肉を柔らかくする方法。柴田書店「月刊食堂」95/12月号。加藤光夫 肉のおいしさの大きな要素に柔らかさがある。味とは関係ないのだが、食感は「おいしさ」に重要な役割を閉める。「この肉、おいしくて、柔らか〜い」と顧客に言わせるためには、いくつかの方法がある。 熟成 特に牛肉の場合は、これがもっともナチュラルな方法である。牛肉は、屠殺した後は「死後硬直」といって、筋肉が堅く引っ張り合っている状態で、ちょうど鎖がしっかりとつながっている状態である。これが、時間がたつと、鎖状にしっかりとつながっていたものが、肉自体が持っている酵素によって、鎖が次第に切れてきて、肉が柔らかくなっていく。同時に、肉の風味が出てきて、おいしくもなるのである。 どの程度の時間で柔らかくなるのかというと、0〜1℃程度の冷蔵庫に、枝肉、あるいはブロックで、脂肪などを外さない状態で、屠殺後約1週間位で熟成効果が出て来る。