鹿児島県指宿市の尾長谷迫(おばせざこ)遺跡で、7世紀中ごろ、飛鳥時代の「暗文土師器(あんもんはじき)」と呼ばれる土器が鹿児島県内で初めて見つかった。古代国家・大和政権の都があった畿内地域の影響を受けた土器とされ、これまでの南限は宮崎県だった。鹿児島県内では政権と衝突した隼人が暮らしており、専門家は「県内には存在しないと考えられていた。政権と何らかの関係を持つ勢力が指宿にいたことを示す」と注目している。 暗文土師器は元々は都の「畿内産土師器」を模倣したもので、器の内面には大陸から流入した金属器の光沢を表現した放射状の線が施されている。政治施設である「官衙(かんが)」に関連する遺跡から見つかるケースが多く、国立歴史民俗博物館研究部の林部均教授(考古学)は「古代国家、都の存在を示す象徴となる土器。国家と関わりがあった地域でのみ出土する」と解説。これまでは西都市にある日向国府跡の寺崎遺跡と水運関連