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「目が見えない人と話しているとどもらない」という発見から、テレビの解説放送のお仕事につかれた上野章裕さん。その手があったか!という工夫と天職のお話にびっくりしつつ、その仕事によって上野さん自身の感じ方に進化が起こっていることにさらに驚く。とても楽しいインタビューでした。 上野章裕さんプロフィール 幼少期から「言葉」や「音」に関して興味を持ち、現在は視覚障害者のための音声ガイド(解説放送)の制作に携わっている。 ◎ひとりソーシャル ・ビュー 上野 僕はいま解説放送という、視覚障害者のためのテレビの音声ガイドの原稿制作や収録のディレクターをしています。 伊藤 お仕事の内容があまり想像つかないんですが…まず、すべての番組に解説放送が付いてるんですか? 上野 いまはおよそ5%ほどしか付いていないんですよね。 伊藤 どういうジャンルの番組を扱っているんですか? 上野 ドラマとか、あとは旅番組などです
「ヴィジュアル系視覚障害者」を自認する山田尚文さん。弱視の世界は全盲とは全然ちがっていて、「いろいろ変なことが起こる」そう。医学的には「視野が欠けている」という症状になっても、脳が補完しているので、本人にはそのように見えるわけなく、ドライブ中に高架がひんぱんに現れたり、人間違いが増えたり。在宅勤務になり、オンラインのコミュニケーションになったことで、かえって同じ土俵に立てるようになったというのは意外な発見でした。 山田尚文さんプロフィール 1955年、三重県生まれ。30代で緑内障を発症し、ロービジョン(弱視)の視覚障害者。 電機メーカー勤務。趣味は、音楽鑑賞、絵画鑑賞、読書。 ◎オンラインだとむしろ同じ土俵に立てる 山田 ついさっきまで在宅で仕事をしていました。 伊藤 お疲れのところありがとうございます。オンラインでの仕事はいかがですか?オンラインでの会議などもあったりすると思いますが。
黒坂祐さんは色覚障害のあるペインター。個展開催中の四谷未確認スタジオ(元銭湯)にてお話を伺いました。彼曰く、「色が司っているシステムがあまり効いていない」世界について。絵を描くときには、色が持つ力を色以外の方法(たとえば線の震え)で出しているそう。身体的条件の差異が要請する「翻訳」は常にコンセプチュアルかつ感覚的で、圧倒されます。 黒坂祐さんプロフィール 1991年千葉県生まれ、2019年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。近年の個展に、「荒れた庭、空っぽの部屋からの要請」(四谷未確認スタジオ、東京、2018)、「きょうまでいきてこられてよかった」 (野方の空白、東京、2017)、グループ展に、「絵画・運動(ラフ次元)」(四谷未確認スタジオ)など。「シェル美術賞2019」グランプリを受賞。現在は絵画制作を主軸に置く。 ◎後天的な共感覚 伊藤 いまの見え方的にはどんな感じで
『記憶する体』のエピソード1に「メモをとる全盲の女性」として登場していただいた西島玲那さんに、私が東大文学部で担当している美学の授業にゲストで来ていただきました。インタビュー形式でレクチャーしていただきましたが、それが素晴らしかった!おもわず全文文字起こししてしまいました。なぜ玲那さんがそこまで「見よう」とするのか。その理由が赤裸々に、でも明るく語られます。 ◎いつもVRを見てる 伊藤 いまの見え方はどんな感じですか? 西島 まったく見えないです。ものすごく明るいところにいくとちょっと光を感じるけど、全盲です。15歳で視野が5度になって、19歳で今のような感じになりました。15歳まではふつうの学校に通っていました。 伊藤 15歳で急に見えなくなったときはどんな感じでしたか? 西島 朝起きた時は気がつかなくて、家から出てアパートの階段を降りたら見えていないことに気づきました。階段ってリズムで
丹野智文さんは若年性アルツハイマー型認知症当事者。体の研究は、その人の性格や趣味、やっていた仕事と切り離しては進められないな、ということをつくづく感じたインタビューでした。外車のトップセールスマンとして腕を鳴らしていた丹野さん。問題があるならば的確に原因をつきとめ、人の心を動かす労をいとわない姿勢が、そのまま認知症との「普通の」付き合い方の提案になっていて感動しました。「今日の昼ごはん覚えてる?」という質問がいかに無意味か、そして「夕ご飯に何を食べたい?」という質問がいかにボジティブか。予防ではなく備えを、という指摘も、他のさまざまな障害にも言えることだと思います。 丹野智文さんプロフィール 1974年生。宮城の認知症をともに考える会「おれんじドア」代表。大手自動車販売店で営業マンとして働いていた39歳の頃、若年性アルツハイマー型認知症としての診断を受ける。『丹野智文 笑顔で生きる―認知症
レビー小体病(レビー小体型認知症)当事者の樋口直美さんにインタビューをしました。テーマは時間について。時間は生理的なものと社会的なものが交差する場所。前者が生まれたものを積み上げていく足し算方式なのに対して、後者は締め切り逆算型の引き算方式を要求する。足し算の答えと引き算の答えをいかに合わせるかが社会的に生きていくうえでは必要なわけだけど、そもそも引き算にはかなり無理がある。樋口さん曰く、答えがあわないのは自分に落ち度があるのではなく、「時間が盗まれている」。その手放し方が痛快でした。 インタビューしてみて、時間感覚は人によってかなりの差があることをあらためて実感しました。長文ですが、時間を可視化した清水淳子さん渾身のグラフィックレコーディングと合わせて、じっくりお読みください。 Interview & Text by ito asa / GraphicRecord by shimiz
八木智大さんは吃音の当事者の方。テレビでその話し方を拝見し、「どもっているのにオープンな感じ」に驚いてすぐにコンタクトをとりました。その背後には、身体に対する幅広い関心が関係しているらしい。吃音は心理的な問題として語られがちですが、八木さんはちょっと違うアプローチをしていて、とても実り多いインタビューになりました。(インタビュー中にドクターイエローに遭遇!) 八木智大さんプロフィール 京都大学文学部二十世紀学科5回生。2017年3月卒業予定。フリーターとニートに内定しているが、出版や教育の仕事を探している。本を読み旅をしていたが、最近は街の中にある学びの場に参加するのが楽しい。竹内敏晴を引き継ぐ「人間と演劇研究所」を関西でプロデュースしている。自分で学びの場を作ることもはじめようとしている。 ◎外へのベクトル 伊藤 卒論ではどんなことを書いているんですか? 八木 竹内敏晴の身体論と教育につ
はじめて吃音の方にインタビューをしました。いろいろな人にインタビューをしているうちに、自分の体のことも考えざるをえなくなり、私の体の特徴のひとつである「吃音」の世界に踏み込みました。私自身はいまは対処テクを身につけて外見的にはほとんど分からないようですが、子供の頃はけっこうひどかったです。 最初のインタビュイーになってくれたのは、東大スタタリング創設者の山田舜也さん。すでに当事者研究の蓄積があるので、吃音一般についての知識も交えつつ、ご自身の感覚についてじっくり語ってくれました。めちゃくちゃ面白いです。山田さんの特徴は「演じる」という視点。声優が好きで、演劇もやられていて、音読もとてもうまい。私には信じられません。でも、日常生活では演じることに抵抗があるそうです。 それから、以下の文字起こしは、吃音症状を消して読み易い文章にしています。最初は吃音も含めて文字起こししようと思ったのですが、吃
インフラエンジニアの井上さん。理系のメタファーを駆使して、音で見る世界やその変化について、非常に丁寧に語ってくださいました。柵の横を通るときの「音的なしましま感」や周囲の情報についての「積分」とその忘却、また文字のそれぞれに色がついているという興味深いお話も。何歳で見えなくなったか、どんな記憶を持っているかが、その後の見方にいかに影響するかを実感しました。 2016年5月22日伊藤研究室にて 井上浩一さんプロフィール インフラエンジニアとしてオフィス機器メーカーに勤務。40代。生まれつき弱視だったが、6歳頃から全盲(原因は不明)。 ◎音を聴く環境 伊藤 今日はよろしくお願いします。駅で待ち合わせてこの部屋に来るまでにも音の話がいろいろと出て、音に敏感な方なんだなという印象を持ちました。 井上 今日は研究目的で来ているので、若干意識しました(笑)。 伊藤 (笑)。この前いらしていただいたトー
・5/8毎日新聞に「言葉をもみほぐす」の書評が掲載されています。 ・5/17ジュンク堂にて、斎藤幸平さん、中島岳志さんとの利他トークが開催されます。 ・BRUTUS939号にてお花を生けています。 ・5/29仏文系シンポジウム『文学としての人文知』にてお話します。 ・4/3ヨコハマFMのFUTURESCAPEに出演します。 ・『文藝』夏季号に西島玲那さんとの共作「セラフと新潟逃避行」が掲載されています。 ・『すばる』にエッセイ「眼鏡をかけたケンタウルス」を寄稿しています。 ・4/25にアースデイ東京のイベントにて中里唯馬さんと対談します。 ・3/1ミシマ社にて、藤原辰史さんとの対談「『ふれる、もれる』社会をどうつくる?」が開催されます。 ・毎日新聞に『福島モノローグ』の書評が掲載されています。 ・3/13-14の二日間。未来の人類研究センターにて「利他学会議」が開催されます。OriHime
見えない広瀬浩二郎さん、聞こえない木下知威さん、手話も点字もできない私、の三人で鼎談をしました。手話通訳を交えての語らいは4時間にもおよび、気がつけば外はまっくら。見えない人と聞こえない人が話をする機会は非常に乏しいとのことで、話題に富んだ濃厚な内容となりました。分野はちょっとずつ違うけど、三人全員が研究者というのも珍しい組み合わせです。(2014年、12月26日、大阪・民族学博物館の広瀬先生の研究室にて) 広瀬浩二郎(ひろせ・こうじろう) 1967年、東京都生まれ。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。01年より国立民族学博物館に勤務。現在は民族文化研究部・准教授。「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組み、“さわる”をテーマとする各種イベントを全国で企画・実施している
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