新年早速、「雪斎の随想録」にアクセスする。本年最初の記事冒頭にある勝海舟の言葉が味わい深い。そのまま転記させていただく。 「主義といい、道といって、必ずこれのみと断定するのは、おれは昔から好まない。単に道といっても、道には、大小厚薄濃淡の差がある。しかるにその一つを揚げて、他を排斥するのは、おれの取らないところだ。人が来て囂々とおれを責めるときには、おれは『そうだろう』と答えておいて争わない。そして後から精密に考えてその大小を比較し、この上にもさらに上があるだろうと想うと、実に愉快で堪えられない。もしわが守るところが大道であるなら、他の小道は小道として放っておけばよいではないか。智慧の研究は棺の蓋をするときに終わるのだ。こういう考えを始終持っていると実に面白いョ」。 ―勝海舟著『氷川清話』― この言葉を読んで、「融通無碍」の言葉が思い浮かんだ。融通無碍は広辞苑によると「一定の考え方にとらわ