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Pixel 9
sittitai.hatenadiary.org
春 読みかけの本を本棚に片づけるのが面倒になって、部屋の床に放置するようになった。図書館で借りてきた本も数学の教科書も、読むのをやめたその場所に配置し、やがて足の踏み場もなくなってしまう。積み上げた中に埋もれてしまった本のほとんどは、読みかけのまま記憶の隅に追いやられてしまい、後に思い立って捜し出すのに苦労する。慎重に歩いていても爪先で本を蹴飛ばしてしまい、蹴飛ばした本を拾い上げ、適当なページを開いて読み上げる。大概の言葉は文脈から切り離されてただの言葉になるけれど、ときどきそういった場面で本領を発揮する言葉があって、たとえば短い詩がそれにあたる。そもそも数ページで終わる作品に文脈はあまり絡まっていない。詩の言葉はたった一行でも感情に作用するから楽しくなって、かけ離れた詩を横に並べて、感情の上下動を面白がっていた。一瞬に生まれた感情は一瞬で消えてしまうけれど、そのリスクのなさが安心だった。
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