平城宮・京跡(奈良市)で出土した奈良時代の竹の遺物を対象に、種を調べる同定作業を初めて実施した結果、マダケかハチクが京内で製品加工されていたことが分かり、奈良文化財研究所(同市)が最新の研究紀要で報告した。観察した1点については、南九州出身の集団「隼人(はやと)」にまつわる木簡が同じ遺構から出土しており、隼人が加工していた可能性もあるという。 今回の調査では、平城宮・京跡で見つかった竹の遺物9点について報告。最大のものは長さ20・5センチ、復元径約2・7センチで、刃物を使ったような加工痕が残っていた。 二条大路跡から出土した遺物は上下が切断され、長さ8・7センチ、残存幅2・5センチだった。同じ遺構からは「大竹九十株」と記された付札や「大住麻多布造籠」と書かれた札が出土。「大住」は隼人の一族を指すと考えられている。木簡との一致からは、付近で籠や筆などを作るために竹を加工していた可能性があるこ