ショーペンハウアーは裕福な商家に生まれ、商人の見習いなどもしますが、父の死後、ゲッティンゲン、ベルリン、イェナの各大学で学びました。プラトンやカントの哲学を勉強し、またベルリン大学ではフィヒテの講義なども聴きます。1819年、主著『意志と表象としての世界』の正編を完成させ、翌年にはベルリン大学の私講師となりますが、正教授のヘーゲルの存在もあり、受講生は少なかったようです。後年、ショーペンハウアーはフランクフルトの学者として過ごしました。『意志と表象としての世界』は当初ほとんど反響はありませんでしたが、この頃出版された『余録と補遺』によって彼はにわかに脚光を浴び、「フランクフルトの聖者」とたたえられるようになりました。 ショーペンハウアーは「世界は私の表象にすぎない」と述べています。カントと同様にショーペンハウアーは、「物自体」は表象されえないと考えたのです。カントは先天的な直観の形式として