私の住む街は、その最寄り駅の名の通り日の沈むことを知らない、昼夜問わず薄明るい街である。私は、日ノ出町・黄金町・曙町・福富町・蓬莱町・長者町・末広町・万代町・不老町・寿町など、縁起の良い町名に囲まれて暮らしている。 とある緊急事態宣言下の零時過ぎ、横浜駅から京急線でほんの数分。傷んだ長い金髪とアニマル柄のトップス、短いスカートを身に着けた若い女性と、今にもお尻が見えそうなワンピースを着た女性が慌ただしげにホームに降り立った。黒いウレタンマスクから鼻を覗かせて、少し脂浮きした化粧を気にしながら改札へ向かう。高いヒールは頼りなさげで、ところどころキズが付いている。けれど足取りは確かで、彼女たちは福富町方面に迷わず向かう。 横浜駅西口の居酒屋で飲んだその足で、朝まで営業しているクラブに行くのだろうか。音楽を楽しむクラブなのか、異性との会話を楽しむクラブなのかは分からない。私はどちらも行ったことは