第 1 回 キャピタル(大文字)とミナスキュール(小文字) 1 インペリアル・キャピタル(Imperial capital)──ローマ帝国の碑文書体 ローマ帝国は、紀元前八世紀ごろ、ラテン人がイタリア半島のテベレ川下流域に建てた古代都市国家にはじまります。紀元前272年イタリア半島を統一し、ポエニ戦争に勝利して地中海沿岸一帯を支配しましたが、そののちも内乱がつづきました。この内乱を収拾したオクタビアヌスの即位により帝政に移行しました。 最盛期の五賢帝時代(96―180)には、その版図は最大となり、東は小アジア、西はイベリア半島、南はアフリカの地中海沿岸、北はブリテン島に及ぶ大帝国となりました。五賢帝とは、ネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウス、マルクス・アウレリウスの5人で、その代表格とされるのがトラヤヌス帝です。 マルクス・ウルピウス・トラヤヌス(Marcus Ulpi