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買ってよかったもの
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ドイツに渡ってから二月が過ぎた頃、シュトゥットガルトの劇場でピーター・ブルック演出『妻を帽子と間違えた男』を見た。1993年のことだから今からもう20年も前だ。舞台の説明は省くが、一つ一つのシーンが堪らなく面白かった。それは私の身体感覚を変えるほどのもので、目の前で繰り広げられる断片以上に、自分の身体に生じた感覚の変化を、また、身体感覚に変容をもたらした空間を楽しんでいたように思う。俳優がそこにいる、自分がそれを見ている、舞台に集中していながら、それを見ている自分がここにいる。空気までもそこにあった。あんな体験は初めてで、その新鮮さに「これが演劇か」と目覚めてしまった私は、そのまま夜行列車に乗り込み、彼らが活動の拠点とするパリへと向かった。 同じ夜行列車にブルックのカンパニーの俳優さん達も乗っていて、翌朝パリの駅で遭遇することになった。まだ20代前半だった私は、日本人俳優の笈田ヨシさんに声
ファッション・モードのメインストリームはテーラーやクチュールのテクニックでイリュージョンをより実現することであり、その努力の先にアートやアカデミックデザインがある(ファッションが真っ当なアートやアカデミックデザインになる)と勘違いしている。しかし、サブカル的な向上心、それらはよりエクストリームなサブカルになるだけで、決してアートやアカデミックデザインにはならない。ルールが違うので。 ファッション雑誌『POPEYE』のシティボーイ等に象徴される「ライフスタイル」や「ノームコア」が今、世の中を席巻していて、もはやモードは風前の灯である。それを憂うファッションインサイダー達は「ライフスタイルやノームコアが持て囃されるのは保守的で怠慢な態度、再びアヴァンギャルドなモードを歓迎する世論が復活するのが正義であり、それを私たちが啓蒙するのだ」という意気込みであらゆる場所でロビー活動をしている。大半のライ
ソフィア・コッポラ、マーク・ゴンザレス、ハーモニー・コリン、クロエ・セヴィニー、アーロン・ローズ……。林さん(林文浩/1964~2011)に紹介してもらって一緒に遊んで仕事してきた、彼の友人たちの名前を挙げてみた。映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)に出演し、世界初のカルチャー系ポルノ雑誌『RICHARDSON MAGAZINE』を立ち上げ、マーク・ゴンザレスのアートワーク本やテリー・リチャードソンの写真集を初めて作った人。これらはほんの一部だが、それらのことを調べてもらえたら、林さんのインターナショナルな仕事ぶりが理解してもらえると思う。欧米の大都市に住んでいるならまだしも、日本にいながら日本人として、彼だけがなぜこのようなことができたのか。稚拙な文章でしか表現できないが、彼との出会いから書き記したい。 太めの黒いスーツに黄色のシャツ、白のエナメル靴に升酒。ヤクザ⁉︎
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鈴木健 複雑系研究者 / スマートニュース株式会社 共同CEO 新しい人間、その可能性。 我々は「ありのまま」で生きることができるのだろうか。アルベール・カミュの『異邦人』に登場する主人公ムルソーは、母の葬儀で涙を流さなかったことやその後の態度が非人間的だとされ、とある事件で死刑宣告をされてしまう。カミュは小説の自序に「お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるほかないということである」と書いた。一方、芥川龍之介は1920年代、『侏儒の言葉』の中で「危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である」と呟いた。これら二つの言葉の背後には共通問題が存在しているように思う。この社会では当たり前の常識が、実際のところはことごとく通用しないということを我々は経験的に知っている。通用しない常識を我々は暗黙知によって補完し、擬態化して生きる。そもそも、その常識や制度はどこから来ているのか。
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