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都知事選
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来年2011年の6月に、京都でASSC (The Association for the Scientific Study of Consciousness) という意識を科学的に研究する国際学会が開かれる。 ASSCが日本で開かれるのは今回が初めてだが、意識研究に興味がある人には、世界で最も面白い学会だろう。これから意識の研究をしてみたいと考えている人にも、ニューロサイエンスにこれまで携わってきていても、意識研究に接点がなかった人にとっても、きっとインスピレーションが得られる興味深い学会になるだろう。なかなか脳の研究をしている人でも、意識をメインに研究しているひとは少ないだろうから、意識の学会に参加する機会は珍しいかもしれない。 今回の自分が提案した、シンポジウムとチュートリアルの企画が、無事ふたつともASSCで採択してもらえた。今回は、その内容について少し説明したい。 まず、シンポジウ
ネットによって、あらゆるスピードがあがりすぎて、常に忙しい環境にいるのは自分だけではないはずだ。 ここ5年ぐらいの間に、ネット経由での情報が多すぎて、これに対応して仕事の効率やアイデアの創成にどう役立てていくかというのは、個人的なテーマでもあるし、脳科学としても面白いテーマだと感じていた。 それで新しいタイプの天才が生まれるだろうとか、情報過多がイノベーションを引き起こすきっかけになるのではないかとか考えてきた。 過去の関連エントリー: なぜ人は忙しくなったのか 情報過多、 NIH VideoCasting それでも、最近の風潮は今のソーシャルメディアによってもたらされる情報量は、脳に良くないのではないかと言う人が増えてきている。そういう主張をしているのは、特にNicholas CarrとSusan Greenfieldはネット有害説の主唱者だが、自分としては少し懐疑的にこの風潮を見ている
先週、とてつもなくおもしろい論文がサイエンス誌に出た。残念ながら、自分の論文ではない。 Bahrami et al. (2010) Optimally interacting minds. Science 329, 1081-1085. アブストラクト In everyday life, many people believe that two heads are better than one. Our ability to solve problems together appears to be fundamental to the current dominance and future survival of the human species. But are two heads really better than one? We addressed this questio
どうもここ数年、途方もなく忙しい。人間のことならどんなことでも、認知科学的な視点で研究できると考えているから、「忙しさ」というのもなんらかの考察を加えることはできるのではないかと思っていた。 まず、どういう視点で考えるかということから既に問題だけれど、少なくとも二つの要素がある。一つは、「主観的忙しさ」とcognitive loadという観点で、複数の課題を並列に与えられると、課題をひとつずつこなしているときよりも忙しいと感じてしまうようだ。このいかにも普通な認知神経科学的な見方では、タスクスイッチングや複数の長期的な課題を脳内に保持しておくという、「忙しさ」を感じるメカニズム的なことの研究に進みそうだ。これは、それほど面白くないありきたりな研究だろう。それから、なぜネットによって人が忙しくなったのか(これが実際にそうであるという前提のもとに)という疑問に対する答えは、ここからは出てこない
数日前まで台湾のAPCVという視覚の学会に行っていた。 例によって飛行機で気になる本を読んでいた(最近、学会の内容をブログで書かなくなってきた)。 今回読んだ本はDavid Weinbergerの Everything Is Miscellaneousという本。 Everything Is Miscellaneous: The Power of the New Digital Disorder 著者:David Weinberger 販売元:Times Books Amazon.co.jpで詳細を確認する ネットでソーシャルタギング的なものなどが、どのようにこれまでの情報の分類のしかたと異なるものかを長々と力説している。ネットの社会や人間の行動への影響に興味を持っている人にはもはや古ぼけてみえるかもしれない。 最初に本の分類の歴史の話がでてくる。最初に図書館でジャンルごとに本を分類した話で
英語版の方のみを読んだので、日本語訳がどれほど読みやすいものかはわからないが、内容的には専門知識なしで楽しめる内容だ。おそらく脳科学や人類学の基礎知識がある人には後半はかなり一般的な話が続くので途中から少し飽きてしまうかもしれないが、最初の三章あたりまでは、かなり驚きの孤独研究の話が載っている。 「孤独」というのはあくまで個人的な問題で、科学が扱う程のテーマでないように思われるかもしれないが、社会的な生物である人間にとって重要な感情のであるのは間違えない。孤独という感情に動かされて、人間は他人との接点を持とうとする。 孤独の研究は幸福の研究とも良く似ている。カシオポの孤独の本を読んでいたら、以前に読んだダニエル・ギルバートの幸福論と非常に似ていた。 何が似ているかというと、「孤独」も「幸福」もどちらも主観的感覚であって、「お金」や「友達の数」のような客観的に定量可能な数値でかならずしも測る
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 きょう知り合いの人からおもしろいリンクが送られてきた。言葉を話してコミュニケーションすることはできない自閉症の女の子が、パソコンでタイプすれば普通の人のようにコミュニケーションできるというYouTubeの映像。 その子の書いたものから推測すると、どうも自閉症の人の心の内面というのは、普通の人と変わらないみたいだ。むしろ制御しきれない脳の中に、無理矢理閉じ込められているような印象を受ける。 なんで人の顔を見れないのかとか、頭を自分で打ったりするのかとか、自閉症の人の不可解な行動に内面からの理由の説明があるところとかが興味深い。今まで、自閉症の人の心の中というのがどうなっているのか、まったく想像もつかなかったけれど、すごく普通の人と同じようだという
オランダに二日だけ共同研究で行っていた。飛行機で移動するときは本を読むのに絶好の機会だから、前から気になっていた本をついに読むことができた。 それがこの本。 なんだか、一見ビジネスマンとかが読む啓蒙本のような雰囲気があるが、社会学や心理学の研究に基づいて、人生で成功するという現象の原因について調べている。脳科学とも意識とも直接的には結びつかないが、これを一冊読むだけで研究者にとって気になる「天才」という現象や「文化の違い」といったテーマについて理解できるようになる。 著者のグラッドウェルは第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳) を書いた人で、その本もそうだったが、脳科学に翻訳可能な社会心理学的現象のおもしろさを教えてくれる。天才! 成功する人々の法則 を読むと「文化」なんかも科学的に研究できるだろうと感じることができる。 全部通して読んで初めて納得する所も多いのだけど
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 日本からロンドンに帰ってきました。 今回の日本での日本神経科学大会でのシンポジウムも良い経験になったし、岡崎での意識のワークショップも内容がとにかく濃かった。それについてもいろいろ書きたいことはあるが、日本にいる間にたくさんの人と出会って話をしている内に、前々から気になっていたことが自分の中で明確になった。それは2つある。 ひとつは、以前のエントリーでも何度も書いたが、脳科学が実世界に影響をもつためには何が必要かということ。神経科学大会で、ATRの神谷さんのオーガナイズしていた「現実世界に挑むニューロイメージング」というシンポジウムの題名もまさに「現実世界」を意識したものだし、そのなかでJohn-Dylan Haynesがニューロテクノロジー(
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 今、学会に備えて日本に来ている。久しぶりに日本のテレビを見たり、本屋をうろついたりしていると、「脳は本当に日本ではやっているのだな」と感じる。それにともなって脳に関する言動が脳科学者には信じがたいものにさえなっていることに気づいて、なんともいえない気持ちになる。 ことの発端は、時差ぼけで早く目が覚めてしまってみていた番組で、川島隆太が万葉集へのコメントで、感情と数字の関係について話していたこと。あたかも脳科学では事実であるかのように、「数字に関してトレーニングをすることで感情が豊かになる」みたいな話をしていた。この話が完全にウソかどうかは、実証できるかの問題であって、完全に否定できるかはわからないし、もしかしたら本当かもしれない。ただし、数字の
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 今やっているプロジェクトで、脳の構造画像から個人の脳の特徴がどれくらいわかるかということを調べている。 これが意外と面白い。例えば、MRIの画像さえあればその人のどの脳部位が発達しているかがわかる。なんだかんだで50人ぐらい(データベースを含めると500人ぐらい)の脳と比較して個人の脳の発達のパターンをみると、かなりその人の特徴がわかる。 ほとんど脳占いの領域に入っている。自分の脳を平均的男性の自分と同じぐらいの年齢層と比べると、自分の左前頭葉が発達していることがわかる。研究者には実はこのパターンが多い。 実際に見てみるとこんな感じ。 実はこういう感じでかなりいろんなことがわかる。詳しいことは論文になるまで公開できないが、個人のおっちょこちょい
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 ここしばらく学会などで旅をしていた。 フロリダのVSS以来、途中ロンドンには立ち寄って洗濯する程度で、ベルリンのASSCへもいき、そして日本の生理研での研究会にも参加した。 その間にたくさんの脳科学や意識についての講演を聴き、自分でも計6回ほど人前でふがいない発表をしたりした。毎日たくさんの人と会い、いろんなテーマについて話し合った日々が1月ほど続いたわけだ。それだけ、そうとう気になる話が頭の中に溜まっていてこのブログにも書きたいことがいろいろある。 それもまた身の回りの整理ができたら書くとして今日は一般的に面白そうな論文紹介をしようと思う。 その論文がこれ。 The Brain Structural Disposition to Social
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 数週間前にUCLで睡眠についてのワークショップがあった。 いろいろな角度から特に睡眠中に起きる記憶の定着と学習について、たくさんの面白い研究について話を聞くことができた。睡眠は自分にとってまだ知らないことが多い分野で、まとめて睡眠研究の発表を聞くことで、その分野の雰囲気のようなものが感じられた。自分が脳刺激をやり始めたときもそうだったが、研究テーマが少し違うと微妙に業界ごとの雰囲気の違いのようなものを感じる。例えば、視覚だと意識の研究として視覚を研究している人も多いけれど、中には「意識よりも、視覚というシステムの仕組みを知りたい」と考えて研究している人もいる。個人的には、「結局は同じことなんじゃないか。意識がわからないと視覚も結局わからないだろ
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 脳を外から刺激する方法として Transcranial Magnetic Stimulation (TMS)という手法があるが、それとは別に、もっと単純なtranscaranial direct current stimulation (tDCS)というのが割と注目を集めている。 単に頭に電極をつけて、数mAの電流を流すだけで、果たして本当に脳に影響があるのかと疑問だが、どうもほんとに効果があるようだ。 tDCSに関する最近のレヴューとしては、以下を参照。 Wassermann & Grafman (2005) Wagner et al. (2007) まず、おもしろいと思うのは、電極の極性によって効果が逆向きになることだ(例外もいろいろある)
この分野は非常に発達しているけれど、主に研究されているBayesian Networkというのは定義上、循環的な因果関係はあつかっていない。つまり、A->Bであると同時に、B->Aという相補的な状況というのははずされている。別に、Bayes Netにこだわらなければ、HMMとしていろいろ研究する方法はありそうだが、まだそのあたりは独学中で、よくわからない。 前回紹介した、Hofstadterの本 では、ゲーデルなどを例に、再帰的な情報処理が特殊なおもしろい状況をつくるから、そのことが自己の形成や意識に関係あるとう論調だった。読者としては、どういうふうに関係あるのかを具体的に示してほしいところだったけれど、いまいちはっきりしたことを議論していないから、所詮エッセイにすぎない。ただ、再帰性を理解することであたらしい展望が開けるかもしれないということには共感できた。 Hofstadterの議論で
この本を読んだのは、一年以上まえだ。ちょうどその頃、意識の問題に挑む戦略として、「ダーウィン作戦」がいいかもしれないと考えていた。ダーウィンが「進化」という概念を提唱することで、「生命」という現象がシステムとして理解できるようになった。もしかしたら、脳科学において、生物学における進化に対応するようなアイデアがまだ出ていないから、意識という現象が理解できずにいるのかもしれない。だとすると、脳科学における画期的なアイデアというのを最初に出すことが重要だ。自分は、脳科学での事実を十分に観察して、あらたな概念にたどり着くような考察を加えているだろうか。積極的に、現在わかっていることから、あらたな概念を導きだすように考えることが必要ではないか。そう考えていた。 このジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)の『On Intelligence』 は、まさに「ダーウィン作戦」で脳に挑んでいて、ショッ
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 以前紹介したTemple GrandinのAnimals in Translation という本でおもしろい話があった。 なぜサルはヘビを怖がるのか?スタンダードな考え方は、おそらく次のどちらかだろう。 ① 進化の過程で脳のなかにヘビのようなひょろ長いものを恐れるような回路が出来上がっっている。とくにアミグダラ(扁桃体)などで、ヘビに反応する回路が生まれながらできている。 ② 個体ごとに、過去のヘビとの接触した経験から、ヘビは恐いと学習した。 どちらも、ありそうな話だが疑問が残る。①の場合は、そもそもDNAにヘビとはどういうものかという情報が何らかの形で刻み込まれていなければならない。例えば、視覚野のヘビ風の特徴をコードすることになるエリアから
ニューロサイエンスはおそろしく広大な分野です。脳と意識についてこれから勉強したい人や、研究をしている人にも面白いと思えるような情報源を目指します。 来年2011年の6月に、京都でASSC (The Association for the Scientific Study of Consciousness) という意識を科学的に研究する国際学会が開かれる。 ASSCが日本で開かれるのは今回が初めてだが、意識研究に興味がある人には、世界で最も面白い学会だろう。これから意識の研究をしてみたいと考えている人にも、ニューロサイエンスにこれまで携わってきていても、意識研究に接点がなかった人にとっても、きっとインスピレーションが得られる興味深い学会になるだろう。なかなか脳の研究をしている人でも、意識をメインに研究しているひとは少ないだろうから、意識の学会に参加する機会は珍しいかもしれない。 今回の自分が
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