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2009年の第10回東京フィルメックス映画祭のプログラムで一枚のスチール写真に興味を引かれた。視線を合わすことなく立ち尽くすピンクのセーターを着た少し地味目な少女とやさぐれたチンピラ風の男。明らかに年齢の離れた2人。だがその写真にはすでに、恋愛とも信頼関係ともとれる微妙な空気が流れていた。その時は中国のジャ・ジャンクー監督の『プラットフォーム』に登場する旅芸人の若い主人公たちの“気分”に通じるものを感じ、その映画に何かある気がした。映画を見る前から会ってみたいと思っていた。そしていざ映画を見て、何かがあるという予感は的中したが、物語は想像とは大きく違うものだった。 家庭から愛を得ることなく育ったサンフンは、友人の下で借金の取り立てをするチンピラ同前の暮らしをしていた。取り立ての相手だろうが、仲間だろうが、一度怒りに火が着いた暴力を止めることができなかった。そして女子高生のヨニも母が家を出て
OUTSIDE IN TOKYO執筆陣が選んだ【日本公開新作映画ベスト10】を以下に掲載しています。 2018年新作映画ベスト10 2019.1.17 update 2017年新作映画ベスト10 2018.1.18 update 2016年新作映画ベスト10 2017.1.19 update 2015年新作映画ベスト10 2016.1.25 update 2014年日本公開新作映画ベスト10 2015.1.29 update アブデラティフ・ケシシュ監督選出暫定ベスト10 2014.4.4 update 2013年日本公開新作映画ベスト10 2014.1.30 update 2012年日本公開新作映画ベスト10 2013.1.16 update 2011年日本公開新作映画ベスト10 2012.1.13 update 2010年日本公開新作映画ベスト10 2011.2.14 update 2
「好きなだけ撮ればいいさ」写真の了解を撮った時のイェジー・スコリモフスキの言葉が、なんとなく彼の人となりを体現していると思った。伝説と呼ばれるポーランド人監督が17年ぶりに長編映画『アンナと過ごした4日間』を撮った。しかも、スターリン批判の嫌疑で母国を追われ、イタリア、イギリス、アメリカはハリウッドと点々としてきた監督の久しぶりのポーランドでの撮影と聞けばなおさら期待が高まるというもの。若い頃からアンジェイ・ワイダの『灰とダイヤモンド』の脚本を断り、『夜の終わりに』を共同執筆して出演もし、ロマン・ポランスキーの『水の中のナイフ』の台詞を執筆するなど、当時の才能の爆発と共に歩いてきたスコリモフスキは、『Rysopis』(64)でアーンヘム映画祭のグランプリを受賞したという。だが順調だった監督生活も『手を挙げろ』のスターリン批判で上映禁止に。ベルギーで撮ったジャン=ピエール・レオーの『出発』は
ジャン=ポール・サルトルに学び、68年5月革命を予見した書物『スペクタクルの社会』を著した、フランスの映画作家・革命思想家ギー・ドゥボールの映画全6作品が日本で初めて特集上映される。スペクタクル(見せ物)的な社会に成り果てた消費社会の批判を基に、革新的な国際同盟(シチュアシオニスト・インターナショナル)を組織し、書物、映画、コラージュ作品、そして路上で思考を展開したドゥボールの思想は、21世紀という不透明な現代に生きる私たちにとって、ますます共感しやすいものになってきている。東京日仏学院と山形国際ドキュメンタリー映画祭が共催するこの特集上映では、レクチャーやシンポジウムも予定されている。せっかくのこの機会、「スペクタクルの社会」(ちくま学芸文庫)を読んでから臨みたいものだが、まずは、ドゥボールの映画だけでも見てみようという軽い気持ちで臨むのも良いかもしれない。 1931-94年。フランスの
本作において、劇作家・演出家、松田正隆の同名戯曲のセリフを一言一句変えずに映画化することに挑戦した越川道夫監督は、主人公の女を演じる河野知美と夫を演じる梅田誠弘の演技、存在感の素晴らしさも相まって、演劇の一回性を生々しく捉えた、”映画”ならではの見事な呼吸が息づく作品を創り上げた。ここに、間違いなく代表作の一つになるであろう作品『水いらずの星』を撮り上げた、越川道夫監督のインタヴューをお届けする。 『水いらずの星』は、劇作家・演出家、松田正隆の同名戯曲を越川道夫監督が大胆な映画化に成功した作品である。主人公の女を演じる河野知美の演技と夫を演じる梅田誠弘の存在感が素晴らしく、本作のプロデューサーでもある、河野知美の”顔”は、映画の主戦場と化していて、何人もの女性が憑依しているかのように幾通りにも変幻する。ここに、主演を務めると同時に、自らの挑戦的な作品をプロデュースし遂げつつある河野知美のイ
詩情溢れるストイックな映像美で国際的な賞賛を浴びるポルトガル人監督のペドロ・コスタが、最新作『コロッサル・ユース』の公開に向けて来日した。これまでフォンタイーニャスというリスボン郊外の貧しい地区に暮らす、かつての植民地カーボ・ヴェルデ諸島の移民たちに焦点を当てる彼は、同じ場所を舞台に、前2作の『骨』『ヴァンダの部屋』を撮ってきた。だが同じ場所も、『コロッサル・ユース』では、家屋が崩壊し、廃墟と化しつつある。人々の笑い声は消え、半壊した街を亡霊のようにさ迷う、アフリカ系の初老の男、ヴェントゥーラを追う。住人のほとんどは、市が用意したこぎれいな白い公団に移動させられた。水道もガスも完備されている。若き日はパンク・バンドで世界を回ったペドロ・コスタは、まず、前作『ヴァンダの部屋』がクラブの音楽イベントで上映されると話し始めた。
本作において、劇作家・演出家、松田正隆の同名戯曲のセリフを一言一句変えずに映画化することに挑戦した越川道夫監督は、主人公の女を演じる河野知美と夫を演じる梅田誠弘の演技、存在感の素晴らしさも相まって、演劇の一回性を生々しく捉えた、”映画”ならではの見事な呼吸が息づく作品を創り上げた。ここに、間違いなく代表作の一つになるであろう作品『水いらずの星』を撮り上げた、越川道夫監督のインタヴューをお届けする。
日本でも、世界的に見ても、昨今、大規模なリストラや大量解雇のニュースが流れています。本作は偶然にも中国の国営工場が閉鎖されていく様子が描かれていますが、日本の観客にどのようにこの作品を観て欲しいと思いますか。 この作品を撮ることについては、宿命的なもの、運命的なものを感じました。この映画を撮り終えてカンヌ国際映画祭に出品したのですが、映画祭の前後に四川省で地震が起こりました。幸いにも自分が撮影した成都の中心部には、それほど被害はなかったのですが、その周囲が非常に大きなダメージを受けてしまったので、正直な話、映画祭に参加する時には重い気持ちになりました。いざ今年になって、世界のあちこちでこの映画を上映する時期になり、去年から金融危機が起こっています。今朝、日本の方から聞いたのですが、日本企業でも大量の解雇があるということで、とても複雑な思いがあります。 僕はそれぞれの国で、文化も歴史も違う中
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