんな電話してない」と言う事や、食事の心配等からグループホームに入居になりました。 Eさんのグループホームでの生活は、要介護度1ですので記憶に関する事以外は基本的に問題ないです。そんなEさんですが、子供の頃から注射が嫌いで、本人曰く「今まで病院に一度も行った事がない」と毎日のように話します。 Eさんはアルツハイマー
異食は認知症による周辺症状だが、何でも口に入れてしまうので窒息の危険がある。今回はテニスボールなどを食べようとする異食の事例です。 Sさん 70代男性 アルツハイマー型の認知症。奥様も認知症だったが、まだ初期ということもあり、在宅サービスを利用しながら、一緒に自宅での生活を続けていた。最近施設に入所したばかりだが、元々愛想の良い方であり、施設生活にはすんなりと馴染んでいた。15時頃になると奥様が毎日の様に面会に来て、一緒にお菓子を食べて、夫婦の時間を楽しんでいた。 しかししばらくして、奥様が帰った後に腹痛を訴える事が何度かみられる様になった。奥様と会いたい時に会えない事や、施設生活に対するストレスではないかと思って経過観察をしていたが、腹痛だけでは無く下痢や、ひどい時では少量嘔吐する事も出てきた。施設内でも嘔吐したりお腹を下すのはSさんだけだったので、おやつの時間に食べている奥様の持ってき
認知症によって出現する症状の1つが「物盗られ妄想」です。 「物盗られ妄想」は、認知症の症状では「周辺症状」と言われる症状であり、認知症の方すべてに出現する「中核症状」とは異なります。周辺症状である物盗られ妄想の出現率は全体の2割程度と言われており、認知症初期の女性に多いと言われています。 物盗られ妄想は、介護する側が「ドロボー」「盗人」呼ばわれされるので、介護する者(ご家族様や介護士等)にとっては精神的に介護がしんどくなる要因になります。しかし、対処する方法がないわけではありません。そこで今回は「認知症による『物盗られ妄想』体験談と、その対処方法」について触れてみます。 「アンタがお金を盗んだんだ!」と怒鳴られる 物盗られ妄想に関する私(介護士)としての実体験を1つご紹介します。 私がまだ介護士としての経験が浅かった頃、入所施設である認知症のご利用者様から「アンタが私のお金を盗んだんだ!」
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