社会主義の軍隊には政治将校なる存在がいます。創作物や歴史書で語られるイメージの多くは、戦場の現実を理解せずに理想論ばかり唱えて指揮官を困惑させ、最前線では兵士を鼓舞して死地へと向かわせる、思想に取り憑かれた崇拝者としての役割が強いのでしょう。 さて本稿では、ソ連の政治将校を取り上げて、彼らが国にとって軍隊にとってどのような存在だったのかを説明していきましょう。政治将校がいるということはどのようなデメリットがあり、メリットがあったのか。そしてこの解説を通して当時のソ連軍について理解を深めていただければ幸いです。 政治将校という単語 はじまりはケレンスキー? ソヴィエトの下で トロツキーの改革 参考文献 政治将校という単語 歴史的背景に至る前に、まずは混沌とした政治将校という単語について整理しておきます。ここでいう「政治将校」とは、軍隊の中にあって共産党の意向を反映するために送られた人間のこと