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パリ五輪
virus.hatenablog.com
ついに日本でも疑い例がとか、BSL4施設稼働するかもとか、対岸の火事がどんどん近づいているように感じられますね。当ブログはゆるゆるウイルス的論文紹介ブログ*1ではありますが、こういう時に情報発信してこそだろー!ということで、今回も引き続きエボラってみましょう。 今回は、エボラの基礎知識として良く言われる(そして、不安になっている人が多いだろうと思われる)『潜伏期間はウイルスを排出しない』という言説について、論文を紹介してみようと思います。 その前に一つだけ。エボラの出血は他の出血熱ウイルスに比べても、実はそんなに激しくありません。粘膜からの出血や皮下出血がほとんどで、いきなり鼻血どばーっ!吐血げぼーっ!とか、目から血涙だらーっ!みたいなことは起きませんので、そういうのはフィクションの中でお楽しみください。 まずはこちらの論文。筆頭著者は日本人。 Host response dynamics
本当は治療薬特集とかまとめとかしようと思って、自分の論文*1書いてる合間にこそこそ論文読んでたんですけど、あちこちでまとめとか解説とかあるんでどーしよっかなーからの、すっごく迫力のある論文が出たのでそちらを紹介することにします。Scienceから。著者のうち5人がエボラで亡くなっているということで追悼記事も出ています。 論文本体はこちら。 Genomic surveillance elucidates Ebola virus origin and transmission during the 2014 outbreak タイトルを翻訳すると『サーベイランスによって明らかになった、2014年にアウトブレイクを起こしたエボラウイルスの起源と伝播』 2014年3月にシエラレオネ政府病院、ハーバード大学、ブロード研究所がケネマという都市で立ち上げたエボラのサーベイランスが、いきなり5月に本物のエ
photo by EU Humanitarian Aid and Civil Protection 前回のエボラの記事では、場末の論文紹介(しかも、ウイルス限定というマニアック感半端ない)ブログにたくさんの反響を頂き、動揺を隠しきれないというか肘に違和感を覚えて降板しそうな勢いです。でも、書きたいことがあって、読んでくれる人がいるのは幸せなことですね。 反響が大きかった分、大事なポイントを指摘された方もたくさんいました。idコールなどはしませんが、ブクマコメントやTwitterでのコメントなどへのお返事です。論文紹介はお休み。イラストもお休み。 なぜ医療従事者が感染するのか?実は空気感染してるのでは? これはとても大事なポイントですね。結論から言うと、現地ではエボラウイルスの感染を防ぐのに適切な水準を保つのがとても難しいから、というのが最大の理由で、空気感染は今のところ問題になっていないで
西アフリカ、特にシエラレオネで起きているエボラ出血熱のアウトブレイクがなかなか終息せず、世の中がざわざわしていますね。感染が拡大してしまった大きな要因として、都市での発生と言う地理的要因の他、現地の人たちの教育水準や文化的背景、そして政治体制の問題があるのは疑いようもなく、アウトブレイクの終息にはまだまだ時間がかかりそうです。 国際的な注目が集るきっかけとなった一つの出来事に、アメリカ人の感染者が本国にチャーター機で輸送され、病院に収容されたというものがありました。治療に使われているという未承認薬も含めた一連のアメリカの動きは政治力学の発露であることは否めず、諸手を挙げて「アメリカすげぇ」とは言えない状況ですが、どさくさ紛れのごり押しで研究開発が進むのも事実であります。清濁併呑して突き進むアメリカのパワーを思い知らされます。 さて、当ブログは論文紹介ブログですので、アウトブレイクのニュース
(ご、ごぶさたしております)(蚊の鳴くような声で)(デングだけに) Inhibition of megakaryocyte development in the bone marrow underlies dengue virus-induced thrombocytopenia in humanized mice. J Virol. 2013 Nov;87(21):11648-58. doi: 10.1128/JVI.01156-13. Epub 2013 Aug 21. 久しぶりの更新は安心と安定のJ Virolより。 顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Disease)の4番バッターことデング熱が今回の主役です。致死率は1%以下と、この手のウイルス感染症にしては低めではあるものの、蚊の生態の厄介さと地球規模の分布で、毎年数千万人単位で患者を量産する長距離打者です
現代家紋とやらが話題らしいですね。 見たことあるあのマークを家紋に 「#現代家紋」 - Togetterまとめ 化学家紋 : 有機化学美術館・分館 流れに乗っかるのもアレですけど、前々からウイルスを家紋みたくしたら面白いかなー?と思っていて、ちょこちょこ考えてたのを置いておきますね。 これをもうちょっと発展させて、ウイルスの性質とか覚えるのに使えたらいいなーなんて。DNAウイルスがいないのはご愛嬌。 追記)マールブルグウイルスの説明が分泌蛋白質有になっているのは無しの間違いです。コピペコピペェ!
今回の論文はこちら。 RNA viruses can hijack vertebrate microRNAs to suppress innate immunity. Nature (2013) doi:10.1038/nature12869. 東部馬脳炎ウイルスという、たぶんほとんどの人が聞いたこともないウイルスがいます。アルファウイルス属というこれまた聞き慣れないグループに所属してまして、お仲間には西部馬脳炎ウイルス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス、チクングニヤウイルスがいます。チクングニヤウイルスだけがアフリカ産で、他の3ウイルスは南北アメリカ大陸で仲良くしてます。馬脳炎ウイルスなので当然馬に脳炎を起こすのですが、人にも感染して脳炎を起こしたりして時々死者が出てます。蚊が媒介するので、性質だけ見れば日本脳炎ウイルスに良く似てますね。 アメリカ産馬脳炎ウイルス三兄弟(姉妹でも可)を比べますと
メリークリスマス!みんな、良い子にしてたかな?もちろんプレゼントは年末年始のお仕事だよっ!(吐血) 今回の論文はこちら。Sci Transl Medはここんとこ熱くなってきてる気がしますねー。ウイルスあんまし関係ない気もします。イラストがやっつけすぎる?まぁそうかたいこと言うなよ。 CD4+ T Cell Autoimmunity to Hypocretin/Orexin and Cross-Reactivity to a 2009 H1N1 Influenza A Epitope in Narcolepsy ナルコレプシーという睡眠障害を示す脳神経疾患があります。複数の疫学的調査によって、この病気(のほとんど)が特定のHLA型(DQ0602*1、中央アジア〜ヨーロッパに多い)が関係する自己免疫疾患であり、オレキシン/ハイポクレチン産生神経細胞の消滅が引き金となっていることが分かっていまし
今回の論文はこちらです。 HIV-1 evades innate immune recognition through specific cofactor recruitment : Nature : Nature Publishing Group 話題の記事はこちら。 HIVが体内で身を隠す「透明マント」を発見 今週の俺のソース - 俺のソース ここの最後のやりとりを参照ください。触発されたので。本当は酵母先生のtwだけでいいような気がするのですが、これは解説しない訳にはいきません(めらめら)(ライバル心の萌える音)(萌えないゴミとは)(え?)(今の脈絡ないよね)(これいつまで続けるの)(閑話休題)。 参考:Extended Data Figure 1: A model for HIV-1 core behaviour and innate sensing. ウイルスの遺伝子というのはた
コウモリの便からウイルス 中東呼吸器症候群、サウジ——MSN産経ニュース ラクダにMERS抗体=ウイルス宿主か-英医学誌——時事ドットコム MERS コウモリからも感染か——NHK NEWSweb MERSウイルス感染にコウモリが関与か、DNAが完全一致——AFPBB*1 MERS、コウモリが原因?=感染者のウイルスと一致-米医学誌——時事ドットコム*2 またしてもコウモリさんとウイルスの熱愛の歴史に新たな一ページが加わりましたので、過去の熱愛発覚スクープをざざっと振り返ってみたいと思います。 ご注意(2013年9月1日追記) はてぶコメントでご指摘いただいたように、この記事では亜目以下の分類、生活様式などを問わずコウモリという通称で統一しており、コウモリの種名はほとんど提示しておりません。個々のウイルスの進化や人社会との接点については、個々のコウモリに依存した性質であることをご留意くださ
ウイルスに対するワクチンというのは、主に中和抗体を誘導する目的で作られています*1。中和抗体というのは、B細胞が作る抗体のうち、ウイルスの外側にべたべたっとくっついてウイルスを檻の中に閉じ込めてしまうような抗体のことです。たいていは抗体を作る体の方が勝って、ウイルスは全部檻の中に閉じ込められてしまいます。めでたしめでたし。 というわけで、ワクチンは主にウイルス粒子の外側に出ているタンパク質でできています。あるいは、ウイルス粒子そのものとか。ウイルス粒子の外側のタンパク質じゃないと抗体の檻ができませんからね。これはこれで、人類が長年かけてたどり着いた一つの答えですので、たいていはうまくいくわけです。そう、たいていは。 ここにサイトメガロウイルスというかっこいい名前のヘルペスウイルスがいます。得意技はヘルペスらしく、ザ・日和見感染。ざっくり言って、およそ半分くらいの人はこのウイルスと共に生きて
超巨大ウイルスについての記事をのんびり書いている間に、もっと大きいパンドラウイルスなるものが見つかってしまいまして、あうあうな感じですけど旬が過ぎる前に公開できるといいですね(書いている自分への励まし)。 今回ご紹介する論文はこちら、安定のPLOS Pathogens。 Membrane Assembly during the Infection Cycle of the Giant Mimivirus Mutsafi Y, Shimoni E, Shimon A, Minsky A (2013) PLoS Pathog 9(5): e1003367. doi:10.1371/journal.ppat.1003367 超巨大ウイルスの中では一番最初に見つかった、ミミウイルスさんのお話です。今となっては小さくさえ感じる直径~750nm*1ですが、当時はそりゃもうびっくりですからね。んで、この
ごぶさたさたでー!(まだ金曜日だけど) 今日の論文は、有名すぎて知らない人がいない、ウイルス界の花形ことヒト免疫不全ウイルス(HIV)がテーマでございます。 HIV-1 causes CD4 cell death through DNA-dependent protein kinase during viral integration : Nature : Nature Publishing Group このHIV、免疫不全ウイルスというからには免疫が不全になるよーな悪さをするウイルスなんでございますが、その一番かんじんな部分であるところのCD4+T細胞(ヘルパーT細胞と呼ばれるやつです)をぶっころ死な仕組みがいまいち良く分かってませんでした。CD4+T細胞は免疫系の司令塔というか、影のドンというか、裏番というか、遠藤みたいな役割の細胞です*1。こいつが死ぬと、みんな何したらいいのか分から
あっと言う間に春が来て、世間は大型連休だの黄金週間だのやかましいですね。ゴールデンウィークってあれでしょ、研究室が静かだから普段より実験がはかどる的な意味でしょ。ゴールデンデータ、出ましたか?(出てません!) さてさて、論文紹介はお休みして(3回目にしてもうお休みとか、やる気のなさが表れててすばらしいですねって褒めるところですよコレは)、今日は先週ちょっくら参加してきた野外調査のことを紹介したいと思います。 山中に突如現れた、恐怖の白い旗ふりふり集団です。 これ、何をしているかと言いますと、白い旗を地面に這うように移動させると・・・ こんにちはこんにちは!(はてな挨拶) 旗の上に付いてる黒い点を拡大すると・・・(虫系注意)。 はい、マダニですね。20匹ほど採れました(虫系注意)。初心者にしては上出来かな? そうです、春と言えばマダニが元気になって血を吸いに出てくる季節なのです。今回は、マダ
(Disclaimer: ここで紹介するゲームはウイルス目線で考えることで、どうすればウイルス感染に対抗できるかを考えてもらう教育目的のものです。ウイルス感染症によって亡くなった方や後遺症に苦しまれている方を題材として遊ぶ意図は一切ありません。) アウトリーチ活動なるものをする機会がちらほら出てきて、高校生とか大人な方々を相手におしゃべりするくらいはどうということはないわけですが、小学生となるとちょっと考える必要が出てくるわけです。かと言って、自分が小学生だったころに「手洗いうがいしましょ〜ねー」なんてダイガクのセンセイに言われた日には「わざわざこんなとこまできて、なにあたりまえのこといってんだコイツ」と思ったであろうことを考えると、ただおしゃべりするのも芸がない。でも小学生がおとなしくスライド見て疑問に思ったこと口にするか?するわけないよな。ということでゲームなんです。こどもも、おとなも
せっかくブログを始めたので、継続は力なりをしてみようと思います。まぁまだ2回目なので何を偉そうになんですけど、研究のようにゆるゆると続けていけたら良いなぁと思います。研究はお仕事なので、そろそろゆるゆるとは言えなくなってきた気もしますが、それは置いておきましょうか。 今回の論文はこちら。PLOSだからみんな読めるよ! Viral Uncoating Is Directional: Exit of the Genomic RNA in a Common Cold Virus Starts with the Poly-(A) Tail at the 3′-End ブログタイトルは釣りですごめんなさい(他人の論文で何てことを!)。 前回はウイルスが細胞から外へ出て行く時のお話を取り上げたので、今回は入っていくときのお話です。主役を務めるウイルスは、風邪の主な原因となるライノウイルスです。またピコ
描けと言われた気がしたので、昨日の記事 エンベロープを持つノンエンベロープウイルスが見つかる - あなたのまわりの小さなともだちについて の補足的なイラストをちゃちゃっと描いてみた。 我ながらテンション上がりすぎたけど、こういう仕事を常に目指したいと思うのであります。
A pathogenic picornavirus acquires an envelope by hijacking cellular membranes Nature (2013) doi:10.1038/nature12029 あまりの衝撃に思わずブログを書いてみたくなってしまいました。こんな衝撃は、ほ乳類の遺伝子にボルナウイルス (の一部) がかくれんぼしてる論文以来ですね。いやー、おったまげた。 ウイルスというのは極端な話、遺伝子であるDNAやRNAをたんぱく質で包んだツブツブなので、とても弱っちいのです。それでも遺伝子を守らなければウイルスはウイルスであることができないので、頑張って守らなくてはいけないんですよね。守り方には2種類あって、たんぱく質の殻をがっちがちに固めて『硬い』ウイルス粒子を作る戦略と、細胞からちょいと脂質2重膜を借りてきて*1『柔らかい』ウイルス粒子を作る戦
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