第140回直木賞受賞作。戦国時代から豊臣秀吉の天下統一にかけての小説や映画・ドラマでは、必ずと言っていいほど千利休は登場します。利休は、秀吉を描く上で重要な人物です。もちろん、秀吉以外にも当時の武将や商人など多くの人々に対しても影響力を持った重要な人物です。その影響力が、利休自身の首を絞めることになっていくのですが。 脇役として描かれることが多い利休ですが、彼の生涯については多くの人が知っているでしょう。詳しいか詳しくないかは別にしてです。描かれ方は小説などによって様々ですが、悪い人物として描かれることは少ない。多くの小説では、後年の秀吉の暴虐ぶりと石田三成の謀略を際立たせる人物として彼の人生が描かれています。彼らの一方的な思惑で切腹に追い込まれるからです。 私が抱く利休の印象は、泰然自若として穏やかな人物です。茶の湯の完成に人生を費やし、茶の湯に人生を求めて生きている人物です。それ以上の