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いつから僕はこの窮屈な体勢でいるのだろうか。というよりも、今のこの体勢がきゅうくつかどうかすらも、僕には分からない。暗闇の中に放り込まれて、恐らくは丸1日が経っているのだろう。 黒色で塗りつぶされたような空間は、もうとっくに慣れたはずなのに、未だ何も見えることが無い。それは暗すぎるからなのだろうか。もうどこが右なのか、どこが左なのか、上なのか下なのか、方向感覚はメッチャクチャだ。 でも、そろそろ明るい時間が訪れそうだ。 暗闇の向こう側で物音が聞こえていた。物音はどんどん近くで聞こえるようになり、大きな振動を伴ってきた。ようやくだ――。この現象が起これば、僕は一時だけ暗闇から解放される。僕にだって理由は分からない。でもいつだったか、ここに来た時から、この物音と振動が僕にとってのサインになったんだ。 その時だった。 僕は何かの力によって逆さまになって落ちていく。 赤、黄色、緑など、視界を色とり
午前中の終わりを示すチャイムが鳴り、腹を空かせたクラスメイトたちは食堂へ駆けていく。僕は食堂とは反対に、最上階に位置する音楽室へ弁当箱を持って向かった。 息を急がせながら階段を上がり終えると、廃墟のように静まり返った廊下が目の前に現れる。微かに遠くの食堂の騒音が聞こえるくらいだ。僕は意味が無いのに足音を殺しながら、音楽室の前まで歩き、扉を開けた。今日は僕のほうが早いだろう――そう思ってたのだが。 チャイムが鳴ってから間もないのに、彼女は窓際の席に座って風を浴びていた。 僕に気が付いて、彼女は髪を靡かせながら「おつかれぇ」と言った。 「今日は僕のほうが早いと思ってたのに」 「あはは、残念でしたぁ」 彼女は上の歯を見せて笑った。僕はいつものように彼女の元に向かう。 「お腹は空いたかい?」 「もっちろん」 「相変わらずだね」 僕は持ってきた弁当箱を彼女が座る机の上に置いた。彼女は「今日のおかずは
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