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災害への備え
chigau.hatenadiary.jp
こんにちは。 今日も劇作家のOさんからいただいたコメントに対するお返事です。*1 自分でもちょっとしつこいと思っていますので、Oさんへのお返事は、さしあたり、今日で最後にしたいと思っています。 例によって、最初に、今日初めてこのサイトを読む方のために、論点を簡単に確認しておきます。 私は、著作権法第38条第1項*2の規定により、既成の戯曲を上演する場合には、非営利・無料・無報酬の条件を満たせば、原則として、権利者に無許諾・無料での上演が認められるはずだと考えています。 っていうか、普通はそう考えると思うのです。 ただし、著作権法第50条は「この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない」と定めているので、38条1項により無許諾・無料での上演が認められる場合でも、同一性保持権*3が保障されます。 ですから、私は、この点をどう考えるかについては法律解釈上の課題があることも認
こんにちは。 さて、今日は劇作家のOさんからいただいたコメントに対するお返事、その2です*1。 今日はちょっと長くなりそうです。 では、早速いただいたコメントを読んでみましょう。 2011年6月17日付のものです。 あなたのおっしゃることは、「高校演劇が既成本を上演する際に上演許可をとることがおかしい。無断上演で構わない。その法的根拠は、著作権法第三十八条に『入場料をとらず、キャストなどにギャラが支払われない限り、上演許可をえなくてもいい』というところがご発言の根拠になっていると思量いたします。著作権法は平成十年代にあいついで改変され今日に至っております。わたしは戯曲の使用にあたっては、かならず著作者の許可を得なければならないと考えております。一つは、芸術的な倫理観であります。ご存じだとは思うのですが、演劇の三要素は「観客、戯曲、役者」であります。演劇が演劇たり得るかくべからざる要素です。
こんにちは。 さきほど、なんとなく、Googleで「演劇 著作権」で検索してみたんです。 で、上位から順番に見ていったところ、5番目に土屋俊先生の「演劇研究者のための著作権セミナー」のPDFファイル*1が・・・(2010年12月13日13時30分・日本時間現在)。 ご存じの方も多いかと思いますが、土屋先生は、哲学や情報倫理の専門家ですが、千葉大学付属図書館の館長を務めていらっしゃったことから、大学図書館と著作権の問題にも積極的に関わってこられた方です。 で、何でまた、その土屋先生が演劇研究者のために著作権について語ったのかは、私には知る由もありません。 が、資料を見てみると・・・、気になる記述があるではないですか。 なかでも私がとくに気になったのは、資料の7枚目(「一般的な誤解だと思うこと」)と8枚目(「契約は法律に優先する」)です。 まず7枚目です。 土屋先生によれば・・・。 (1)「権
こんにちは。 私は、ここしばらく、全国高等学校演劇協議会の「著作権ガイドライン」*1のことを取り上げてきました。 が、こんなことばっかり書いていると、その世界の方からはイチャモンつけてるみたいに思われてるんじゃないかと、結構ヒヤヒヤしています。 そこで、今日のエントリーでは、高校演劇と上演許可について考える地道な作業を進めてみたいと思います。 なお、現在、私のおもな関心は、高校演劇における上演許可について、著作者人格権(とくに同一性保持権)*2との関係をどう考えるかにあります*3。 さて、今日読むのは、斉藤博先生の論文「新著作権法と人格権の保護」*4です。 古い論文ですが、著作者人格権の基本的な事柄について知るうえで、有益な部分もあります。 なお、表題にある「新著作権法」というのは、1970(昭和45)年に成立した現行の著作権法のことです。 同一性保持権に関する記述で目を引くのは、同一性保
こんにちは。 全国高等学校演劇協議会が作成した「著作権ガイドライン」(以下「ガイドライン」と略します)*1についての検討を続けます。 「ガイドライン」は、高校演劇で既成の脚本を上演する場合の上演料について、次のように書いています。 高校演劇では、上演許可を取ると同時に上演料を支払うことになっていますが(以下略) この文言は(高校演劇が、通常、非営利・無料・無報酬で上演されていることを考えると)、にわかには信じがたいものです。 著作権法が、非営利・無料・無報酬での上演は、権利者に無許諾かつ著作権使用料の支払いなしに、上演できることを定めているからです*2。 ただし、法的には、このような場合にも、同一性保持権*3は、影響を受けないとされているので、著作者の意に反する脚本の改変はできません。 が、前回のエントリー*4でご紹介したとおり、そもそも全国高校演劇協議会は、次のような論理で、高校演劇部の
こんにちは。 今日は、最近のエントリーとは少し違った切り口で書きます。 なるべく著作権法上の問題に限定したいと思いますが、テーマの性質上、いつも避けている演劇の世界の実情にも言及せざるをえません。 アマチュアで演劇の脚本を書かれている森崎啓介さんは、ご自身のサイト*1で自作の脚本を公開されています。 森崎さんは、上演許可や著作権使用料等についての説明をたいへんていねいにつくられていて、私はかなり感動しています。 もし、あなたがまだ森崎さんのサイトをご覧になったことがなければ、ぜひ1度見てみてください。 私が、森崎さんの説明がすごいなあって思うのは、法律がよく分からない人が読んでも、すーっと内容が理解できるように書かれているところです。 井上ひさしさんがいう、「難しいことを易しく」書くってやつですね。 たとえば「よくある質問」のページでは、「上演許可が必要ないケースもあると聞きましたが、本当
こんにちは。 このエントリーは、先日の三谷幸喜さんの記事*1の書き直しです。 三谷幸喜さんは、自分が積極的に関わらないところで自身の作品が上演されることを認めていません。 それは、アマチュアの演劇はもちろんですが、上演するのがプロであっても同様です。 三谷さんは、『オケピ!』の「付記」に、次のように書いています*2。 これは、パルコ・プロデュースのミュージカル『オケピ!』の上演台本です。 これを読み、よし自分たちもこれを上演してみよう、と思った方がいたら、出来れば止めてください。 これは、あくまで「読み物」であり、そういうことのために活字にしたわけではないのです。 (中略) 僕の知らないところで、僕の知らない人たちによってこの作品が上演されるのを、僕は決して希望しません。 ましてや、僕が一生懸命書いたホンが知らないところで勝手にアレンジされ、自分らのやりやすい形に書き直されて上演されるなん
こんにちは。 まずはいつもの確認からです。 著作権法第38条1項は、非営利・無料・無報酬での上演について、無許諾かつ著作権使用料無料での上演を認めています。 が、著作権法第50条により、これに当たるケースであっても、著作物及びその題号に変更、切除その他の改変を加える場合には上演許可が必要になるとされています。 このため、高校演劇をはじめ、アマチュア演劇の無料公演で、(プロの)既成の脚本を、無許諾かつ著作権使用料無料で上演することは、事実上不可能になってしまいます。 こうして、権利制限規定が有名無実になってしまうのでした。 さて、今日の問題に入ります。 上の問題に関連して、次のような例があります。 鴻上尚史さんの『ピルグリム』『トランス』の「上演の手引き、またはあとがきにかえて」から引用します。*1 この作品は、日本全国のあちこちで、上演されることを前提に書きました。 (中略) この芝居の理
こんにちは。 今日はちょっと回り道をして、私の問題意識の原点を、具体的な事例を通して書いてみたいと思います。 では始めます。 著作権法第38条1項は、非営利・無料・無報酬での上演について、無許諾かつ著作権使用料無料での上演を認めています。 しかし、著作権法第50条により、非営利・無料・無報酬での上演であっても、「著作者人格権*1に影響を及ぼすものと解釈してはならない」とされています。 この結果、非営利・無料・無報酬での上演で、無許諾かつ著作権使用料無料での上演が認められるケースであっても、著作物及びその題号に変更、切除その他の改変を加える場合には上演許可が必要になるとされています。*2 そこで、高校の文化祭での演劇上演において、次のような問題がおきているのです。 (以下は、2007年10月18日のTBSテレビ「NEWS23」で放送された事例です。*3) 東京都立日比谷高校の「星陵祭」では、
著作権法第38条1項*1は、非営利・無料・無報酬での上演について、無許諾かつ著作権使用料無料での上演を認めています。*2 しかし、著作権法にこのような著作権制限規定があるにもかかわらず、日本の演劇界では、無料での上演に対しても上演料(著作権使用料)を要求するのが一般的です。 そこで、今日は、著作権法第38条1項に対する日本の演劇界の対応について、日本演劇協会と日本音楽著作権協会(JASRAC)との対応の違いを手がかりに、みていきたいと思います。 まず演劇界の現状を見てみましょう。 社団法人日本演劇協会*3は、次のように定めています。 公共演劇[アマチュア]演劇上演料金(基本料金) 入場料無料 1時間30分以内 10,000円 1時間31分以上 20,000円 (中略) ・尚、高校演劇に関しては(入場無料の場合)上演時間にかかわりなく、上演1回につき、5,000円とする。 (以下略)*4 な
すでに紹介したとおり、全国高等学校演劇協議会は加盟校に対し、既成脚本の上演する際は必ず上演許可を得るよう指導しています。 今日からは、高等学校における法教育、著作権教育の観点からみて、このような全国高等学校演劇協議会の指導にどのような問題があるのか、についても少しずつ検討していきたいと思います。 では、議論がちょっと遠回りになりますが、今日は全国高等学校演劇協議会で著作権法上の問題が取り上げられたケースを検討して、本来行われるべき指導のあり方の方向性を考えてみたいと思います。 そこで、全国高等学校演劇協議会で著作権法上の問題が大きく取り上げられたケースを見てみたいと思います。 先日も紹介した「緊急アピール 著作権問題再び」によると、問題になったケースは2回あるようです。 *1 まず1つ目は1997年の問題です。 「緊急アピール」には次のようにあります。 一九九七年、全国大会上演校の著作権に
今日は、先日からの課題だった、「全国高等学校演劇協議会各大会における著作権の扱いについて(通達)」*1について検討したいと思います。 この文書は、1997年10月6日付で全国高等学校演劇協議会会長の相澤一好氏の名前で各都道府県会長及び事務局長宛てに出されたものです。 この通達に次のような記載があります。 3.既成作品を上演する際には、上演する台本についての許諾を著作者に得ること。 (台本のカット等変更部分があれば、著作権者に許諾を得ること) この部分を見て、私はまず、「これは著作権法第38条1項に照らしてヘンな規定ではないか」と思いました。 確認します。 著作権法第38条1項は次の通りです。 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演
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