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都知事選
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アメリカの元財務長官であり、現代屈指のマクロ経済学者であり、しかもChatGPTを開発しているOpenAIの取締役でもあるラリー・サマーズ氏が、The Aspen InstituteにおけるインタビューでAIが出来た後に子供は何を勉強すれば良いかについて語っている。 孫娘に学ばないよう奨めるもの この話題はサマーズ氏の以下のおめでたい発言から始まった。 2週間前に孫娘が生まれた。 そこでOpenAIの取締役でもあるサマーズ氏に司会者が聞いたのが、AIのある世界で子供に対して何を学ぶように奨めるかである。 まずわたしが孫に勉強しないように奨めるものはプログラミングだ。 ちなみにこの発言は大いに正しいと筆者も考えている。サマーズ氏は経済学者だが、OpenAIでの仕事に関連して本物のAIの技術者と知識を交換しているからだろう。サマーズ氏はさもそれを当たり前かのように言っている。 ここでは何度も言
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLSE SU Alternative Investment Conferenceのインタビューで現在のインフレと高金利の問題が最終的にどのようなシナリオに繋がってゆくのかを解説している。 インフレと金利上昇 コロナ後にアメリカや日本で行われた現金給付がインフレをもたらして以来、世界中で金利が上がっている。アメリカでは今、大統領選挙でバイデン氏とトランプ氏がインフレの責任を押し付け合っている。 トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ アメリカ国民は物価上昇の不満を政治家に向けているが、多くの機関投資家は金利上昇の方を心配している。 ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性 インフレも金利上昇ももう何十年も起こったことがなかったことであり、それがどういう結果を生むのか理解していない人が多い。 だ
11月のアメリカ大統領選挙を控え、民主党のジョー・バイデン大統領と共和党のドナルド・トランプ元大統領のテレビ討論が行われた。 1時間半ほどにわたる長い討論だったのだが、この討論が終わった後、アメリカのSNSなどではちょっとした騒ぎになっている。 大統領選挙の討論会 普通、大統領選挙の討論会ではそれぞれの候補の政策や、どちらが議論で優位に立ったかが話題になるのだが、今回メディアがざわめいているのはバイデン氏の様子についてである。 はっきり言えば、バイデン氏は上手く喋れていなかった。そもそも声が老人特有のかすれ方をしていて聞き取りづらい上に(以前はそれほどではなかったと思うのだが)、意味を取りにくいことを何度も繰り返す場面が目立った。 両候補の政策については11月の大統領選挙に向けて逐次取り上げてゆくが、今回の記事ではバイデン氏の様子について伝えたい。本来味方であるはずの民主党の人々でさえざわ
引き続き、今年11月のアメリカ大統領選挙で再選を目指すドナルド・トランプ氏の、All-In Podcastによるインタビューである。 今回はロシアによるウクライナ侵攻について議論している箇所を取り上げたい。 大統領選挙とウクライナ情勢 2022年2月、ロシアはウクライナに侵攻した。その後戦争はもう2年以上続いている。 アメリカはこの間ウクライナにあらゆる支援を行なっている。ただ、アメリカでも野党共和党の支持者はウクライナ支援に消極的であり、共和党の反対でウクライナを支援する予算が長らく米国議会を通らなかったことがある。 ウクライナの財政が風前の灯火に アメリカの支援予算が共和党の反対で議会通らず (2023/10/6) さて、共和党の候補として大統領選挙に出馬するトランプ氏はロシア・ウクライナ戦争についてどう考えているのか。 ロシア・ウクライナ戦争の原因 トランプ氏は次のように述べている。
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の、The Prof G Showによるインタビューである。 日本の債務問題 前回の記事でダリオ氏は先進国の債務問題に警鐘を鳴らしていた。コロナ後の金利上昇で莫大な政府債務に巨額の利払いが生じ始めているからである。 レイ・ダリオ氏: 米国債が投げ売りされて次の経済危機が始まる ダリオ氏はその結果起こることは国債の下落と通貨安だと予想していた。 今回はその続きだが、こうした問題でいつも話題に登るのは読者もご存知のあの国である。ダリオ氏は次のように述べている。 日本は最悪だ。日本では大量の紙幣印刷が行われ、結果として日本円は下落した。 日本国債の保有者は自分の資産の購買力を8割方失ったことになる。 これはアベノミクス以来の円安に金利上昇による長期国債の価格下落を足した計算なのだと思う。日本円で物事を考えない海外の投資
Citadel創業者のケン・グリフィン氏がBloombergのインタビューでアメリカの債務問題の深刻さを警告しているので紹介したい。 アメリカの債務問題 米国株も上昇を続け、今年の金融市場は上手く行っているように見えるが、機関投資家たちは年始から口を揃えて同じ問題について話し続けている。アメリカの政府債務の問題である。 ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性 アメリカはGDP比122%の政府債務を抱えている。コロナ禍に行われた莫大な現金給付で急増したのは事実だが、コロナ以前から政府債務は100%を超えていた。 では何故それが今年問題になっているのか。それはコロナ後のインフレと金利上昇によって、その莫大な国債に利払いが発生しているからである。米国政府の国債利払い(GDP比)は以下のように急増している。 だが米国政府にはお金がない。だから国債を発行して国債の利払いを行おうとするのだが、
ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを設立したジム・ロジャーズ氏のインタビューを見ていたのだが、その司会者であるフォン・グライアーツ氏がフランスの哲学者ヴォルテールを引用して面白いことを言っていたのでそちらを紹介したい。 どの通貨が安全か ロジャーズ氏とフォン・グライアーツ氏はどの通貨を持つのが良いかという話をしている。 フォン・グライアーツ氏はスイスフランを推すが、ロジャーズ氏はドルが相対的に良いと考えているらしい。 だがゴールドやシルバーを保有するのと通貨を保有するのとではどちらが良いのか? そこでフォン・グライアーツ氏は次のように述べている。 すべての紙幣は最終的にはその本質的な価値に帰ってゆく。つまりゼロだ。 ヴォルテールは1729年にそう書いた。 ロジャーズ氏は笑いながら「ほんとに? 知らなかったよ」と返している。 通貨の価値 フォン・グライアーツ氏の発言は、普段日常的に
世界最高の債券投資家であるジェフリー・ガンドラック氏がデイビッド・ローゼンバーグ氏によるインタビューでアメリカ政府が借金を返せなくなる可能性について語っている。 国債の利払い問題 今アメリカで著名投資家たちが気にしているのは、金利が5%まで上がった影響でこれまで金利がほとんど付いていなかった大量の国債に利払いが発生しており、米国政府の利払い費用が急激に増加していることである。 米国政府の利払い費用(GDP比)は次のように推移している。 このことについてガンドラック氏は次のようにコメントしている。 スタンレー・ドラッケンミラー氏が国債の利払いについて警告しているニュースが流れてきた。だが彼はCBO(議会予算局)のデータを使い、2040年までに国債の利払い費用が税収の30%を占めることになってしまうと言っていた。 だがCBOの想定は過度に楽観的なのでその数字はまったく正確ではない。 ガンドラッ
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のWSJによるインタビューである。 今回は本当の分散投資とは何かについて語っている部分を紹介したい。 ダリオ氏の分散投資 世界最高のヘッジファンドマネージャーの1人であるダリオ氏が投資の助言を求められたとき、いつも口にするのが分散投資である。 ほとんどの投資家は分散投資の重要性なら分かっていると言うだろう。だがこの分散投資は個人投資家が思っている分散とはかなり違う。ダリオ氏は次のように述べている。 わたしが見つけた投資の鉄則では、互いに相関しない15個の優れたリターンの源泉を見つけられるかどうかがすべてだ。 理想的な分散ができれば、期待リターンを減らすことなくリスクの8割を消せる。 「互いに相関しない」というところが重要である。それはつまり、1つの銘柄が下がったからといって別の銘柄もつられて下がったりしないという
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のWSJによるインタビューである。 今回は日本の金利上昇について語っている部分を紹介したい。 政府債務の問題 さて、前回の記事でダリオ氏は、先進国で膨らみ続ける政府債務への不安からゴールドに資金が流入していると主張していた。 レイ・ダリオ氏: 金価格が上がっている理由 ダリオ氏は『世界秩序の変化に対処するための原則』で解説している通り、歴史上大国の莫大な借金は紙幣印刷やインフレによって解決されてきたと主張している。 そして日本で起きている円安や金利上昇は典型的な事例だと述べていた。 日銀の国債買い入れ 今回、ダリオ氏は日本経済についてもっと踏み込んだ発言をしている。ダリオ氏は日本経済をどう見ているのか。彼は次のように話している。 日本では日銀が大量の国債を買い入れた。だが国債を買い入れたすべての中央銀行は今、大き
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信動画でのインタビューである。 今回は莫大な政府債務の解決方法について語っている部分を紹介したい。 政府債務のマネタイゼーション ガンドラック氏は視聴者からの質問を読み上げて次のように言っている。 中央銀行が国債を全部買って帳消しにすればどうなるか? これはコロナ後に緩和政策がインフレを引き起こす前までは真剣な話題だった。 世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由 特に日本はGDPの200%を超える政府債務があり、しかもその大部分を日銀が保有している。 日銀が国債をすべて買って帳消しにしてしまえばどうなるのか。日本の読者は是非とも知りたいはずだ。 だが残念ながら、ガンドラック氏は日本人が最もがっかりする答えを返している。 彼は次のように答えている。 多分日本を見ていれば答えが分かるだろう。
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信動画でのインタビューである。 今回はゴールドなどのコモディティ市場やビットコインなどについて語っている部分を紹介したい。 ガンドラック氏のコモディティ推し 前回の記事では、ガンドラック氏は株式より債券を推していた。 ガンドラック氏: 今は株式より債券の方が良い だが債券の値上がりを予想しているというよりは、短期債などリスクを取らずに高金利を得られるものを推奨していた。 だがゴールドなどコモディティ銘柄についてはもう少し積極的に推しているようだ。ガンドラック氏は次のように述べている。 ここ数週間か1ヶ月ほどコモディティに興味を持ち始めている。 コモディティ市場では相場の勢いが大事で、200日移動平均線を下回る下落が続いている時にはコモディティには手を出さない方が良い。その状況が2年続いていた。 だがそれも変わ
ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、CNBCのインタビューでAIに相談してアルゼンチンに投資した時のことについて語っている。 ミレイ大統領を支持するドラッケンミラー氏 以前の記事でドラッケンミラー氏は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領を自分の推しとして紹介していた。 ドラッケンミラー氏、やはりアルゼンチンのミレイ大統領が好きだった ミレイ氏は政治家による野放図な財政支出がハイパーインフレと通貨暴落を引き起こしたアルゼンチンにおいて、政治家による無駄遣いを消し去るために大統領に当選したオーストリア学派の経済学者である。 ミレイ大統領: 政府主導の経済が自由市場の経済に勝てない経済学的証拠 政府が年金を通して若者から老人に資金移転していることを批判していたドラッケンミラー氏と気が合うのも当然だろう。 ドラッケンミラー氏、高
引き続き、アルゼンチン大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の今年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)における演説を紹介したい。 政治家が、しかも一国の大統領がこれを言ってしまえるというのが凄いところである。 財政支出は倫理的か 緩和政策のやり過ぎによって物価が高騰し通貨が暴落したアルゼンチンにおいて、政治家による無駄な支出を消し去るために大統領に就任したミレイ氏は、前回の記事で政府支出の少ない「小さな政府」は、支出の多い「大きな政府」に勝ると主張していた。 ミレイ大統領: 政府主導の経済が自由市場の経済に勝てない経済学的証拠 だが財政支出は一般的に「誰かのため」という名目で行われる。年金問題に関しても、明らかに今の若い世代が老人になった時の資金は残っていないにもかかわらず、今の老人世代への給付が減らされないのは「お年寄りのため」というわけだ。 ドラッケンミラー氏、高
アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、最近行われたと想定されている財務省・日銀のドル円為替介入にコメントしている。 ドル円の為替介入 ドル円相場は160円に到達した後、4月29日と5月2日に日銀の為替介入によって下落したと考えられている。 ドル円の15分足チャートは次のようになっている。 2回の為替介入で160円から153円まで7円分下落したことが分かる。ちなみに最後の小さい下落は雇用統計によるものである。 米国経済は景気後退に近づいた、4月雇用統計解説 為替介入は効果があるのか? 介入は短期的に見れば効いたように見える。ドル円が7円下落したのだから明らかである。 だが長期的な意味という点ではサマーズ氏は懐疑的だ。彼は次のように述べている。 資本市場の巨大さを考えれば、日本がやったような規模であっても為替介入は効かないと考える根拠は明らかだ
アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は米国時間5月1日に金融政策決定会合であるFOMC会合を開き、政策金利を5.25%に維持することを決定した。 インフレと金融政策 アメリカの金融政策は難しい局面に来ている。インフレ率には明らかに減速の兆候がなく、少なくとも今年中に2%に落ち着くということはありそうにない。 3月の米国CPIでインフレ再加速はほぼ確定 前回のFOMC会合では今年3回の利下げを表明していたFedだが、今年6回の利下げを見込んでいた金融市場も降参し、その可能性はもうほとんどなくなった。 米国株下落の理由、市場の年内利下げ織り込みがついに1回に 今回は会合参加者が今後の金利予想をプロットするドットプロットの発表がないため、声明文とパウエル議長の記者会見からFedの意図を読み取ってゆく必要がある。 バランスシート縮小は停止へ 今回の会合のテーマは2つある。1つはインフレと金利で
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が、著書『貨幣理論と景気循環』で、インフレ政策によってデフレを打倒しようとする考えを批判している。 デフレ打倒のためのインフレ政策 日本では今円安が問題となっている。その原因はアベノミクス以来行われてきた金融緩和である。現日銀総裁の植田氏がそれを段階的に終わらせようとしているが、その速度は円安を止めるのに間に合っていないようだ。 日銀の植田総裁が円安を止められない理由 この緩和政策はもともとデフレを打倒するという名目で安倍首相(当時)によって開始された。 しかしその結果のインフレ政策は円安と輸入物価上昇によって見事にインフレをもたらしてしまった。 何故なのか? インフレ政策は何故インフレをもたらしてしまったのか。インフレが起こる前から筆者は「インフレとは物価上昇という意味だ」と何度も繰り返して主張してきたのだが、誰も信じなかった。辞書ぐら
4月29日の為替相場でドル円が一時5円以上も急落した。財務省と日銀による介入と思われるので、過去の為替介入の事例におけるドル円の動きなどを含めて解説してゆきたい。 ドル円急落 以下は4月29日のドル円の3分足チャートである。ドル円は朝10時台に一度160円の壁を突破したが、その後昼過ぎから急速に下落し、夕方には154円台半ばあたりまで下落している。 政府による為替介入の有無は後で公表されるまでは確定しないが、下げ方から言って恐らくは為替介入だろう。 為替介入と為替相場 為替介入だとして、介入が終わったかどうかもまだ定かではないわけだが、一般論として為替介入があった場合、為替相場はどう動くのか。 過去でもっとも最近に為替介入が行われたのは2022年であり、その時に経済学者でありアメリカの財務長官も務めたラリー・サマーズ氏が為替介入の効果について語っている。 サマーズ氏は次のように述べていた。
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。 円安と日銀緩和 円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。 コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。 円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。 日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量
世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用しているレイ・ダリオ氏がLinkedInにおける自身のブログで紙幣とゴールドの違いについて語っている。 富の貯蔵手段 誰もが収入を得ており、その一部を貯蓄している。 普段ほとんどの人がそんなことを考えないが、富の貯蔵とはなかなか難しい経済学的テーマである。 ダリオ氏は次のように述べている。 良い貨幣とは世界中で受け入れられる富の交換方法であり、同時に良い富の貯蔵方法にもなるもののことだ。 世界でもっとも認められた貨幣はドルであり、その次はユーロであり、その次は円であり、その次は人民元だ。 こうした貨幣は負債性資産だ。つまり、負債に裏書きされている資産だ。通貨とは負債なのだ。 ほとんどの人は得た収入を何も考えずに銀行口座に放り込んでおく。つまり、日本人ならば円のままにしておく。 一部を株式や不動産に替えることはあっても、現金を持たない人はほ
市場暴落などのテールリスク専門のヘッジファンド、Universa Investmentsを創業したマーク・スピッツナゲル氏のYahoo! Financeによる去年のインタビューから、金融緩和と世界経済の関係を語っている部分を取り上げたい。 中央銀行の起源 どれだけの読者が知っているかは分からないが、世界経済にはもともと中央銀行というものはなかった。 元々市中の銀行はそれぞれ独自に自分の紙幣を発行していたが、イギリス政府がイングランド銀行に債務の肩代わりをさせる代わりに紙幣発行業務を独占させたことが中央銀行の始まりである。 南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る その後、紙幣発行を独占できること、つまり金利を自由に操作できることが政府にとって便利なことだということが判明したので、他の国もそれにならったのである。 中央銀行による金利操作 以来、中央銀行は金利
アメリカやヨーロッパなどでEV(電気自動車)の売れ行きが減速している。それと同時にハイブリッド車の売れ行きが伸びているという。 このEVからハイブリッドへのシフトは自動車メーカーの株価に影響を及ぼすだけでなく、金属市場にも大きな影響を与えると思われる。 EVからハイブリッドへ 欧米諸国でEVが売れなくなっているらしい。理由は簡単である。充電に時間がかかり、補助金がなければ価格も高く、何より大して環境に良いわけでもないからだ。 例えば欧州自動車工業会のデータによれば、去年の新車販売でEVの割合は15%だった一方で、ハイブリッドは34%だった。エンジン車の49%と合わせると8割以上がエンジン搭載車ということになる。 充電場所もほとんどないにもかかわらず早々とEVを買った人々は、脱炭素政策を熱心に支持する政治的にリベラルな人々である。 だがどうも欧米諸国では、そうした宗教的理由によって不便でもE
ここ1ヶ月ほど金相場が高騰しているので、久々にゴールドを話題に取り上げたい。 金価格上昇の原因 金価格が急上昇している。コロナ初期に急騰してから長らく横ばいが続いていたゴールドだが、ようやく再上昇を開始したという感じである。金価格のチャートは次のように推移している。 金相場のバリュエーションを測る伝統的な指標に注目していた投資家にはこの上昇は驚きかもしれない。何故ならば、金価格に影響を与えるはずの金利と期待インフレ率はそれほど動いているわけではないからである。 金相場を動かす指標 金属や農作物などのコモディティ市場では、価格は基本的に需要と供給で決まる。例えばコロナでロックダウンがあった時に原油価格がマイナスまで暴落したのは、経済が動かなくなり原油の需要がなくなったからである。 アイカーン氏: 原油をマイナス30ドルで買った (2022/2/22) だがゴールドには実際の需要はほとんどない
3月19日、日本銀行は17年ぶりの利上げを実行した。日本の政策金利は-0.1%から0.1%となり、マイナス金利は解除された。 マイナス金利解除が決定された日銀の政策決定会合については以下の記事で報じてある。 日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に だから今回論じるのは金融政策よりもむしろ日本の実体経済である。 引き締めを継続するつもりの植田総裁 会合後の記事で報じた通り、日銀の植田総裁は今後も利上げを継続するつもりである。彼は同時に量的緩和の停止にも言及していた。 だが一方で、日本経済は沈みつつある。実質GDP成長率は前期比年率(以下同じ)で次のようになっている。 2023年第1四半期: 4.0% 2023年第2四半期: 4.2% 2023年第3四半期: -3.2% 2023年第4四半期: 0.4% ちなみに減速の理由は消費である。実質個人消費の成長率は以下のように
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の動画配信で、失業率の推移をもとにアメリカ経済の景気後退の可能性について語っている。 財政赤字と米国債 最近多くの著名投資家が憂慮しているのがアメリカの巨額の財政赤字である。 ドルを使ったアメリカの経済制裁を避けるためにBRICSや中東の国々がドル資産を避け、量的緩和で米国債を買い入れていたFed(連邦準備制度)でさえインフレで買い入れが出来なくなっている今、アメリカ政府が発行する国債を誰が買うのかという問題が深刻化している。 ガンドラック氏: ドルは基軸通貨の地位を失って暴落する ガンドラック氏は次のように述べている。 財政赤字は拡大している。赤字はGDP比で歴史的に高い水準となっており、これまでの動画配信でも語っている通り、アメリカ経済が景気後退に陥れば財政赤字はGDP比で2ケタになる可能性が非常に高い。 そして金利
前回の記事では、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたスタンレー・ドラッケンミラー氏が、ソロス氏の為替理論を用いてベルリンの壁崩壊後のドイツマルクをトレードした話を紹介した。 ドラッケンミラー氏: 誰もソロス氏の為替理論を理解していない 今回はこのソロス氏の為替理論をコロナ後のドル相場に適用しながら説明してみたい。 ソロス氏が解説するドルの値動き この為替理論は、ヘッジファンドという概念を作ったと言っても良いファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏が、自分の投資理論を解説した著書『ソロスの錬金術』で公開しているものである。 この為替理論では、インフレと財政赤字、そして中央銀行の利上げが組み合わさると、インフレ(つまり紙幣の価値下落)にもかかわらず為替相場では為替レートが上昇するとされている。 ソロス氏はそれを1980年代のドル相場をもとに説明しているが、ポール・ボルカー
引き続き、スタンレー・ドラッケンミラー氏のHow Leaders Leadによるインタビューである。今回はドラッケンミラー氏がかつての上司ジョージ・ソロス氏の為替理論について語っている部分を紹介したい。 ソロスの錬金術 ドラッケンミラー氏はジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用し、1992年のポンド危機におけるポンド空売りなど有名なトレードを成し遂げたことで知られるが、前回の記事でドラッケンミラー氏はソロス氏を初めて知った時のことを次のように述べていた。 ドラッケンミラー氏、ソロス氏のクォンタム・ファンドに採用された時のことを語る 彼の本を読んだんだ。誰もこの本を理解していないようだが、この本の中に為替相場に関する章があり、わたしはそれに夢中になった。 彼の本とは、ソロス氏の著書『ソロスの錬金術』のことである。この本はソロス氏が自分の投資理論を自分で詳細に説明したもので、当時の
少し間が空いたが、引き続きLow Leaders Leadによるスタンレー・ドラッケンミラー氏のインタビューである。今回は大学で学ぶ経済学について語っている部分を紹介する。 経済を予想する仕事 以前の記事でドラッケンミラー氏は、経済を予想して利益を上げる投資家の仕事の面白さについて語っていた。彼は次のように述べていた。 ドラッケンミラー氏: 優れた投資家が優れている理由 投資とは常に世界をパズルの集まりだと考えてそれを解くことだ。 ドラッケンミラー氏はこれまで、1992年のポンド危機や2022年の物価高騰など様々な出来事を予想し、平均で年率30%以上の利益を上げている。 ではドラッケンミラー氏はどのようにして経済を予想できるようになったのか。ドラッケンミラー氏はまず大学に入って経済学を学んだのだが、博士課程を中退して金融業界で働き始めている。 経済学者にならなかった理由 今では経済を予想す
引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社動画配信である。今回はドル相場について語っている部分を紹介しよう。 インフレか株価暴落か 少し前にポール・チューダー・ジョーンズ氏のインタビューを紹介したが、そこではアメリカ経済は高金利を続けて株価暴落を受け入れるか、緩和をしてインフレ再発を受け入れるかどちらかしかないという話がされていた。 チューダー・ジョーンズ氏: 米国は株価暴落か物価高騰のどちらかを選ぶことになる そしてジョーンズ氏はインフレ第2波がメインシナリオだと結論付けていた。 チューダー・ジョーンズ氏: トランプ氏再選ならインフレ再加速、金とビットコインを買え インフレ再発になればゴールドなどインフレ資産が上がるのは当然だが、ジョーンズ氏は米国株にとってもプラスだと語っていた。 だが、この話で考慮されていないことが1つある。米国株はドル建ての資産
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