東大寺(奈良市)が奈良時代に所領した荘園の絵図「越中国射水(いみず)郡鳴戸村墾田図」が、奈良国立博物館(同市)の平常展で公開されている。荘園を描いた図としては最古級の品。保存状態も良く、作製当初の姿をよく知ることができる貴重な品という。 正倉院宝物として現存する18枚の荘園絵図と本来セットだったが、一時期個人所有となり、戦後、所在がはっきり分からなくなっていた。古美術商を介して同博物館が昨年購入。専門家もほとんど目にしたことのない貴重な絵図で、同館の所蔵になってから今回が初公開となる。 麻布製で、縦80・5センチ、横140・8センチ。現在の富山県北西部にあった荘園の範囲や、田の開発状況などを描いた。天平宝字3(759)年の記載がある。 展示は西新館で、1月4日まで。一般500円、大学・高校生250円。問い合わせは同館(0742・22・7771)。【花澤茂人】