本来なら軽症で済んだはずの感染症が、薬が効かず重症化するケースが世界中で増えている。背景には、抗菌薬への抵抗力を備えた「耐性菌」の拡大がある。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)感染症科の庄司健介医師は「いつかあらゆる薬が効かなくなって、感染症で多くの人が命を落とすことにもなりかねません」と危機感を募らせる。 ▽増える一方の耐性菌 感染症を引き起こす細菌を殺したり、増殖を抑えたりする抗菌薬が効かなくなると、治療が長引くだけでなく、重症化を招くこともある。薬が効かなくなるのは、抗菌薬にさらされた細菌が薬に抵抗できる仕組みを自ら作り出し、生き延びようとするからだ。これまでも抗菌薬が開発されるたび新たな耐性菌が表れるという「いたちごっこ」が繰り返されてきた。 最近は抗菌薬が安易に使われるようになって、耐性菌がますます増え、薬の開発が追い付かなくなってきている。「このままでは感染症を治療でき
尿失禁(尿漏れ)は女性特有の悩みと思われやすいが、中高年の男性にも増えている。高齢化に伴って前立腺肥大症や前立腺がんなどが増加していることが背景にあるとされる。埼玉医科大学病院(埼玉県毛呂山町)の朝倉博孝教授は「前立腺がんの手術で前立腺を全摘出した後、尿失禁で悩む方が増えています」と指摘する。 ▽原因さまざま 尿失禁はその症状により、主に腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流(いつりゅう)性尿失禁、機能性尿失禁の4種類に分けられる。腹圧性尿失禁は、重い物を持つなどして下腹部に力が入ると、ぼうこうが圧迫されて尿が漏れるという症状だ。女性に多いが、最近は、手術で前立腺を取り除いた男性にも増えている。手術で前立腺周辺の神経や筋肉が傷つき、尿道が閉まらなくなる。 急に強い尿意に襲われて、トイレまで間に合わず漏れてしまうのが切迫性尿失禁だ。ぼうこうの活動が過敏になる過活動ぼうこうや、前立腺が肥大して尿道が
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は主にたばこが原因で、喫煙者の約15%に発症すると言われる。禁煙や薬で症状の進行を抑えるのが基本だが、大阪市立大学医学部付属病院(大阪市)呼吸器内科の平田一人教授は「日々の身体活動がCOPDの進行抑制につながる可能性があります」と話す。 ▽せきやたん、息切れ COPDとは、以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気の総称だ。肺や気管支に慢性的な炎症ができて、せきやたんが出る、階段の上り下りで息切れを感じるといった症状が表れる。 進行すると、気管支の末端にある肺胞が壊れる「気腫化」が起こり、酸素が取り込めなくなる。そうなると、酸素ボンベが日常的に必要となり、生活の質(QOL)が大きく低下する。 COPD患者の大半が喫煙者だという。国内の患者は500万人以上と推計され、2016年における男性の死因の第8位となっている。 ▽継続が大切 平田教授らはCOPD患者40人
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