学術コラム L-テアニンと睡眠 白川修一郎 睡眠評価研究機構 代表 日本睡眠改善協議会 常務理事 江戸川大学睡眠研究所 客員教授 1.睡眠とはどのような生命現象か? 睡眠は単なる静止状態ではない。単に覚醒できなくなった状態でもない。人間の睡眠は、複雑な過程が関係した生命現象である。人間の睡眠は、進化の過程で動物として獲得した形質と、人間が脳を特異的に発達させてきた過程で獲得した形質が混在した現象である。 睡眠は、エネルギー保存方向の状態で動物個体の行動の活動水準が低下した状態 進化の過程で動物として獲得した形質の睡眠の特徴の多くは、摂食行動と強く結びついている。十分なエネルギーが食物として摂取できない環境状況を回避するための手段として、進化の過程で、両生類、は虫類、鳥類、ほ乳類が積極的に獲得してきた形質が睡眠と考えられている。 骨格筋が弛緩した状態で外界からの刺激に対する反応が低下した状態